ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

プログラミングを学ぶことによって獲得できる能力を言ってはいけない

2016-05-06 14:51:08 | 1
何度も繰り返して言ってますが,プログラミングを全員が学ぶ必要があるのはコンピュータとは何かを知るためです.何度も質問をされますが「プログラミングを学ぶとどんな能力がつくでしょうか」に対して僕は一切答えるつもりはありません.というか,我々(コンピュータの専門家)は答えるべきではないと思っています.

本心からいうと,たとえば佐藤さんのブログ

自己研鑽力,ルール適応力,根回し力,といったことが言われていて,僕も共感できますし.神谷さんの本「子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由」の内容も同意です.うすうす感じています.きっと正しいと思います.

ただ,こういった力がつきそうということは,プログラミングを教えて普通に観察していると気がつくことなので,できれば外部からではなく,内部つまり学校の先生たちに気がついて欲しい.だって子供にいろんな力をつけさせるというのは先生たちの本業であって,重要な能力であればあるほど,先生たちはそういった子供たちの変化に敏感であるはずですから.

ある小学校に授業に行ったときなんですが,終わって校長先生の部屋でお茶をご馳走になっていたら,担任の先生がその次の授業の合間をぬって,僕たちに授業の感想を言いに来てくださいました.

「子供たちの普段とは違う側面を見ることができて本当に良かったです.あの子がこんなことができるなんてまったく知りませんでした」

それだけ言って,すぐに教室に戻られたのですが.いや本当先生はお忙しい.

僕らは毎回いろんなクラスで普段通りやっているだけで,その中にはバンバンやる子もいれば,友達に教えられながらやる子もいれば.まあいろいろです.普段がどうということはまったくわかりませんから,教え方としては,一番遅い子に合わせて,でもはやい子も退屈しないように気をつけてやっているだけです.何がどう変わったのか,たとえば普段,絵をまったく描かない子が描いた,とか,普段まったく発言しなかった子が自分から質問したとか.そういったことは,我々にはわかりません.

しかし,子供たちの変化に敏感な先生であればあるほど,たった1回の授業でも,いろんなことに気づくはずです.繰り返してやるうちに,これは何々力をつけるのにつかえるツールだ.ということがしっかりした証拠で言えるはずです.

逆に,事前の打ち合わせでいつも言われるのが,やんちゃだとか,理解が遅いとか,発達障害の子供がいるんですといった,ちょっと飛び出た子がいるので気をつけてくださいということですが.ところが,僕らも終わってから,どの子が心配な子だったのか気がつかないほどで,僕らも特別なケアはしていません.でも,いろんな先生からいつも言われるということは,先生方にとって,普通の授業をする上ではそういう子の存在を知っておくことが重要なんだとということなのでしょうが.僕らはそんなに重要ではないわけです.

外部講師の役割の一つに,担任の先生とは違う視点を教室に持ってくる,ということがあると思います.それは先生にとってももちろん,クラス全体にとっても重要なことでしょう.担任の先生ができることをわざわざやる必要はないですし,そこで担任の先生と奪いあっても仕方がない.

絵が描けない子が,絵が描けるようになりました.というのを担任の先生に言われるのは我々も嬉しいのですが,逆に,こちらから「絵が描けない子でも絵が描けるようになりますよ」と言ってしまったら,「いやいや,うちでは他の方法で絵を描けるような教え方をしてますから」になっちゃいますよね.それはすべての「何々力」に言えることです.

唯一,我々にしか言えないことというのが「プログラミングって楽しいよ」「コンピュータはこういうことなんだよ」ということであって.まあ,それだけを愚直に言っていくのがだれも敵に回さない方法だと思うのです.

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1 コメント

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rugbyisa (rugby world cup fixtures)
2022-01-04 13:29:03
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