疾風のごとく・・・ 誰かのために

2006-11-16 | ことば・文章
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信じられているから走るのだ。
間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。
人の命も問題でないのだ。
私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。

                      (太宰治「走れメロス」より)
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一日、駆け回っていた。
たぶん、自分の為だけでなく
人との大事な絆を、守るために・・・

私欲がない、と言ったら嘘になる。
でも、たしかに「もっと恐ろしく大きいもの」の
存在を感じながら、誰か愛する人のために
走っていたいと請い願うのだ。

響きの色彩 

2006-11-16 | 音・クラシック
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アンサンブルっていうのは、アインザッツのタイミングを
呼吸と耳で合わせるんですね。だから、正確に言えば
指揮者の棒が合わせるんじゃなくて、指揮者の棒を見ながら
オーケストラが自分で合わせるんです。
それが一流オーケストラの演奏というもので、そこから生まれる
響きの色合いが、オーケストラの「個性」というものになるんです。

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ウィーン・フィルの名手たちとの対話から、アンサンブルについて
そして、名指揮者たちの優れた音楽性が浮かび上がってきます。
僕の好きなミトロプーロス モントゥー ミュンシュに対する分析もあって
深く感銘を受けました。

チェリビダッケが、初対面のオーケストラとのリハーサルでは
まず弦楽器のチューニングに膨大な時間をかけた、という話も
あの澄んだ響きの秘密に触れた思いです。

オケ全体の、息がひとつになる瞬間。
それが、ゾクゾクするような響きを生み出すんだね・・・

「ウィーン・フィル 音と響きの秘密」(文春新書)