「ひやあ! 恥ずかしいよ!」
慌てて前を隠したモップだったが、事態はそれどころではなかった。
「ふおおおお!」
リディア・カーンの雄たけびが轟いたのだ。
見れば、リディアの制服もあちこち切り刻まれていた。カラブキのジャージやモップの服が切り裂かれたのはリディアの怒号による突風のせいだ。しかし、リディアの制服がやぶけているのはどういうことか?
「あのクソ生徒会長がああああ!」
リディアの制服の切れ目からは、極太の鎖がのぞいていた。その鎖が、ブチブチと千切れ、そのたびに制服の切れ目が大きくなってゆく。同時に、その箇所の筋肉がボンと盛り上がる。
そう、リディアの制服は、盛り上がるマッスルに耐えられずに、内側から破れているのだ。
「やべえ……。このままじゃ、拘束具が……もたねえ……」
呆然と呟いたのはジョイだった。
「拘束具!? 拘束具ってどういうこと!?」
手で前を隠しながら必死に詰め寄るモップ。
「へへへ……お前、これでリディアの100パーセントが見れるぜ……」
「まったく、何なのよあの化け物!」
その頃、カラブキはモップ達を置いて公園の公衆トイレに駆け込んでいた。
「こんなにジョージ(注:ジャージの書き間違いです)を切り裂いて……丸見えじゃない! 許せない! でも……お陰でダイソン様のブレザーを……」
トイレの個室で、カラブキはブレザーに顔を埋めてウットリした。
「はああ……ダイソン様……」
カラブキはもう使い物にならないジャージを脱ぐと、全裸の上に直接ブレザーを着た。その肌触りに身悶える。
「私……私今……ダイソン様に抱きしめられてる……! ダイソン様ぁ! ダイソン様ぁ!」
ブレザーの上から体をさすり、身をよじるカラブキ。
と、その時、ポケットから、「カラブキ書記、君は何をやっているのだ」という声が聞こえ、カラブキはビクッとした。
「え? え? ……これは……トランシーバー?」
いかにも、ポケットにはトランシーバーが入っていたのだ。そこからダイソンの声が聞こえる。
「君という娘は、トイレで何をしているのだ。まったくはしたない」
「ダイソン様、ごめんなさい!」
カラブキはトランシーバーを両手で掲げてぺこぺこした。
「全裸になってからブレザーを着るなんてね……」
「ダイソン様、まさか、私が何をしていたか見えていたのですか!?」
「見ていたよ。何もかもね……何もかも、君の事はお見通しなのだよ」
「ダイソン様に、私の全てが見られている……!」
カラブキはさらにウットリし、自分の胸を抱いた。