The Giving Tree
ギビングツリーは、30ヶ国語以上に翻訳され、世界中で子どもにも大人にも読まれている絵本です。絵もお話もシルバースタインの作ですが、彼の作品の中でも、もっとも読まれているロングセラーでベストセラーです。
樹のグリーンに小さな林檎のポップな赤が映える、明るい印象的な表紙のギビングツリーの絵本は、一見すると、寒いクリスマスシーズンにふさわしいお話とはとても思えません。が、サンタやトナカイや雪だるまが表紙を飾る絵本に並んで、必ず毎年、本屋さんのクリスマスコーナーに登場する一冊です。
林檎の樹が少年と友達になりました。樹は少年が大好き。少年の望むものは何でも与えようとします。暑い日には涼しい木陰を、おなかがすけば林檎の実を、遊びたいときは枝を差し出してブランコを下げてやり……。ついには、遠くにある広い世界へ行きたいという少年のために、幹を投げ出して船を造らせ、少年はその船に乗って樹のもとを去ってしまいます。
やがて、永い年月の後、年老いて戻ってきたかつての少年に、樹は、もう何も与えるものがありません。
でも、今、かつての少年がほしいのは安らぎだけ。ああ、それなら……。樹は、また少年の望むものを与えることができて幸福でした。
まさにクリスマスに読むにふさわしい愛のお話です。