VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

経済的需要予測と心理的消費

2006年01月26日 | 住宅業界
(賃貸長期需要推計研究会にて)

山崎上智大学教授を座長に進められている当研究会も第三回目を迎え、具体的な推計方法の議論に入って来たが

先の研究会で浅田明海大学助教授から「リクルートはユーザー動向得意だし…紹介してもらっては?」と、
振られてしまい・・・今日、発表の時間を頂いた。
ちょうど研究テーマにしている《団塊ジュニア》を中心にまとめてみた。
30分にしては22ページ、チョット欲張り過ぎだったカナ…ニッセイ基礎研究所さんの、いつもの資料ボリュームに感化されちゃったのかも?!
この研究会、私は‘委員に女性は一人必要’的ニーズで顔を連ねたに過ぎないが
我々のカスタママーケティング活動を認知して頂ける機会にもなるので有り難い。

リクルートとしても昨年、住宅総合研究所に敢えて力を入れるジャッジをしたのは
その研究を、自社事業だけでなく
産業界や政策行政、社会に役立てていただきたい意志もあるからだ。

まだまだ組織も活動も始まったばかりだが、ワークス研究所を目指してガンバルゾー!


ところで、今日は研究会の後
中央大学の理事長でもある、セブン&アイHD鈴木敏文会長の講演を聞きに中大へ行った。
(私は中大と何の関係も無いが、奥村組にお勤めの大阪・高津高校ザコウ先輩のお誘い)

『経済を心理学でとらえる』と題した講義(基本、修士院生とOB向け)で、前出の研究会の意義を考えさせられるテーマでもあった。

「消費は心理で動く」決して経済能力や合理性て゛計れるものでは無いということ。
この、当たり前過ぎることの奥深さを、会長の多彩な人脈とのやりとりなどを交え語ってくれた。

100円のおにぎりを、90円にするより
180円のおにぎりを作った方が売れるらしい。
美味しいさや量が2倍になるはずは無く、正に心理的購買。

「経済原則から心理へ」「心理学を制するものは経済学を制する」とも。

そこで、今日の研究会での話を思い出した。
沓澤阪大助教授から「団塊ジュニアが堅実ということなら、長期の住宅コストを試算すれば、これほど持ち家志向が表れるのは理解しにくい」
というご質問があった。これも、ロジカルな推計では表現できない
“いつかは一戸建てに住みたい”という蓄積された価値観が未だに存在する故であるが
賃貸:持家の損得(有利性)の分析は、税制・金利など諸条件を加えて事務局が試算してくれていた。

そのロジックどうりに人が動かないのが、鈴木会長の示唆である。

“理由なしに欲しいもの”というものが人にはあって
その価値観が多様になって掴みつらくなっているのが、団塊ジュニアのマーケティングにも表れていた。


ところで、鈴木会長は金利政策に関しても
「貯蓄がある日本人の観点からすれば、金利が上がらないと消費は進まない。使っても増える安心が必要」とも。
日銀福井総裁はご理解されているが、政府官僚にその心理が理解できないのが問題と。

これ以外にも、1時間弱のお話で色んな着目すべき点を紹介できる鈴木会長。
やっぱり、若手経営者とは次元が違う。






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