1定質問③ 子どもの居場所・不登校児支援・いじめ対策について
辻市長の市長2期目に取り組んだ屋内遊技場のパラきたKidsは、昨年4月末のオープン以降、子育て世代の市民に好評を得ているようです。北見市内の対象年齢・0歳児から小学生まで家族が見守る中、今年1月までの9か月間では利用児童数は約四万人、月平均4.350人、また定例の親子キッチンスタジオの催しも、毎回、定員いっぱいと確認しています。パラきたKidsは幼児期を中心にした子どもの居場所として、大きな役割を今後も担ってくれることと思いますが、さらに市民に信頼される、こどもの居場所として努めていただきたい。コミュニティプラザ・パラボ全体の集客にも貢献する辻市長の2期目に取り組んだ事業の成果の一つと市民・連合クラブは受け止めています。
さらに令和6年度には子ども医療費の高校生世代の18歳まで助成対象を拡充すること。第2子以降の保育料を一律無償化にするなど、厳しい財政状況においても、しっかりと「子ども・子育て支援の取り組み」として公約を実行すること、辻市長の人口減少、少子高齢化社会を見据えた取り組みとして受け止めています。
しかしこども・子育て支援の北見市の課題は幼児期ばかりではありません。昨年、12月にこども家庭庁は、「こどもの居場所づくりに関する指針」を発表しました。少子化時代の子育て。子どもの居場所に関する課題が多々あることが示されています。
「子どもに居場所があったなら、この子は、こんなひどい目に合わないですんだだろう」。そう思えるような事件事故は連日のように報道されています。児童虐待、不登校、自殺、そして先日、北見市教育委員会が公表したいじめ問題もあります。これらの件数が増えるばかりの現実です。
価値観や生活の多様化が進む中で、人と人のつながりの希薄化が招いている子どもたちの孤独や孤立。そしてライフスタイル、ライフステージの変化などへの対応、▶ 子育て世代の声として「子どもの居場所の確保」は求められてます。
- 子どもの居場所・不登校児支援についてお聞きします。
文科省が示す「こどもの居場所づくりに関する指針」では、①居場所を増やす、②こどもを居場所につなげる、③こどもにとってより良い居場所にする、④こどもの居場所づくりを検証するといった子どもの視点に立った、子どもと一緒につくる居場所が求められるとして、官民の連携、協働の取り組みで居場所づくりを進めるとしています。
では、北見市におけるこどもの居場所づくりの現況はどうでしょか。子ども全体の中では対象が少数であっても、こどもの不登校児童が増えているという大きな課題があります。
私は平成29年12月議会、令和3年12月議会と過去に二度、不登校対策について質問していますが、当時、全国の不登校者数は12万人程度だったものが、令和4年度には小中校で約30万人と右肩あがりの状況です。あわせていじめは小中高、支援学校合わせて約68万件と文科省は発表しています。北海道においても不登校は12.320人、いじめ認知件数は34.499件といった状態で、コロナ禍を経て、もはや教育は、学校に通って学ぶことを前提としの対応だけでは対処できない状況になっています。
国は平成28年12月にあらたな教育の機会の在り方として、学校以外の居場所、学びの場の確保を想定した義務教育における教育の機会を確保する「教育機会確保法」を施行。それから7年を経過しています。学校以外の子どもたちの居場所であり学ぶ場、また学校教育の在り方を模索する自治体、学校も出てきています。
今年、1月にNHKで不登校特集の番組が放送されました。北見市教育委員会でも見ていた関係職員がいたと聞いています。番組で文科省の担当者は、今、学校教育の在り方が問われており、教師が学習のすべてを主導するのではなく、子どもたちの自主性を尊重し、「子どもを見守り、自分で学び、発見できたこと、気づいたことが、学びを深め、学ぶことに積極的になる」。学校教育の未来として「学びの多様化校整備」は必要であり、そんな取り組みを実践している学校が今、全国に24校あり、目標は300校と説明していました。
山形県天童市では、子どもに一部の授業を任せる取り組みにより、こどもの不登校が無くなった学校の事例報告がありました。石川県の加賀市教育委員会は、教育長が結果責任・説明責任を持つからと「子ども主体の学校づくり」を今年度スタートさせています。多様な学びの場として、学校内の改革も求められる時代になりました。
▶まず多様な学校づくり。「学びの多様化整備校」の必要性について、北見市教育委員会としての見解をお聞かせください。
また番組では教育の場の確保について、「不登校は問題行動と判断してはならない。不登校を悪いとするのは偏見である」として学校以外にも居場所、学びの場が必要なことを伝えていました。
現在の学校の在り方に、様々な理由でなじめずに不登校を選択する子どもの存在を、いないことにはできません。自治体の義務である教育の保証には学校以外の学びの場の確保も求められています。北見市教育委員会は学校以外の学びの場として教育支援センター「あおぞら教室」を運営していますが、それを選択肢としない、できない不登校児が多い現状ではないでしょうか。
▶熊本市教育委員会では学校個々に対応をゆだねるのではなく不登校児童を専門としたオンライン授業に取り組んでいるそうです。ギガスクールでオンライン授業の環境が整っている北見市です。検討すべきと考えますが、見解をお聞きします。
▶さらに進化した取り組みとして、帯広市が取り組むアバター(仮想空間)でのオンライン登校といった取り組みも、今、不登校関係者の間で注目されています。Eスポーツをオリンピック種目にとの声も聞こえる時代です。そういう新しい取り組みも必要と考えますが、見解をお聞かせください。
▶また不登校児の通うフリースクールや夜間中学校も誕生しています。市は運営状況を、どのように捉えていますか?子どもたちが安心、安定して通えるような運営のためには保護者の負担軽減として利用料支援も必要です。教育委員会の考えをお聞きします。
▶人権尊重を掲げ、多様な人たちを支え合う社会を目指す北見市です。不登校児個々に、どのように寄り添い学びの場を保証するのか。当事者本人・家族の声、状況を踏まえながら、先進事例も参考に対応を図るべきではないでしょうか。教育長の見解をお聞きします。
道教委は「いじめ見逃しゼロ」の徹底を目標に昨年3月に北海道いじめ防止基本方針を改定したと確認しています。2月29日に開催の臨時市教育委員会において、北見市内の学校で昨年5月に保護者が登校を嫌がるお子さんについて担任に相談したものの、学校の取り組むべき対応について、市教育委員会へ報告が無かったと報道されていました。9月に保護者が市教委に相談して対応がスタートし、「重大事態と認定、いじめ対策支援チームを設置し、調査に基づく会合を重ね今回の臨時市教育委員会に報告。併せて市のいじめ防止基本方針の改定案が承認された。」と新聞報道で知りました。
本来なら学校から市教委へ義務として報告がなされるべきものが、保護者から市教委に相談があるまで4か月間、学校においてどのような対応をしてきたのか。
最近の旭川市や札幌市のいじめが原因と思われる被害者の自死に至った事件に関して、その調査報告も第三者委員会の求めがあって、初めて、公に報告文書の文面が黒塗りにされた状態で、提出されるといった報道を目にしています。
今、市役所のパワハラ処理を第三者委員会で調査が行われている状況です。すべてを学校という密室の中で処理しようとしていたのか。
新聞報道を読む限り、市教委から学校に確認するまで、学校から報告が無かったことは、学校は、この事件を隠蔽をしようとしていたのか。いじめ対策支援チームでは、どのように検証結果をまとめているのでしょうか。
▶市教委が、この事件を重大事態と認定しています。重大事態とは、どのようなことを指しているのか。そして何が重大事態と認定する要件として挙げられたのか。また、北見市において、重大事態に相当する事件はこれまであったのか?
あれば、どのような対応がなされていたのか。
▶学校内において、適切に処理されていなかったとしたら、どこに問題があったのか。誰に責任があったのか?
▶市教委は「いじめ対策支援チーム」でまとめた調査報告について、保護者にいつ、どのような形で報告はされているのか?保護者はその報告内容に納得されているのか?
▶被害者のお子さんの転校時期はいつだったのか。教育委員会への相談前に保護者の決断でお子さんが転校されたのか。それとも教育委員会に相談後に協議の上適切な対応として転校されたのか。
▶転校に追い込むような学校側からの圧力は無かったのか。保護者は担任に相談後の学校の対応を受けて、お子さんの転校を決断するしかなかったのか。お答えください。
そして教育委員会の対応も適切だったのか、当然に問われます。
▶2月29日の臨時教育委員会では、この事件を重大事態と認定したことの報告に合わせ、いじめ防止基本方針の改定が承認されています。道教委がいじめ防止基本方針を改定してから、一年近くを経過しています。道教委のいじめ防止基本方針に速やかに市教育委員会が対応し、市のいじめ防止基本方針を改定していたら、当然、各学校に対し、市教委として指導されていたはずです。
昨年12月議会の久保田貴行議員による「教員の健康推進のための産業医の必要性」に関する質問において、各学校に衛生推進者が配置されていることが報告されていましたが、校長会の会議で学校長に配置するように周知したとのことでした。どこまでその対応で機能しているのか。
いじめ対応も衛生推進者と同様に学校長の認識によって、大きな差異があることは想像できます。
当然、この事件の学校においても、新たな道の示した方針に基づく、速やかな対応を市教委がしていたなら、学校の対応も違っていたかもしれません。けっして学校側ばかりの問題とは思えません。いじめが発覚しやすい仕組み作り。市教委がしっかりと取り組まなければいかない課題です。どう対応されたのかお聞きします。
▶併せて北見市教育委員会のいじめ事件の調査、報告に関する資料の扱いについて、どのような対応をなされるのか。お聞きします。
まず、今回のいじめ重大事態の対応について、教育長から,
答弁を頂きました。
▶辻市長、市長は北見市総合教育会議の議長という北見市の教育に関して総合的な責任を持つ立場でもあります。
こどもを守る、子育て支援を市政の最優先課題と令和6年度市政執行方針でも位置付けています。
今回のいじめ問題。重大事態の対応に関して、辻市長からも市民に発信すべきです。市長の考えをお聞きします。
一学年、1クラスの小規模校を抱える小さな地域社会での不登校児の対応を考えてみてください。小学校から中学校まで、ずっと同じ顔触れで卒業まで生徒同士は付き合うことになります。そのことを苦痛に思い、どうしても学校に行けない不登校児もいるかもしれません。
先日、訪問した学校では、校長先生が不登校児の保護者の皆さんに呼びかけ茶話会を開いたそうです。あなたのお子さんだけではないですよと、本人、家族を孤立させない取り組み。どう居場所をつくり学びの継続につなげて行くか。
手探りながらも、まずやってみる。ぜひ継続してもらいたいものです。
自治体の教育予算の財源は国の負担です。文科省の示す、これからの多様な教育の在り方を受けとめると、その使い方は学校に行ける児童生徒だけが対象でないことは、理解いただけると思います。学校以外の居場所、学び方選択した子どもたちへの学びの保障。適切な予算範囲の中で、相当の支援に使うことは、子どもの権利として対応しなければいけないはずです。
こどもの権利条約第28条は、子どもたちの学ぶ権利を謳っています。不登校児が学ぶ選択肢を拡充する支援は、
教育の視点ばかりでなく、官民の連携により、子どもの居場所づくりとして、進めなければいけません。そういう意識を持って取り組んでいただきたい。
しっかり検討してください。