toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「不毛地帯」 山崎豊子

2018年02月10日 | 読書日記
決して詰まらないわけじゃないんだけど、続きが読みたくて徹夜しちゃうほどではなかったので、読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまった。同じ5分冊の「模倣犯」の倍くらいかかったんじゃないだろうか。。

終戦後、ソ連の捕虜になっていた主人公壹岐が商社に就職するところから物語が始まるが、第一巻では現在の話と回想の形での捕虜生活の話が交互に出てくる。捕虜生活の話は悲惨すぎて読んでいて嫌になってしまう。

第2巻からは壹岐が商社マンとして生きていく話になって行く。最初はロッキード事件を連想させるような自衛隊機の売り込み合戦。不本意ながら軍隊時代の人脈を活用して勝ち取る。そしてその7年後スエズ運河を巡る情報合戦を通じて中途入社ながら異例の出世を遂げる。それにより社内の派閥争いに巻き込まれ、妻の突然の死をきっかけに、アメリカ子会社の社長に就任。千代田自動車とフォークの提携事業を手掛けるものの寸前のところで東京商事鮫島によって覆される。部下の八束は千代田自動車の提携先としてユナイテッド・モーターズにアプローチを始める。
一方壹岐はイランでの油田開発に乗り出そうと動き出す。油田開発の権利を何とかものにし試掘を始める。なかなか石油は出てこなかったが最後に大油田を掘り当てる。一方ユナイテッドと千代田自動車との提携が水面下で進められていて最後にライバルの鮫島に一泡吹かせられる。

終盤の社長とのやり取りはちょっと違和感がある。また商社マンとして成長していく過程が描かれていないせいで、商売の経験も会社勤めの経験も無い壹岐がいきなり大活躍するのも解せない。千里とのサイドストーリが最後に生きるかと思ったが特にそんなこともなく、この話は全く余計な気がする。




新潮文庫
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする