悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-11-28 10:46:17 | 日記
第一話[左馬](一)


「おっ。8時だねぇ」
「じゃぁ~ 行くか」
「そうしようか」
「ママァ~ おあいそうお願いします」
「はい」
「領収書貰っておいて」
「うん」

歩いて10分弱の権堂の地下に入った。
「今晩は」
「いらっしゃいませ』と20代全般のエミちゃんが微笑んだ。
「あら。中さん。今日はお二人ですか」
「そう」
「いらっしゃいませ」と30代後半のマスターが挨拶した。
「うちの専務だよ」
「そうですか。よろしくお願いします」
「静かないい店じゃない」
「俺が来るときは、いつも客がいないんだよ」
「流行ないのか」
「そう言訳ではないと思うけど」
「運がいいのかもしれないなぁ」
「“よっこらしょ”や“おつかれさま”も俺が行くと客がいなんだよな」
「そぅ言えばそうだな」
「お前。もしかしたら、3神かもしれないな」
「なに、それ」
「疫病神。貧乏神。死神の事だよ」
「そんじや、お祓いしないといけないな」
「そうだよ。恐らく行くところ行くところ潰れるぞ」
「じや、あれだな。ジョイマートも身売りするかもしれないな」
「もし、そうだったら、その前に担当替えしないとダメだな」
「俺以外に出来る奴いないじゃない」
「そうなんだよな」
「でも、俺よりハゲ高や浜田の方が、強力な三神がついているよ」
「そうだな。あいつらに任せたら、客が入らないどころか、倒産するな」
「俺もそう思うよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「笑い事にならなければいいがなぁ」と大村専務が言った。

「中さん。ビールにしますか」とおしぼりを渡した。
「いや、中ハイでお願いします」
「それなら俺も同じにして」
「分かりました」
「マスター。今日は客がいないね」
「金曜の夜は客足も遅いんですよ」
「何処かで下地を作っているんですかね」
「この界隈は居酒屋が多いから、そうかもしれませんね」
「長野県も花金時代に入いるでしょ」
「いゃぁ~ まだ東京からすると、遠い話ですよ」
「都会だけか。浮かれているのは・・・」
「そうだと思いますよ――」
「そんなら、次からは得意先の連中も連れてきますよ」
「お願いします」
「そうだ。専務ボトルを入れておこうか」
「そうだな」
「それじゃぁ~ エミちゃん。ダルマ出して」
「はい<」
「中さん名前を書いてください」とマジックを出した。
「何ヶ月で流れるの」
「いいえ。うちは流しませんよ」とマスターが言った。
「そう」
ジョイマートと書いた。
「名前が違いますね」
「俺が来なくても、店の連中が来られるようにしておくよ」
「それがいいな」
「ありがとうございます」
「それと、店の連中が来てボトルが空になっても、新しいのを入れさせないでねぇ」
「終わりにするんですか」
「いや、俺が来た時に入れるよ」
「分かりました」
「これからもご贔屓にしてくれると言う事ですね」とマスターが言った。
「1週置きには来るから、いつまでも空っぽにしておく事もないですよ」
「嬉しいぃ~」とエミちゃんが俺を喜ばせた。
「エミちゃんに喜んでもらうと、俺も長野に来るかいがあるよ」
・・・ニャハハハハハハ!!!!・・・

「ジョイマートて、何処のお客さんですか」
「大峰商事の新しく出来たHC事業部ですよ」
「HC事業部て、何ですか」
「ホームセンターだよ」
「そうなんですか――」
「明日若槻にオープンするから、暇が有ったら遊びに来てよ」
「中さんもいるんですか」
「そうだよ。 店内で売り子をやっていますよ」
「それなら行ってみようかしら」
「カー用品なら安くしますよ」
「ホントですか」
「でも、俺がいないとダメだけどね」
「何時頃ならいますか」
「朝9時から6時まで、どこかにいますよ」
「もし、いない時はサービスカウンターで呼び出してもらってください」
「わかりました」

エミちゃんは、身長は155cm、色白で丸く童顔だった。
ブラウン染めた髪は肩まで伸ばし、右から6:4に分けていた。
眉毛が細くブラウン引いて、二重瞼につぶらな瞳が輝いていた。
鼻は低めで、鼻の下が長く、右の目の下にホクロがあり、上唇が薄く、下唇が厚かった。

「そろそろ行きますか」と歌詞本を出した。
「何するかな――」とページを捲った。
「専務。何歌う」
「俺は歌えないから、お前がやれよ」
「そう言えば、専務が歌っているところを見た事がないな」
「そうだろう。俺はタバコの吸い過ぎで悪声なんだよ」
「そうだな。ハスキーと言うよりしわがれ声だよな」
「中さんマイク」
「最初は、声鳴らしでランナウェイで行くか」
「はい」
♪゚+.o.+゚♪゚+.o.+゚♪
「2人だけの( )´0`』」o¶~~♪』」
拍手!! ――喝采!!
「中さん。居酒屋入れますねぇ」
――OK――
「もしも~ 一人で(  ̄0 ̄)o¶~~♪』」
「ダブルのバーボン゚(*´○`)o¶~~♪』」
・・・パチパチ・・・
「お前。相変わらずうまいなぁ」
「エミちゃんが上手いからだよ」
「お世辞ご上手ですね」
「ホントですよ」
「じゃぁ~ もう一曲デュエットしますか」
「よし。行きますか」
「これ・・・」
「昭和枯れすすきですか」
「お前 。盛り上がってきたのに、一気に盛り下げるな」
「エミちゃん。そこがいいんだよねぇ」
「私もこの歌好きですよ」
「やはり、3神だな」
「今は、勢いがあるから来ても追い返すよ」
「ならいいけどな」
「ほんじゃぁ~ やりますか」
「はい<L」
♪゚+.o.+゚♪゚+.o.+゚♪
「貧しさに負けた(  ̄0 ̄)o¶~~♪』」
「いいえ世間に負けた( )´0`』」o¶~~♪』」
☆拍手!! ――喝采!!
******

「おっ。お客が来ているな」
「おそらく、日替わりが目当てだろう」
「一辺に入り込まれたら大変だな」
「店長たちも慣れていないから焦るだろう」
「取り敢えず、業者には入口で交通整理をしてもらった方がいいな」
「専務。カー用品は入口の右側にあるから、メイン通路から右側に分散して流すようにして」
「こっちはいいから。中はある程度落ち着くまで、外で交通整理していろよ」
「そうだね。同時に客層も見ておくよ」
「そうだな。おれは車を裏に持って行くから、事務所に行って名前を書いておいてよ」
――了解――

「お早うございます」
「ご苦労様です」
「客足が早いですね」
「いゃぁ~ 客が来なかったらどうしようかと思っていましたよ」
「車が国道の信号まで、並んでいますよ」
「ホームセンターのオープはこういうものなのですかね」
「そうですよ」
「大手ホームセンターになると、初日からバイパスに2キロ以上は並びますよ」
「そうなにですか」
「ここは駐車場が狭いから市道に並ぶと思うので、問屋に交通整理をしてもらった方がいいですね」
「それなら、3人ばかり手伝ってもらいますよ」
「それがいいですね。売り場には専務がいるので、俺も交通整理しますよ」
「ありがとうございます」
「あと2人は何処の問屋さんにやってもらいますかね」
「地元の問屋さんがいいですね」
「それなら日用品雑貨の粕谷さんと、文進社の草原さんにやってもらいますか」
「そうですね。文進社さんも二人来ていますからね」
「チョット聞いてきます」
「オープまで30分あるので、朝礼を済ませてからでいいと思いますよ」
「そうですね」

「皆さん。これから店を開けますので、レジ前に集合してください」
「はい」
「全員ハッピは着ましたね」
「はい<<<」
「それでは・・・
――お早うございます――
「おはようございます」
「本日無事オープンとなりました。各担当の社員は持ち場を離れずにお客様の接待をしてください。問屋さんは特売の品出しをお願いします。セルフですので、万引き防止のために、お客様にはカゴを持たせてください。それと、声かけもお願いします。昼休みは、11時半から12時半までと12時半から1時半まで1時半から2時半までから3交代で行ってください」
「以上ですが何か質問はありますか」
「ありません<<<」
「くれぐれも、事故の無いようにお願いします」
「はい<<<」
「それでは、売上目標達成に向かって頑張りましょう」
「頑張りましょう<<<――」
“ジョイマート若槻店。ファイト”
拍手!! ――喝采!!
「9時になりましたら開けますので、元気な声でお客様をお迎えしてください」
「わかりました<<<L」

9時1分前になった。
「準備はよろしいですね」
「はい< 」
「それでは、開けますねぇ・・・」
「よろしくお願いします」
――オープン――
♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。♦
「いらっしゃいませぇ~」
♪゚+.o.+゚♪゚+.o.+゚♪
「お客様――奥にどうぞぅ~」
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
「店員さん。このチラシに載っている日替わりは何処にある」
「はい<。こちらです」
「ありがとう」
「店員さん」
「はい<」
「チラシのオイルとレジまで運んで貰えるかい」
「セルフですので、お客様ご自分でお願いします」
「そんな冷たいこと言わずに持って行ってよ」
「カゴがありますので、それに入れてお願いします」
「かなり儲けているんだから、そのくらいいいだろよ」
「日替わりはお客様へのサ―ビスで赤を切って売っていますので、儲けはマイナスなんですよ」
「そうかい」
「はい」
「損して、得取るだろう」
「いや、違いますよ」
「なら、なに」
「お客様への貢献ですよ」
「じゃぁ~ しょうがないか」
「申し訳ございません」
「わかったよ」

「お客様。こちらへどうぞ」
「オーライ・オーライ・オーライ・ストップ」
「お兄ちゃん。駐車場は空いているかい」
「満車ですので、少々お待ちください」
「何分ぐらいかかる」
「そうですねぇ~ 30分ぐらいですかねぇ」
「じゃぁ~ 出直すか」
「それがいいですね」
「それで、日替わりの商品は大丈夫かい」
「そうかぁ~ 家は近いのですか」
「5分ぐらいだよ」
「それなら、誰か連れてきて、お客様は車の中で待機してもらえればいいかもしれませんねぇ」
「そうするか」
「はい」
「あとで、また来るよ」
「よろしくお願いします」

9時からの開店待ちして並んでいるお客を整理して、金・土・日の初日オープンセールが盛大に始まった。
初日、二日、最終日三日と客足は早く、開店と同時に日替わり限定などチラシ商品を目当てに店内は擦れ違えない程しっちゃかめっちゃかに成った。
4台のレジに向かい客が通路を塞いで一直線に並んだ。
「これじゃぁ~ いつまでたっても捌き切れないなぁ」
と休憩室でタバコを吸い問屋同士で話していると日商の平沢社長が入ってきた。
「ご苦労さん」
「ご苦労様です」
「皆、休憩が終わったら其の長テーブルと電卓持ってバックヤードに来て」
「はい<<<」と関東犬猫社の島田・文進社の草原・雑貨屋の粕谷と私・4人で行った。
左中間壁面横のバックルームに集合した。
後から平沢社長が手提げ金庫と透明のバケツを持って入ってきた。
千円札が20枚・500円玉が10枚。100円玉が20枚・10円玉が20枚・5円玉が20枚・1円玉が20枚入っていた。
「金が入っているから、おつりを渡して」
「小銭が足りなくなったらどうしますか」
「二重蓋の下にあるから出して」と見せた。
「1円玉の束が5本・5円玉が5本・10円玉が5本。100円玉が5本これだけあれが大丈夫だろう」
「そうですね」
「売上金はバケツの中に入れておいて」
「はい」
「じや、頼むな――」
「分かりました」

「ドアーの前に並べて、一人が計算係で一人はサッカーで2人組になった」
私と島田が組み、草原と粕谷が組んだ。
「観音開きの扉の隙間から売り場を覗いて、内緒で此方にお客さんを呼んで精算して」
ドアーを少し開けて隙間から覗いてみた。
自分好みの見栄えの良さそうな女性がカゴに商品を詰めてレジに向かって並んでいた。
「お客さん。こっち こっち」と手招きした。
“!?”
「奥さん。ここで精算してください」
「いのですか」
「はい。内緒ですいよ」
「ありがとう」
・・・ニャハハハハハハ!!!!・・・
「領収書はいりますか」
「いらないです」
「それじゃぁ~ 計算しますねぇ」
“ガチガチガチガチガチ”
「合計4、862円になります」
「はい」
「5千円、お預かり致します」
“ガチガチガチガチガチ”
「138円のお返しです」
「ありがとう」
「有難うございました」
「奥さん。明日来るような事がありましたら、またここへ来てくださいね」
「いつもやっているんですか」
「いや、レジが混んでいる時だけです」
「わかりました」

「奥さん。コッチ――」
1時間ほど客を捌いた。
「だいぶ減ってきたな」と島田が言った。
「このくらいでいいか」と私が言った。
「売上いくらになった」と粕谷が聞いた。
「粕谷さんと島田さんで札を数えて、俺と草原さんで小銭を数えるよ」
“カチ カチ カチ”
“バサ バサ バサ”
「小銭が、4、276円ですね」と草原さんが言った。
「1万円札が5枚・5千円札が4枚・千円札が10枚だね」と粕谷さんが言った。
「合計いくらだ」
「84、276円だね」
「結構売れたなぁ」
「明日も忙しくなったらやるか」
「そうだな」

PM6時に初日オープンセールが終わった。
店長の終礼の挨拶が始まった。
「ご苦労様でした」
「皆様方の御蔭で、目標の2千万円を越しました」
拍手!! ――喝采!!
「明日も、売上達成まで、この息でよろしくお願いします」
「わかりましたぁ~」
「それでは、明日もよろしくお願いします」
「お願いします<<<」
「中。俺はこれで帰るよ」
「ご苦労様でした」
「注文はどうする」
「最終日に取って、月曜日に行くよ」
「そう。じや、なぁ」
「じゃぁ~ ねぇ~」
「あっ。課長」
「大村専務。本日は有難うございました」
「いえ、お役に立たないで申し訳ございませんでした」
「何を言っていっているんですか。十分に助かりましたよ」
「後は、中がやりますので宜しくお願いします」
「次の2号店の時も、よろしくお願いします」
「任せてください」
「中さんとも打ち合わせをしておきますよ」
「よろしくお願いします。じゃ、失礼致します」
「有難うございました」
「専務。気を付け帰ってねぇ」
「おっ。月曜日、待っているからな」
「うん」

「中さん カー用品は売れました」と宮野課長が聞いてきた。
「オープンだけに勢いでかなり売れましたよ」
「定番はどう」
「売れています」
「そう」
「特売はどう」
「ケミカルワックスに洗車関係とツナギが売れましたね」
「車の掃除でもするのかね」
「じゃないですか」
「用品はどうでした」
「初日だったので、見ているだけだと思いますよ」
「そうなると、明日あたりから動き出すか」
「と、思います」
「思います・・・
じや、ダメじゃない」
「売れます――」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「中さん。今日はどうするの」
「専務が帰ったので、一人でホテルに泊まりますよ」
「そう」
「課長は何時頃終そうですか」
「これから明日の特売の支度の手伝いをするから、10時過ぎるな」
「そうですか」
「権堂に行くの」
「いや、後2日あるから軽く近くの赤ちょうちんで飲んで寝ますよ」
「たまには色気抜きで飲んでもいいんじゃない」
「そうですね」
「オープンが一段落着いたら行きましょう」
「いいですねぇ~」
「その時は !? ご案内しますよ」 
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「じゃぁ~ よろしくお願いします」
「ご苦労様でした」

3日目最終日5時になった。
「そろそろ、注文でも取るか」
「渡辺さん。穴の空いたところを拾いますね」
「売れていますか」
「結構売れ筋は穴があいていますよ」
「そうですか。僕はバックヤードに行っていますので、お願いします」
「それで月曜日に発送しますね」
「いつ着きますか」
「水曜日に着けますよ」
「よろしくお願いします」
「中さん。売れましたか」と森本武部長がカー用品売り場に来た。
「売れていますね」
「それは良かった」
「特売ばかり売れて定番が動かないにでは、返品になってしまいますものね」
・・・ニャハハハハハハ!!!!・・・
「この調子なら2号店も売れそだなぁ」
「と、思いますよ。それで2号店は何処に作るんですか」
「中野市だよ」
「中野 て 何処ですか」
「湯田中温泉の方だよ」
「へぇ~ 温泉か。いいところですね」
「ですよ。その時には、よろしくお願いしますね」
「解りました――」
******



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