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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

憂鬱のわけ 『人間性の心理学』

2005年09月05日 | Book
A・H・マズローの『人間性の心理学』をちょこちょこと読んでいます。

いきなり話がそれますが、この本は名著の誉れ高いのに訳が読みにくいです。僕が図書館から借りたのは1972年出版で、87年に改訂新版が出ていますけど、ひょっとしたらそちらは訳が変わっているかもしれません(訳者は同じ方です)。72年版はおすすめできません。とはいってもやっぱり頼るのですが。

まだまだ全体像は把握できていないのですけど、本の中でマズローが執拗に、人間の心理メカニズムを機械の様にとらえて一つの心理・身体現象に特定の原因が対応すると考える科学的な動機理論を批判しています。こういった心理科学は動物実験を基にしています。

それに対しマズローは、そこここで、例えば人間が飢餓に苦しむのは、単なる身体的な欠乏ではなく、感情的な問題が作用していることを指摘します。つまり、飢餓による苦しみにも、その人の感情的・心理的な問題が背景にあり、その感情的・心理的問題はその人のまさに「人間性」、その人の人生全体と関連しているがゆえに、安易に特定の原因を挙げることはできないということです。

飢餓による苦しみというのも、身体的な欠乏以上に、他人に見捨てられていること、自分の思い通りの生き方をしていないことなどの感情的な作用があるということですね。


ふと考えると、小泉さんや竹中さんの市場原理主義に私が憂鬱になるのもおなじことかもしれません。

彼らの郵政民営化案は、財政支出削減などの行政改革にはつながらないし、景気回復に結びつくと推測できる根拠は乏しいし、緊急の問題ではありえない。なのに、ほとんど狂ったように「官から民へ」と言い続けている。

でもそれを見て憂鬱になるのも、民営化案の論理的な問題点以上に、彼らがまったく国民生活のことを考えていないように見えるから。つまり、なんだか自分が見捨てられているように感じるからという、とても素朴な感情が原因のように思います。

政治家や学者というエライ人たちが「いい人」ではなく、権力欲に溺れて、詭弁を弄して大量に人を騙そうとしていること。少なくともそう見えることで、世の中のエライ人たちは自分たち弱い人間のことをまったく考えてくれていないのだと感じています。

その証拠に、郵政民営化という点では同じなのに、民主党の人たちなら僕達弱い人間のことを考えてくれるんじゃないかと考えて、それほど嫌悪感を感じないようになっています。

もっともそれも小泉・竹中さんと比較してのことで、民主党が政権につけば、また彼らに嫌悪感を感じるのかもしれません。

たしかに郵政民営化法案は悪政だと思います。ただ僕自身は、その政策が実際に及ぼす社会的・経済的損害以上に、自分が絶望したり憂鬱になっているのは、小泉さんや竹中さんの自己中心的パーソナリティ(のように見えるもの)に感情的に怯えているのが原因のように思います。

とにかく指導者に、「いいひと」「やさしいひと」(その上で「つよい人」)として振舞って欲しい、そういう感情的欲求があります。


涼風


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