歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
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歌会たかまがはら2023年4月号 手取川由紀さんへの質問

2023年05月01日 | その他・連絡事項
ここでは、2022年4月8日配信の歌会たかまがはら2023年4月号で皆様からいただきました手取川由紀さんへの質問をご紹介いたします。

回答につきましては手取川由紀さんからいただいたものをそのまま掲載しております。

なお、手取川由紀さんの回答に対する質問は受け付けておりませんので、あらかじめ、ご了承ください。

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<番組中にお聞きした質問>
Q1,ツイッターを見たところ、「酵母」というお名前で登録されていますが、酵母に思い入れがあるのですか。
手取川という清酒があるので、そこからでしょうか。(神ヤ飛ビ魚さん)

A1,順序としてはまったく逆でして、まずは自分の髪型が漫画キャラクターの「コボちゃん」に似ていることを同僚に指摘されて、最初に「コボ」をもじった「酵母」というアカウント名が爆誕したんです。そこから数年たって筆名を得ることになった際、「酵」は地元の日本酒の銘柄「手取川」へ、「母」は母と祖母の実名から一文字づつとった「由紀」へと変化しました。

Q2,連作を編む際に、最も意識されていることは何ですか?(山形県 西鎮さん)

A2,連作に一本の筋を通すことですね。歌すべてが、とある大きな道へ寄与するように組み立てます。
最も意識していること、というとこの一点のみになってしまうのですが、ちょっと寂しいので他にもいくつか挙げさせていただくと、そのときの自分や今の自分、いずれにも嘘をつかないようにすること。短歌という表現フォーマットを使わせてはもらいますが、力に従いすぎないこと。これらは常に頭の片隅に置くようにしています。

<短歌についての質問>
Q1,今回の題詠「馬」は難しかったです。題詠があって歌を作るときはどんな感じで歌が浮かぶのですか?(神奈川県 corazoncitoさん)

A1,題詠、実は私も非常に苦手としています。抽象的な話になりますが、歌を語の強制ありきで詠んでしまうとどうしても既存のイメージから脱却することができず広がりに欠けてしまうので、やはり景や感情を先に立たせてから題が含む要素へ近づけていくことを意識しています。ですから歌が浮かぶときは案外、題のことをまったく忘れて散歩しているときだったりしますね。

Q2,手取川由紀さん、天野うずめさん、初めまして。
いつも配信ありがとうございます。
さて、手取川由紀さんへの質問です。
『短歌ムック ねむらない樹vol.7』(2021年·8月)
に掲載された連作「感情や星や魔法」を拝読いたしました。競馬をテーマにした作品ですが、競馬に詳しくなくても楽しむことができ、競馬ファンはより深い味わいがあるのではないかと感じました。
その理由は、幻想的な名詞の使い方にあると考えました。この連作の中には、たくさんの名詞(「岸」「祝福」「飛行士」「コンパス」など)が登場しますが、品詞の選び方について決めていることはございますでしょうか。
長文失礼いたしました。
今後も手取川さん、天野さんのご活躍を楽しみにしております。(南字実さん)

A2,名詞の選び方、ということでよろしいでしょうか。決めていることは特にありませんが、普段使わないような名詞を扱う場合は、辞書を引いて正しい意味かどうか調べるようにはしています。共起表現でより良い語が選択できることも稀にありますから、損はないかと。そもそもどうやって思いつくのか、という話でしたら、例えば「飛行士」「コンパス」なんかはオジュウチョウサンのことを読んだ歌だったと思うんですが、障害を飛越しながら進む人馬をそのまま航空機の構造として再把握して、そこから引っ張ってきた感じです。タネがばれるとあっけないものですが、物事を要素単位で分解して組み替え直すのは表現の手法としてかなり便利なので、ぜひいちどお試しください。


Q3,短歌を作る、興味を持ったきっかけがあれば、教えてください。(神ヤ飛ビ魚さん)

A3,野ざらしで吹きっさらしの肺である戦って勝つために生まれた/服部真里子

上記は自分が(意識的に)初めて読んだ短歌なのですが、この出会いがなければ短歌を始めていなかったし、平和園に赴くこともなければ、競馬にも出会えていませんでした。すべては勝つための物語。私も勝ちたいです、いつか、最後には。

Q4,手取川さんの韻の踏み方がすごいな、といつも思うのですが、韻を先に思いつくのか、歌を作ってから韻を踏みなおすのか、その辺りが是非聞いてみたいです(よくある曲が先か、歌詞が先か、みたいな質問です)。(東京都 永井駿さん)

A4,あまり深く追求したことがありませんでした。「羽化のメソッド」を作った期間なんかは、それこそ選者にMoment JoonさんがいらしたこともあってHIPHOPを聴き込んでいたんです。そのリズムが身体に浸透していて、それで結果的に自然と作風がああなりました。さて歌と韻のどちらが先かという質問でしたが、振り返ってみればやはり歌が先立つことがほとんどだったように思います。それらの歌をより気持ちよく、身体や感情にとってより馴染みやすい形に整えていく中で韻がうまれていったような感覚です。ふと韻を先に思いつくこともあるんですが、そこから歌を組み上げようとするとどうも不格好になってしまうというか、狙いすぎで気持ち悪くなってしまうんです。短歌において韻はあくまでひとつの要素でしかないので、歌そのものが自主性と必然性をもって引き連れてくることが大事なのではないかと思います。

<競馬についての質問>
Q1,もし予算無制限で競走馬一頭のオーナーになれるとしたら、どんな馬を選びますか?また、預け先の厩舎や騎手の指名などもあれば教えてください。(愛知県 甘夏せと香さん)

A1,すごく難しい質問です。どんな血統背景がいいかな……と考えていたら休日が終わってしまいました。さておき、実のところ馬主に関してはほとんど知識がございません。加えて私は今のところただのいち競馬ファンでしかなく、たとえ金に糸目をつけないことが可能であったとしても、まだ競走馬一頭の生涯を背負うほどの信念も覚悟も十分に足りていないと思っています。ですので、現状はお答えが用意できない、というほかありません。ご期待に沿えず、申し訳ございません。今しばらくは馬券で人馬を応援しながら、鮫島克駿騎手のGⅠ初制覇を願っていようと思います。キセキ産駒がデビューする日も楽しみですね。

Q2,もしも競走馬に名前をつけるとしたらどんな名前をつけたいですか。(鹿児島県 西淳子さん)

A2,ネーミングのセンスが皆無なので、ダービースタリオン(馬主になるゲーム)をプレイしているときなんかは馬名を楽曲の歌詞や本のタイトルから拝借していました。ちなみにデータを見返してみると、キングカメハメハ産駒のプニッテコトカイという馬がGⅠを制覇していて、母の名前はアイマイサンセンチでした。


<その他についての質問>
Q1,WBC、楽しかったですか?(愛知県 岡田奈紀佐さん)

A1,楽しかったです!祖父母と母、総出で盛り上がりました。村上選手のサヨナラでメキシコに逆転勝利した瞬間なんかは興奮のまま勢いでビールを空けちゃったんですけど、だれも咎めませんでした。昼間から飲む酒、めちゃくちゃ美味しかったです。さておいて、やっぱり自分は「勝つ」ための物語が好きなんだなと思います。そう考えると競馬も同じですね。トウカイテイオーやディープインパクトのラストラン(1993年・2006年有馬記念)とかはなんども見返してしまいますから。


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以上となります。皆様からのたくさんのご質問ありがとうございました。
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