音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

勝手にしやがれ!! (セックスピストルズ/1977年)

2011-08-16 | ロック (イギリス)


つ、ついにこの作品のレビューを書く時が来てしまった(別に誰にも頼まれてないが・・・)が、はっきり言って全く自信がない。大体、私は確かにこのパンク、セックス・ピストルズのデビューはリアルタイムな出来事だったけど、正直、全くパンクについては分からなかったし、分かろうともしなかった。私が10年前に全く理解できない音楽BEST3というのを選出したことがあるが、その3つとはヘビメタ、ヒップホップ、パンクの御三家だった。その後努力して、ヘビメタは少し理解できる様にはなったが、パンクはほんの少し分かりかけ、ヒップホップに至っては理解するのに今世では時間が足りないと思う。だが、私はこのリアルタイムの時には大変ラッキーだったことに、パンクはあっという間にその勢いを収束してしまったために、当時、全くこの音楽に触れずに、代わりに出てきたニューウェーブに深く傾倒していった。そう、ジャムも、クラッシュも、ポリスもみんなパンクではなくニューウェーブの流れで聴いたのであった。

では、パンクはなんでそんなに早く収束してしまったのか? 勿論、このピストルズが解散してしまったからである。自他共に認める「聴かず嫌い」の私は、ミュージック・ライフ誌のカラーページにジョン・ロットンが出た頃になってもまだ、あの黄色いジャケットを手に取ろうとはしなかった。なにかロットンの顔に脅威を感じていたと同時に、このレコードをターンテーブルに乗っけたら最後、とんでもないことが起きるんじゃないかという期待と不安が入り交じった、不思議な感覚だったのだと思う。それくらい、当時はパンクイコールピストルズ、そして、なにか動物図鑑でも見るが如く「ピストルズの仲間たち」みたいな括りで、クラッシュ、ストラングラーズ、ラモーンズ、テレビジョン(この辺りは英米混合)なんかが紹介されていた。だから、ピストルズが終わった瞬間ニューウェーブが怒涛の如く押し寄せて、当時、私のバイブルでもあった中村とうよう氏監修の「(ニュー)ミュージック・マガジン」では、これらのミュージシャンのアルバムを多数、高評価していた。今、思うに、余程皆、ポップ音楽に飢えていたのだと思うが、それは翻ってみれば、パンク・ロックの、いやピストルズを世間に押しだした背景がそうであったことに最近気がついたのである。よく言われるように、というか私もその提唱者の一人として1977年は、 「サージェント・ペパーズ~」10周年である。この10年間サージェントを超えたアルバムは生まれなかった。それよりも、音楽、特にアメリカの音楽はヒットチャートを媒介とした商業音楽が蔓延り、全くつまらなくなっていた。そこへ風穴を開けることができたのが、このパンクであり、それをきっかけにニューウェーブは、まさに新しい波として停滞していたポップ音楽を少し動かす事に成功したのであった。

パンクが苦手だった私が、ではなぜこのピストルズを聴くきっかけがあったかというと、それはとある雑誌に、「パンクの原型はフーである」と書いてあったから。私が当時、唯一ロック界で格好良いと思っていたフーに似てるんなら聴いてみようじゃないか。と、結果、一体何処がフーに似てるんだと思った。でも、一方で私はフーにそっくりでこれまた格好良いバンドであるジャムを知ることになる。こういう色々な出会いのきっかけに、ピストルズが作ったパンクの嵐というのは貢献したのだと考えると、大変貴重なバンドだったのである。と、結論付けたが、まぁ、このアルバムが好きか嫌いかは是非聴いてみて欲しい。但し、無理にとは言わない・・・。


こちらから試聴できます。


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