超高機動銀河恋愛黙示録モロッソスギャラクシー

美少年刑務所の名物所長チャキオと
小悪魔ボディの見習い天使アヴダビが激突する
モロッソスみそっみそっ創作宇宙

妖精大百科フェアリー・マンダーラ77(チャキオ)

2010-11-28 14:57:06 | 妖精大百科フェアリー・マンダーラ
 77匹目「朝、歌って起こしてくれる妖精 ヌッツォ」

 昨夜のことです。洋一郎之介にステキなサプライズがありました。それは、朝の目覚めが異常に悪い洋一郎之介の為に、お母さんが“タフ&ヘビー絶叫目覚まし時計”をプレゼントしてくれたのです。もう洋一郎之介は嬉しくて堪りません。さっそくウキウキで目覚ましをセットしました。
 明日こそは、時間どおりに起きて、登校時刻に教室に入り、奴ら(洋一郎之介のクラスメイトですね)にひと泡吹かせてやろうと、ほくそ笑んでいたのです。……が。
 案の定、今朝、タフ&ヘビーの絶叫が鳴り響いた途端、ビビって目覚ましを思い切り壁に投げつけ、大破させてしまったのです。
 そして、洋一郎之介は平穏な睡眠時間を取り戻し、ぬくぬくと布団に包まれて、幸せな午前中を送ろうとしていました。しかし、夢かうつつか、どこからともなくテノールの歌声(良い声)が聞こえてきて、至福の二度寝を邪魔してくるのです。

 ライライライララララーーーーー

「うう……。何だよぉ……」
 ラララーーーーラーーーーララララーーーー

 その歌声は、徐々に近づいてきます。洋一郎之介には、何かお侍の軍団が向こうから駆け寄ってきているような気持ちになりました。そうです。浅黄色の段だらの一団です。

 ライライライララララーーーーラララーーラーーラーーラーーララーーーー

 歌声は、いい声なのですが、とても大きく、且つ朗々としています。洋一郎之介はとても大人しく眠ってなんかいられません。
「ああ、もう! うるさいな!」
 ガバァと起き上がると、そこにはイタリア人(?)のような雰囲気の、かなり濃い顔のおじさんが、ポージングも決まって立派に歌っていたのです。顎はもちろんのこと割れています。白い爽やかなシャツは、朝の光のように眩しく輝いています。
「何だお前はーっ!」
 洋一郎之介は、朝一の寝ぼけ眼を、何度も擦りました。
「わたし~は~妖精~~の~~ヌッツォ~~~~。君を~~起こしに~~やってきたぁ~~~~~あ~~~あ~~~~!」
 歌いながら、メロディアスに喋るヌッツォは、さながらミュージカルのようでした。
「お……起こしにくる妖精?」
 洋一郎之介は、戸惑いました。かねてから意味不明の妖精には、数々会ってきましたが、5本の指に入るほど意味不明の妖精がまだいたことに、驚いていたのです。
 ヌッツォは、そんな洋一郎之介にはお構いなしに、今度はハミングを駆使し、緩急をつけます。

 ムーームーームーームムムムーームーームーームーームムムムーームムーー

 もはやヌッツォのショータイムと化した、洋一郎之介のベッドサイド。ヌッツォの歌声を聞いていると、何だか全てがどうでも良くなっていきます。
 タフ&ヘビーの目覚ましを壊してしまったこと……びっくりした時、若干チビってしまったこと……浅黄色の侍たちのこと……源さんが死んだ回だけマトリックスのようだったこと……ヌッツォが何の妖精だったか……ヌッツォがいったい何をしでかしちゃったのか……ヌッツォの存在自体……。
 それらの想いが、ヌッツォの歌声とミックスされていきます。

「いとしき~~~~友は~~~~」

 ……あれ……? 俺には愛しい友っていたっけ? どこにいるんだっけ? ああ、そっか。俺には友達なんて、いないんだったよね。そうだよ、俺の友達は学校になんかいない。そうさ、ここで起きて学校に行かなくったって、俺は、俺には誠の旗に夢を描けば、それで良いんだよ……。

 ヌッツォがフルコーラスを歌いきった頃には、洋一郎之介は、新たな眠りに落ちていました。
 そして、一曲歌い終えたヌッツォの方も、満足げにほほ笑んで、消えて行きました。洋一郎之介が次に目覚めたのは、すっかり夕方。もうヌッツォは起こしに来てくれませんでした。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マジモ第36話「夢少年」(... | トップ | マシュマロ☆ラブファイター ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
わあ、久し振りのファンタスティコですね (アヴダビ)
2010-11-28 18:54:41
洋一郎之介の野郎にもう一度出会うことが出来るとは夢にも思ってませんでしたよ。
オウ、ハッピー☆
今回の妖精、とっても優雅ですね。
名前も素敵だし……。
どことなくNHKが似合いそうなオーラを纏っている気がします。
それでいてうっかりヤクっちゃいそうな危うさも併せ持っているような雰囲気もありですね。
気をつけていただきたい。
そんで結局なんの意味もなかったですね、この妖精の能力。
だめだこりゃ。
返信する
アヴダビさん、お久しぶり! (チャキオ)
2010-11-29 01:12:14
妖精のお話を再び書くことになるとは思ってもいませんでした。
なにせ、最近はBLばっかり書いちゃってね・・・。
巻数にして5冊くらいにはなろうかという小説をやっと完結させたものの、また長くなっちゃいそうな話に手をつけちゃって・・・。
ホントにしょうがない。

でも、オラだって忘れちゃいないんだ。熱き妖精の魂をね。
もうさ、ヌッツォのことを考え始めたら、なんていうの? 何かキマッちゃったみたいな雰囲気で、筆が進んでさ。
血眼になっちゃってね。鼻息も荒かったし。
喫茶店から摘まみ出されそうになったよ。
何だろう。ハイになってたのかな?
ヤクっちゃったりしてないのに、ヌッツォが乗り移っていたのかもしれませんね。

私が最後に見たヌッツォの記憶は何年か前の紅白歌合戦でした。
あの番組って確かNHKだったよね。
今年の紅白は、「便所の神様」っていう歌を9分も垂れ流すらしいから、その分、ヌッツォの為にも使って欲しいです。
返信する
まったくもう(笑) (アンディランド)
2010-11-29 08:12:28
ラッキー77に登場するのがやつとはね。恐れ入りました。
めずらしく役に立ってくれる妖精かと思いましたが、洋一郎之介にかかると、最後は子守歌になってましたね。やれやれ。
でも心なしか私にも浪々としたメロディーと侍集団の幻が見えた気がするんですよね。
返信する
アンディさん、スミマセン(笑) (チャキオ)
2010-11-30 00:08:49
さすがアンディさん、ラッキー77にお気づきになるとは!
そして、気付いたからこその脱力だったと思います。
申し訳ない。

なんでヌッツォなんか77匹目に書いちゃったんですかねえ・・・。
彼の良いパワーが私に呼びかけてきていたのかな?
危ない、危ない。

妖精って、ホントに何の役にも立たないですよね。
ピーターパンのお供のアレもさ、よくよく考えると大した役にたってないじゃないですか。
しょうがないよね。妖精代表のアレがああじゃね。
フェアリーマンダーラの妖精もこうなるってもんですよ。
でも、そこはかとなく数年前の大河のことを思い出してくれただけでもありがたいです。
竜馬は最終回みたいですが、時代を後取るのがモロギャラですから。
返信する

コメントを投稿

妖精大百科フェアリー・マンダーラ」カテゴリの最新記事