もちろん家計は火の車

読書と映画、クルマにゲーム……いろんなものを愛しつつ、怠惰な日常を送るオッサンのつぶやき。

NHKの大河ドラマ「清盛」が、なんだかスゴイことになってますね~! ……の巻

2012年11月19日 | 日常

前から書いているように、ブログ主は“時代モノ”の愛好家である。
この夏は、あの「関ヶ原の戦い」で知られる古戦場や佐和山城を訪れているし
なんだかんだと、けっこう歴史小説の類も読み込んでたりする。
そういった関係で、NHKの大河ドラマも好きで、わりと観ているのであるが、
現在オンエア中の『清盛』……あれ、なんだかスゴイことになってますな~!

ご存知の方も多いと思うが、今年のNHK大河ドラマ『清盛』といえば、
放送開始直後から何かと評判が悪く、視聴率的にも「歴史的」低空飛行を続けている。
テーマ的にも、定番の“戦国モノ”ではなく、平安時代の王朝絵巻ということで、
ただでさえ「馴染みのない時代」を舞台にすることで一段、不利な立場にあるわけだが、
とにかく驚かされるのは、主人公である清盛(=平 清盛)が、
なんだかおそろしいほどのヒール(=悪役)として描かれている点である。
平安時代における“平家”といえば、清盛の時代に栄華を極め
俗に「平氏にあらねば人にあらず」と詠われたほどの権勢を誇ったわけだが、
その“平家トップ”であるところの清盛が、ドラマの主人公であるにも関わらず
とにかく、ありえないほどの「悪役っぷり全開」なのである(笑)。

『清盛』を観ている方ならお分かりと思うが、主人公=清盛の前半生は
苦労の連続であった。貴族が支配する平安朝において
「単なる田舎者」「礼儀知らずの乱暴者」として徹底的にいじめられ、
若き日の清盛ときたら「おのれ……この恨み、いつか晴らしてやるぞ!」の一念でのみ
将来に夢をつないで生きてきたようなものであった。
観ている側の視聴者としても、かわいそうなくらいのイジメに健気に耐える
清盛の姿に、思わず「おい、めげずに頑張れよ!」と応援の声をかけたくなったものだ。
で、その甲斐あってというべきか、“武士の時代”の到来とともに
平家の存在感がグイグイ上昇し、気がつけば「平氏にあらねば人にあらず」……。
いまや朝廷も貴族も平家の威光の前に平伏するほかなく、
いつの間にやら平安ニッポンは、清盛の「思うがまま」である。
要するに、これまでのドラマ『清盛』は、あの“島 耕作”もビックリ!(笑)の
超絶サクセス・ストーリーだった……というわけである。

そこまでは、よい。問題は「そこから」であった。
いざ都(みやこ)の実権を手中にしてからというもの、
この清盛ときたら、どうにもカン違いはなはだしいというか、
とにかく「増長しっぱなし」。要するに、憎たらしいほどエラそうにふんぞり返っているのである。
これは主人公である清盛に限ったことでなく、平家一門、全員がそう。
一族挙げて、見ている側がおそろしくなるほどの「やりたい放題」である。

歴史的に見て、たしかに「平氏にあらねば人にあらず」……という事実はあったのだろうが、
それにしても“ドラマツルギー”として、こういう手法は珍しい。
実はつい先日も、レンタルDVDで『天地人』『風林火山』を全巻通しで観たばかりなのだが、
『天地人』の主人公=直江兼続、『風林火山』の主人公=山本勘助の両名とも
気持ちのイイくらいの“いいヒト”で、自然の成り行きとして
視聴者の側としても、思わず感情移入することとなる。で、結果的に
合戦シーンなどでも「おい、負けるなよ~!」と、おおいに盛り上がってしまうわけだ。
……にもかかわらず。
今年の大河ドラマ『清盛』の場合、主人公である清盛に、とにかく
これっぽっちも感情移入できないのである。なんたって、どこから見ても「清盛=悪役」。
特にここ最近、松山ケンイチ演じる清盛ときたら、ビジュアル的にも凄みを増し……
というか、なんだか『スターウォーズ』に出てくる悪玉“ジャバ・ザ・ハット”みたいである(笑)。

 ←ちなみに『スターウォーズ』のジャバ様とは、この方ですwww。

もちろんドラマツルギーとして、たとえば
清盛は「この国のためを思って、いろいろ手を打っている」んだけど、
それが、源氏や朝廷などの周囲からは理解されず
ただただ「増長して、やりたい放題やってる」ように受け止められてしまう……
なんていう見せ方は、アリだと思うのだ
(でもって、そういう“不幸なすれ違い”の延長線上に「源平の戦い」が待っていた! みたいな)。
ところが今回の『清盛』の場合、そのような高度な見せ方をしている気配、ゼロ。
とにかくひたすら、「調子ぶっこいた」平家一門の皆さんが
やりたい放題の大暴走を繰り広げているだけで、観ていて不愉快なこと、この上ない。
来週の放送分で、ついに耐えかねた源 頼朝が「打倒、平家!」と挙兵するようであるが、
心情的には、源氏のみなさんをココロの底から応援してあげたい、そんな気持ちである(笑)。

正直これ、どうなんだろうね?
主人公=清盛が倒されることを積極的に願いたくなるような、ドラマ『清盛』……。
ひょっとしたら、なのであるが。
『清盛』製作スタッフであるところの「NHKの中のヒト」たちは全員、キレちゃったのかもしれない。
なんせ今年の『清盛』ときたら、映像的には、スゴイ頑張ってたのである。
チカラの入った“写実路線”の絵作りで、従来のドラマにはなかったほど
重厚かつリアルなビジュアルが展開していた。実際、ブログ主など
最初に『清盛』を観たとき、「お、今年の大河ドラマ、なんかスゲェ!」と感心したものである。

にもかかわらず……。
そうした手法が裏目に出て、放送開始後「画面が暗い!」だとか「衣装がキタナイ!」だとか
散々に批判された挙句、視聴率的に“惨敗”。その後、
あの手この手でいろいろとテコ入れを図った様子は見られるものの、
残念ながら、たいした効果もなく「今に至っている」印象である。
事態がここに至り、製作スタッフ一同、違った意味で「ハラを括った」のかもしれない。
気分的には「よーし、もう視聴率とかはあきらめた!
そのかわり、今回の『清盛』では、大河ドラマ的にありえない、
とにかくス・ン・ゴ・イ・も・の見せてやんよ!!
クビ洗って待ってろ! 分かるヤツだけついて来い。それでよし!」みたいな……(笑)。

だとしたら、今回の『清盛』における平家一門の「ありえないくらいの」暴走ぶりも理解できる。
もしかすると……今年の大河ドラマ『清盛』って、
大河ドラマ史上に残る名作(迷作?)になるのではないだろうか。
なんたって、大暴走中なのは平家の皆さんではなく「NHKの中のヒト」なのである(笑)。
ちなみに書くと、ドラマはついに「源平の戦い」に突入し、いよいよ佳境である。
悪いことは言わないので、みなさんも一回『清盛』、ご覧になってみてはいかがだろうか……?


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