味 形のないものを具象化するのは難しい。口で発生する感覚を、中国では「ミ」と言った。
だから、口偏に声符の未を添えて味覚を意味するものとした。日本ではこれを「あじ」と言った。
はじめに言葉があり、字が後からできたのだ。
人の基本的味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五味だ。うまみは日本人が発見した。
物質が味蕾に及ぼす反応によって味覚が生じる。
五味以外の辛味、渋み等は味蕾以外にも刺激を及ぼす。
例えばカプサイシンによる刺激は口腔全体にも、鼻腔、目、その他の粘膜にも生じる。
だから辛い物を食べ過ぎると、肛門もひりひりする。
広義の味覚は、匂い、香り、温度、舌触り、発酵物質、アルコール、炭酸、等々、で多岐に亘る。
個人差もある。
そもそも味覚とはなぜあるのか?
これは生物が生存のために体内に取り込む必要物質を見分けるために発生したと考えられる。
多種にわたる生物が、環境における適者生存によって、食物に対する感覚として得てきたものが味覚なのだ。
僕は、「人」が広い意味の味覚においては、一番優れていると考える。
人は生きるために何でも食べてきた。
火も使って料理することも覚えた。
だから多様な食材を多様に調理して、圧倒的ないわゆる「料理」なるものを生み出してきた。
人種によっても多様だし、環境によっても異なる。当然、個人差もある。
味覚の鋭い人もいる。味覚にうるさい人もいる。
今や、味覚というのは文化の一部なのだと思う。
僕は、何でも美味しいと感じて食べられる人が幸せなんだろうと思う。
私もかつて幼少時代に嫌いな食べ物を厳しく直させられた思い出があり、そのおかげで味覚が鍛えられたと親に有難く思っております。
生きるは味覚、味は文化。
素晴らしい言葉・・いいえ、これこそが究極の答えなのです。ありがとうございました。