宴乃桜/徒然お箏日記

お箏弾き「宴乃桜」の日記です。

年の取り方

2012-05-28 10:51:19 | Weblog
今の家に引っ越したのは平成2年ですから、もう20年以上経ちました。当時まだ私は20代でした。

ご近所に今、にこやかなおばあさんが居ます。よくどこへかゆっくりと歩いていらっしゃいます。もう80才は越えてらっしゃると思います。いつも笑顔です。

でもこの方は、私が越してきた20年前はまだお元気で、しっかりなさっていました。よく両手を腰に立ってらっしゃるのを見ました。挨拶しても一度も返事を下さる事はなく、無言でじっと私の顔を見るような人でした。いつもとても嫌な気分でした。

でも私は、いくら無視されても威圧されても、挨拶だけはして来ました。

あれから20年、あのおばあさんも今は80を越えられ、今ではにこにこして、出会ったら私を見て、挨拶のタイミングを作ってくれます。

私は心の中で、この方は随分変わったな、と思いながら、
「おはようございます。」
と、今朝も挨拶して来ました。

でも私は、20年前と同じ挨拶をしています。
にこりともせず、口先だけのセリフです。挨拶さえすれば後は見向きもしません。こっちを見て何か言いたげですが無視しています。

20年前からずっとこうです。私は、あちらが年を取って笑顔になったからといって愛想良くするつもりは全然ありません。20年前、私が小娘だった頃に見下さず笑顔を向ける方であったなら、私も今こそと思ったと思います。

この方は20年前、いずれ自分が年を取って弱くなるとは思っていなかったのだろうと思います。

このおばあさんからいい勉強をさせて頂いています。

若い者はいつまでも若くはない、
弱い者もいつまでも弱くはない、
強い自分も必ず老いる、
般若心経の「色即是空」でしょうか。この世のものは常に変化する。全てが実態のない「空」である。

孔子の論語に好きな一文があります。
「後世おそるべし」

今、ある弟子のおばあちゃんが、親もしてくれない程の事をして本当によくして下さっています。私も嬉しくて心から感謝し、頼りにしています。中西先生の事も大切に考えて下さり、お年の功で私の中西先生への気持ちを分かって下さいます。ご本人は
「孫がお世話になるから」
とおっしゃるので、孫ちゃんへの愛情から出る行為だろうとは思いますが、

理由はどうあれ、これほどよくして下さった恩は私は忘れません。孫ちゃんをしっかり仕込むのは家庭からお月謝頂く以上当然の事、それとは別に、私自身この恩義は忘れませんから、いずれこのおばあちゃんをご家族がお世話する時が来たら、私も一員に加えて頂きたいと思っています。

私はよくしてもらったらして返したいし、そうじゃなければ表面だけでいいと思っています。

更に、若い時に意地悪されたり皮肉られたりしたら、いずれその人の孫子が困る時が来ても関知しません。同類になりたくないからされたようにして返したりは絶対しませんが、困ろうどどうしようと私は関係ない、と無視するつもりです。きりがないですし。

どんな結果も自分が出した結果だと思います。日頃が大事。若い者を侮るのは天に唾吐く行為だと思います。長年の積み重ねが一番大事な事だと思います。したようにされるものと思います。これから老いに入って行きますが、これから終わりに向かってどう生きて行くか、よく考えながら生きて行きたいと思います。

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