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日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

『日本一の大投資家に訊く 経営に花を咲かせる「旦那道」のススメ』

2006年01月24日 | Audiobook
『日本一の大投資家に訊く 経営に花を咲かせる「旦那道」のススメ』というCDを聴きました。話し手は竹田和平さん。「たまごボーロ」で有名な竹田製菓の会長で、上場企業100社以上の株主さんとしても有名な方です。

聞き手の神田昌典さんは、株式市場が脚光を浴びる今の時代の中で、利鞘ではなく企業の応援のために株式投資を続ける竹田さんに、〈本来〉の株式投資のあり方を聞き出そうとしたのだと思います。インタビューは、まさにその神田さんの狙い通りに進んでいきます。

竹田さんの株式投資の目的は、企業の成長を応援して、それによって配当を貰うこと。彼は100社以上の大株主なのですが、その投資は売りぬけが目的ではなく、中小企業に対して資金提供することで、その会社に伸びてもらい、それによって得られる配当で自分自身が社会貢献することだそうです。

そうした彼の行動のバックボーンにあるのが、題名にもなっている「旦那道」です。

竹田さんは今の国家と社会のあり方に批判的で、本来福祉とは国家という機械がやることではなく、「家」がやるもので、「家」がやれないのであれば、その地域の旦那がやるべきなんだと述べます。

昔の旦那というのは、自分の資産を使って町の祭りを仕切ったり、芸者さんに着物を買ってあげたりして、文化の担い手として活躍していました。

竹田さんはそうした旦那のあり方が現在でも必要で、役人が人を助けたりしてもそこに感謝は生まれないと述べます。官僚制が受給者に施しを与えてもそれは巨大組織が受給者に物資をたんに与えることになり、そこには本来あるべき感謝は生まれません。

しかし福祉に必要なのは、与える・受け取る過程で、貰う人は与えてくれる人に感謝し、与える人はそれによって喜びをえることです。そうした貴重な契機が、国家福祉では生まれないのです。

それゆえ必要なのは、家・あるいは地域の「旦那」がほんらい社会と文化に必要な貢献をしなくてはならないということです。

竹田さんはそれを実践するために、株式投資で得る数億円の配当を彼なりの社会貢献に使います。それは例えば、彼と同じ誕生日に生まれた赤ちゃん全員に純金の金貨を送ったり、20万人以上の小学生に自分の著書を配ったり、お菓子博物館を作ったりなどです。

このセミナーの中で竹田さんは、株とは本来「シェア」の意味をもつと言います。その富を分かち合うのが株式の本来の特質だということです。

「福祉は家が面倒をみるべき」という意見は、前近代的な思想として受け取る人がいるかもしれません。

例えば19世紀終わりから20世紀にかけてドイツでは、それまで社会の支配的地位にあった大地主層と、商業市民層(ブルジョア)との間で世代交代にまつわる争いがありました(ドイツでなくてもどこでもありますが)。

その時代に生きたドイツの社会科学者たちの多くは、大地主と農民との間にある「人的絆」が、企業による賃労働関係では組織の中の「非人格的な関係」に取って代わられると主張し、嘆いていました。

こうした大地主と農民との関係が100%肯定されるべきかどうかは分かりませんが、しかし資産を持つ者が持たない者に分け与えるという所に、一種のロマンを見ることが可能だったのだと思います。

竹田さんの考えもこれに近いものだと思います。竹田さんがすごいのは、自分でそれを実践し、自分の莫大な資財を投じて社会貢献を行っているところです。

前近代的な関係がいいかどうかと考え出すと、議論になってしまいます。そうではなくて、組織ではなく、お金を持つ者が他人に与え、与える喜びのためにお金を稼ぐという実践に、一つの理想的な社会のあり方があるように感じました。


涼風

参考:竹田和平さんHP

   竹田和平さんBlog『みんなの「私の夢」』

   『トップファンドマネジャーの負けない株の黄金則』 藤野英人(著)
 
   『清豊の思想』 藤野英人(著)
  


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