歌猫Blog跡地

漫画「鋼の錬金術師」と荒川弘について語るブログ。更新終了しました。

お嬢様

2010年12月28日 | ◆小ネタとか突っ込みとかつぶやきとか
オリヴィエって、私、最初はちょっと苦手だったの。

もちろん初登場の時はカッコイイー!って思ったし、台詞も態度もステキ~!って思ってたけど。
ただ、いわゆる女っぽさを…揺らいだり、甘かったり、そういうトコをね。わざと一切排した、作られたキャラという感じがして。
なんかこう、「私のもの」にならなかったんですよ。

でも、ある日わかったの!
彼女は「お嬢様」なんだ、って!

それは、例えばお蝶夫人。例えば姫川あゆみ。
イマドキのお嬢様キャラではなく、ふた昔ほど前の、貴族の誇りがうざったい(笑)、お嬢様。
彼女らは総じて、後から来た、ベタ髪の庶民の女の子(=主人公)に、その地位を脅かされるのだけど。
または、もっと地位が上の人から厳しい指摘をされたり、あるいは恋に破れたりして、己の傲慢さを恥じ、悔い改めて生まれ変わるんだけど。

でも、もし、そうじゃなかったら?
恐ろしい才能を持った若い子は現れず、己の欠点には自ら気付き、自ら律し、才能と誇りのままにその人生を進んだら?

そうか!オリヴィエは
「男性でイメージされがちな「完璧な軍人」を、女にしてみた」ではなく、
「お嬢様がそのまま大人になった」、
そういう人なんだ!

そう気付いたら、私ん中で、オリヴィエがうわーっと大きく、魅力的になりました!

これは、荒川センセがどういうつもりでこのキャラを作ったか、じゃないの。マキャベリストを女で描いてみようとして彼女が生まれたんだとしても、そんなのは私には関係ないの。
ピナコが、爺さんより婆さんのが面白い、というだけで女性に設定された、のと同じに、キャラの魅力は彼ら彼女らがどう生まれたかとは関係無いの。
私の中でどこに立つかが問題なのよ。

オリヴィエは、お嬢様。
私はこれで、彼女が理解できた!
揺るがない自信は幼い頃から大勢の大人に可愛がられてきたから。甘さが無いのは己が人の上に立つことに微塵の疑いも無いから。
彼女は生粋のお嬢様。だから、女王たりえるんだ。

彼女がもし、悪役だったとしても。
周り中があなたは間違っている、と責め立てようとも。地位を剥ぎ取られ地べたに引きずり落とされようと、彼女は、つい、と顎を上げて、言うだろう。
「それがどうした。私は私の目で見て判断する」
彼女が例えばホムンクルスの側にいたとしても。彼女の信じる道を貫くだろう。そして彼女は誇り高くエドやロイの側に倒されるだろう。それはラストのように?いいや。ラースのように。

でも、幸いにして彼女は鋼ワールドの癒しと笑みを司る、アームストロングの姉だったので、ハッピーエンドの側に立ったのでした。
よかったよかった♪



私ね。
ブリッグズの砦の手前の雪原。エドとバッカニアが戦った広い場所。
あそこは、6月になると、雪が溶けて、一面の花畑になると思うの。
北国の一瞬の春。
そして、そこにはブリッグズ砦で亡くなった兵たちの、お墓があると思うんだ。

それで、氷の女王は、砦の上から、それを見下ろして言うの。
亡き戦友らの安眠の地を、ドラクマの野蛮人に踏ませるな!総員、砦を死守せよ!・・・・・・などという姑息な意図が見えみえの造成だな。私は好かん。

私の中のオリヴィエは、そんな人。


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