ふくろたか

札幌と福岡に思いを馳せるジム一家の東京暮らし

師走の映画2本を語る(ネタバレあり)

2017年12月11日 | 日記・その他

9日に錦糸町で鑑賞。どちらもかなりの客入りだった。

【オリエント急行殺人事件】

監督・主演を務めた名優ケネス・ブラナーは

「クリスティの物語をシェイクスピア劇に」をやりたかったのだろう。

奇しくも現在紛糾している「聖地」からのオープニングや

「最後の晩餐」の構図を思わせるクライマックスから、それがうかがえる。

登場人物の楽しげな酒宴で終わった74年ルメット版と違い、

それぞれ心に傷を負った登場人物が、特急車両という「籠」の中で、

下車したポアロを見つめながら、遠くへ運ばれるラストも重々しい。

本作への評価は、結末を知っているか否か、ではなく、

この描写を是とするか非とするか、で分かれると思う。

ワタシはダメだった

最も大きな理由は、刺殺の回想シーンの改変である。

この刺殺は単なる「復讐」ではなく、陪審員12人による「裁判」と考える。

74年ルメット版は、このシーンで登場人物それぞれの表情をアップで撮り、

「××のために」と全員に独白させて、忠臣蔵の討ち入りのような見せ場に仕上げた。

しかし、本作の刺殺は、さして広くもない一等客室に登場人物が入り乱れながら、

矢継ぎ早にナイフを突き刺すサイレント。これではただの集団リンチである。

加えて、本作は全編を通して、かなり不自然な点がある。

大雪のために列車が立ち往生したという74年ルメット版と違い、

本作は断崖の高架橋上で雪崩が直撃し、先頭の機関車が脱線したという設定。

高架橋での追跡劇や車両内での銃撃を盛り込むためとみるが、

登場人物全員が「雪崩の第2波、第3波が来たらどうしよう?」と心配しないwww

列車ごと谷底に落ちてもいいのかな・・・

ケネス・ブラナーによるサスペンス映画のリメイクと言えば、

「スルース」が思い浮かぶが、「スルース」が「骨を換えずに肉を換えた」のに対して、

本作は「骨を換えて効果イマイチ」という印象を受けた。

まあ、それでも続編の「ナイルに死す」が公開されたら見に行くが・・・

というのは、ケネス・ブラナーは実は「カーテン」を撮りたいのではと思ったので。

バランスやシンメトリーを重んじ、善悪の二元論を主張するポアロが

「グレーゾーン」の存在に苦悩する本作の描写を

「カーテン」への伏線と考えるのは、推理の飛躍だろうか?

【仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL】

この映画と「オリエント急行」を比較する馬鹿はいないだろうが、

「オールスター・キャストの生かし方」という点では、むしろ軍配を上げる。

登場人物のそれぞれに見せ場があり、ライダーの各フォームもてんこ盛り。

脇役陣を含めた「夢の競演」の数々にも満足した。

特に英司とアンクの再会、そして再びの別れは、ファンには胸熱だろう。

上映終了後には「久しぶりにオーズ見よう」と語り合う声があちこちで聞かれた。

学生時代に「極道忍者ドス竜」や「!(アイ・オウ)」を見たワタシは、

オーケンの演技を心配していたが、マッド・サイエンティストという配役が

演技力の拙さを隠して余りある。最上魁星、いい敵役だった。

エンドロールに流れる平成ライダー6シリーズの豪華メドレーも必聴。

この手のライダー映画では恒例の「新ライダーちょい見せ」や

「アマゾンズ映画化」の特報も控えているので、

くれぐれも上映終了の最後の最後まで席を立たないように。

ところで、ワタシの席の両隣がともに父親といっしょの幼い女の子だったのだが、

フォーゼが登場した時に「コレ、どこかで見たことある」と異口同音に語ったのが

ちょっと衝撃だった。そうか、フォーゼをリアルタイムで見なかった世代が

映画館に足を運ぶ時世になったか・・・<フォーゼは2011・12年放映

なお、この映画によって、ビルド主人公の桐生戦兎は単なる記憶喪失ではなく、

「×××と人格が入れ替わっている説」が有力になったと考える。

映画化もされたフィリップ・K・ディックの某作品へのオマージュか?


  • JRA

阪神JFを制したのは2番人気のラッキーライラック

3戦無敗を飾り、父オルフェーヴルに産駒GⅠ初制覇を贈った。

その馬名と「ノーザンファーム生産」という点で、札幌サポにも喜ばしい勝利。

ワタシの馬券もちょい浮きになって、ひと安心。

ロックディスタウンは大外枠が響いたかな・・・折り合いを欠いて、直線でバテたね