ホーエンハイムのこと。雑誌ネタバレありません。

私、ホーエンハイムのこと好きなのよう～！
だって、彼は「もしかしたらエドもそうなったかもしれない姿」なんだよ？

過ちによって永遠の命を手にし、流転する世界から外れ何百年も孤独の時を生き、それでも美しい景色やその時々の出会いに慰められ、そうしてついに愛する女性と出会い、家庭を持ち、生きること＝死ぬこと　への渇望に気付いたのに、手がかりを得て旅から帰ってきたら妻は死に家は焼け落ち、そして子どもたちは禁忌を犯して旅立っていた・・・。
なんつー不幸な男なんだよっ！（涙）

エドとアルも、両親は正式に婚姻してないし親父は勝手に出て行くし母親とは死に別れるし身体の一部や全部を失うし、確かに不幸なんだけど。

それでも、ホーエンハイムやブラッドレイと比べたら、屁でも無いんだ。

ホーエンハイムやブラッドレイやスカーら、大人の男たちの、容赦無い不幸と。
エドとアル、少年達の、救いのある不幸の差は何か。

孤独か、そうでないか。

エドには、アルがいる。
アルには、エドがいる。
二人にはウィンリィがいてピナコがいてイズミがいてシグがいてホークアイがいる。

アルは元の姿に戻りたい。
鎧の身体が不幸なわけじゃない。「不自由だけど不幸じゃないよ！」
それでも、元の姿に戻りたい。それは、「一人の夜は嫌」だから。
異形の姿であることよりも、明日死ぬか1000年生きるか分からないことよりも、孤独な夜こそが辛いんだ。

だから、異形であっても、デビルズネストのキメラ達は不幸ではなかった。孤独では無いから。

何百年も生き続けるホーエンハイム。
孤独な夜は、何度超えても、やっぱり辛かっただろうな・・・。

けれど、友人は大勢いたはず。だってピナコの飲み友達なんだもん。酒場で笑うホーエンハイムの写真は、今だからとても貴重に思う。
あ。
そういえば、彼は写真でしか、笑ったり、泣いたり、してない。
物語の一歩後ろに茫洋と立っている、不器用で天然ボケで運の悪い男。ホーエンハイム。
彼が物語りの前面に来て、泣くか、笑うか、するときは、きっとその場にエドとアルがいるんだろうな。