ぼけヴォケ!

認知症患者と介護家族はいかにしてボケツッコミスキルを入手したか。
慢性骨髄性白血病発症。目指せ分子遺伝子学的寛解維持。

バトる。

2011-04-24 | Weblog
とうとうひっぱたいてしまいました。Booじーちゃ。


変えた薬が合わないのか、ここんところ不穏著しいBooじーちゃ。


「(不穏が)ひどくなってます。人に手を上げたりされるんで、付き添いにきてください!」

病院からの連絡、というかSOS。
あいにく、大叔父の一人の一周忌でワタクシメ以外は棲息地を離れている。しかも車で。
足もなければオアシもない。人手もない。
手も足も出ないだるま状態の事情を説明したところ。
一度は病院も「じゃあいいです」と言ってくれたのだが。


数時間後。
「やっぱり手におえません!来てください!」


…………。


たった一人の別働隊、出動である。


足はしょうがないのでタクシー使用。
飛んでってみれば、がんとしてエレベーターの前から動きませんBooじーちゃ。
困り果てている看護師さんに事情を聞いてみると。
二晩続けて不眠症状も出てきていたのだが。それでもちゃんと日中のリハビリは受けてたBooじーちゃ。
それが、どこでどうスイッチが入ったのか、またもやエレベーターに執着しだしたのだという。
同時に暴れるようになったというから困ったものだ。


しばらくエレベーターホールで一緒に待ってみたり、気を紛らわせようとトイレの介助や歯磨きの介助をしたり。
「なんで(エレベーターを)待ってるん?」と聞いてみると。


「歯磨きを買いに行く」「魚獲りに行く」「借金しに行く」「船が待ってる」……。


コっロコっロ言うことは変わるが、病院を出て行こうとしているのは首尾一貫している。
とはいえ、立つのさえ手すりにつかまってやっとぷるぷるしてるBooじーちゃ。
出すわけになどいかぬ。


いーかげん夜も遅い。


部屋に戻るようおだやかに言い聞かせてたのだが。
「邪魔しるあんだな!」と激昂したBooじーちゃ。


ワタクシメを車椅子で轢くわ、自分の足で踏みつけるわ、蹴りあげるわ。


慌てて看護師さんがナースステーションから出てきて、加勢してくれたのだが。
スイッチは入ったっきりのBooじーちゃ。


「そこをどかんと痛い目にあわせる!」


興奮しきって車椅子から立ち上がるとつかみかかってきた。
ただでさえ、まだまだ腕力がありあまってるBooじーちゃ。
ワタクシメよりも小柄な看護師さんたちなぞ取り押さえるのも一苦労である。
なにせ、拳を見せつけるようにぶんぶんと振り回して暴れるのだが。
……脅されたってどくわけにはいかんでしょ。


どうにか看護師さん2人とワタクシメで取り押さえ、車椅子に座らせようともみ合ううち。


渾身の力で指を折られかけたり。何度か義歯でがぶりと噛みつかれたりしましたワタクシメ。


それをなんとかふりほどくにはビンタをいれるしかなく。
応戦するのに何発かお見舞いせざるをえなかったのだが。


盛大にバトルをくりひろげた興奮が静まったあとの、その後味の悪いことといったら……!
ものすご~く自分自身が情けなくなってきて。どしゃぶりの帰り道、泣けて泣けてしょうがなかった。
真っ暗な家に帰りつくと。家族が留守なのをいいことに、大泣きした。


その時はそれしか方法がなかった。
そう思っても、自分の祖父ととっくみあっただけでなく、手を上げたという自己嫌悪は吐き気を催すほどひどい。
二度とやりたくないし、やってはならないことだと骨身に沁みた。





冷えてきたせいか、フルパワーで蹴られたあちこちが痛い……。
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2 コメント

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闘ったのは... (BooHooWoo)
2011-04-24 07:08:51
...かける言葉が見付かりません。
明日はWooにも起こるかも知れない事態です。
泣けて良かったです。溜めこまずに泣いて下さい。

そして、うりゃ。さまがひっぱたかねばならなかったのは
お祖父様ではなく
認知症の症状だったと思って下さると、少しは気が晴れるでしょうか。
うりゃ。さまを可愛がって下さった逞しいお祖父様は
お疲れ気味で、少々表に出てこないのです。

う~む、いつもこちらで励まして頂いているくせに
立場が逆のそういう行為が出来なくてすみません。

どうかどうか、心と一緒に蹴られた痕がひどくなりませんように。
返信する
お心遣いありがとうございます。 (うりゃ。)
2011-04-24 19:19:00
>BooHooWoo様

優しいコメントをありがとうございます。
高齢者というのは、皮膚下の毛細血管の壁も弱くなってきているので。
それこそ、つかみ合いをしたりびんたをお見舞いすると、軽い内出血を起こしてしまいます。
握って押さえ込んでいた両手首だの、ひっぱたいたほっぺただのが赤紫のまだら模様になってしまったBooじーちゃ。
それを思い返すと、まだちょっと感情が不安定になってしまいます。
今日、あねうえどのが撮ってきてくれたBooじーちゃ。の顔は、もうなんともなくなってたんでほっとしました。

認知症状というのはつくづく厄介です。
誰に、いつ、どう起きても不思議じゃないところが厄介です。
体を張って止めるというのは。
覚悟はあっても、実現に移らない最終手段であることが望ましいのですが……。
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