☆「私の好きな漫画 (1) 新刊が出ると必ず買う漫画家さん」の続きです
前回、こういう区分けで予告しちゃったんですが、よく考えてみると・・・
「ほぼ全作品を持っている漫画家さん」というのは、藤子先生を除くと、
極端に少ないことに、今さら気が付きました(^^);
というよりも、作品数がそこまで多くなくて、ほぼ全作品を持っている
漫画家さんは、前回で紹介しちゃってるんです。となると「作品数が
多い」かつ「ほぼ全作品を持っている」漫画家さんになってしまうのです
が・・・これが考えてみたら2人しか当てはまる人がいませんでした。
(2) ほぼ全作品を持っている漫画家さん
手塚治虫先生 (公式サイト)
もう、言わずとしれた漫画界の神様、重鎮、帝王ですね(^^);
「手塚治虫漫画全集」全400巻+別巻を全て所有しています。
でも、実は「本」の形式のものではありません・・・
所有しているのは「手塚治虫漫画大全集DVD-ROM」なのでした。
いやぁ、これを買うと決めたときは大冒険でした(笑)
本を全巻買うよりは安いし、場所も取らないんですが・・・なにせ12万円。
しかも本の方の手塚全集も、50冊程度は既に所有していたんですよね。
全集と全集以外を含めるなら、都合150冊程度はあったと思います。
さんざん悩んだ挙げ句、受付終了間近に購入を決意したのでした(^^);
しかしこれ、当然PCの画面上で読むことになるわけですが、これが結構
大変でした。本と違って、目がものすごく疲れるんですよ(^^);
寝転がって読むにも、当時 iBookとかを使って試みましたが、どうしても
うまくいかず、ついには身体がだるくなって、やっぱり駄目でした。
プリントも可能なので400冊すべて印刷して読もうとか、あまりに本末転倒
なことまで考えましたが(笑)、80000枚以上も印刷する度胸もなく頓挫(^^);
結局のところ、中期~後期のめぼしい代表作は一通り読みましたが、初期
作品やあまり知られていない作品等は、未だに読まずに DVD-ROM内に
眠ったままになっています。「鉄腕アトム」すら、まだ全巻は読んでいません。
なんとも実にもったいない(^^);;
さて、ようやく手塚作品自体について触れますが、私の初めての手塚漫画
体験は、先生が亡くなった後のことでした。古本屋で買った「マンガ少年」
という雑誌に載っていた「火の鳥」乱世編だったと思います。
当時は中学生のクセに、コロコロの愛読者だったので(^^);
それはもちろん藤子ファンなんだから、致し方のないことですけどね。
手塚漫画がリアルタイムで掲載されている雑誌を読んだことがなかったため、
手塚治虫といえば「まんが道」に出てくる、藤子先生にとっての神様なんだ、
という程度の認識で、作品そのものは、アニメの「鉄腕アトム(リメイク版)」
を観ていた記憶がかすかにあるくらいで、漫画は全く読んでいませんでした。
もちろんこれは、連載途中のものをたまたま目にしただけなので、「ふーん、
これが手塚漫画か」くらいの感想しかなかったのですが、中2のとき「ブッダ」
を読み始めて、これに完全にハマりました。いやもう、当時は敬虔な仏教徒
を目指そうかと思ったほどに(笑)。
その後「ルードウィヒ・B」や「ネオ・ファウスト」などの絶筆作品を一通り読み、
これらの作品が未完となってしまったことを嘆きました。
そして「火の鳥」ですね・・・当時の私は、この作品で哲学していました(笑)。
この作品の壮大な世界観には、ものすごく感銘を受けたのを覚えています。
気の遠くなるような未来を描いた「未来編」って、中学の頃に読んでいて
なんだかものすごい畏怖を覚えた記憶があります。
ただ、手塚先生はものすごく膨大な作品を発表しておられますので、
「ブラック・ジャック」「どろろ」「きりひと讃歌」「陽だまりの樹」など、大変
好きな作品が多い一方で、「あれれ?」と言いたくなるような展開に終わって
しまう、ちょっとした「失敗作」に思えるものも結構あるんです(^^);
そうした作品について、全集のあとがき等で先生は、色々と言い訳されて
いるのですが、このあたりが人間くさくて、また結構好きだったりします(笑)
ずっと天才と呼ばれ、第一線で活躍されて来た手塚先生ならではの悩み、
新人に対してまで持つライバル心、強烈な嫉妬心、石ノ森先生の「ジュン」
に関しての確執などを知ると、神様とまで言われた手塚先生も、やっぱり
人間だったんだなぁと、なんだか妙な感心をしてしまいます。
全てが全て傑作揃いだった訳ではないところに、かえって魅力があります。
マスコミは神聖化しすぎてしまうきらいがありますけどね・・・
宮崎駿さんは痛烈に批判したことがあるそうですが、手塚先生の死生観と
いうか、死に行く者への視線というか、そういうものは、やはり身近で戦争を
体験したからこそなんだろうなと思います。確かに「そこで殺さなくても」と
言いたくなるような演出も多いことは否めませんが(笑)、それまで「死ぬ」
なんてことを考えもしなかった人間や動物が、無惨にも殺されていくという
のは、まさしく戦争の愚かさそのものへの痛烈な批判であり、手塚漫画の
独特な読後感に繋がるものなんだろうなと思います。
(ちなみに私は宮崎監督の作品にも好きなものが多いです)
※手塚治虫先生のご著作の一部です。ご興味をお持ち頂いた方はアマゾンでどうぞ(^^)
つげ義春先生
ここでいきなり、つげ義春先生の登場です(笑)
ずっとこのブログで「藤子ファン」だと言い続けてきましたので、さぞかし
子どもの心を持った人間なんだろうなぁと思われた方が、いるかいないか
わかりませんが(笑)、まさしく「夢もチボーもない」世界が多数登場する
つげ義春先生の作品も好きだったりするのです。
といっても、基本的に好きな作品は「ガロ」の頃のものが多いんですけどね。
「古本と少女」「紅い花」「チーコ」「李さん一家」「ほんやら洞のべんさん」
「長八の宿」「海辺の叙景」「峠の犬」など、この時期、つまり昭和41~43年
頃の作品が特に好みです。青春のほろ苦さ、ユーモアとペーソスに溢れて
いて、私としては、つげ作品ではこの時期のものがベストだと思っています。
そして後期の「無能の人」「別離」など、どうしようもない作品群(笑)
この「どうしようもない」は、作品のレベルのことを言ってるのでは決してなく、
主人公やその境遇、舞台などの要素が「どうしようもない」んです(^^);
読むと間違いなく憂鬱になるんですが、その憂鬱さがたまらないんです。
「近所の景色」「散歩の日々」「ある無名作家」「池袋百点会」あたりの
作品も結構好きですね。
実は、シュールさやエロさが前面に出ている「ねじ式」「ゲンセンカン主人」や、
一連の夢シリーズ等、つげ作品が語られる上で代表作のように思われている
作品は、そこまで好きなわけではありません。といって、嫌いな訳でもありません
が、私が個人的に好きな作品は、上に挙げたようなものなんです。
つげ作品には、全編を通して「生きることの苦しさ、つらさ、やるせなさ」が
にじみ出ています。そして必ずと言って良いほど、救いはありません(^^);
元妻には「○ちゃん(あだ名)が、つげ作品を読み始めると、怖いからやめて」
とまで言われていました(笑)。自分が「苦しい、つらい、やるせない」思いに
なればなるほど、つげ作品を読みたくなるから不思議です。
つげ作品は「ほぼ全作品」を持っているというと語弊があるかもしれません。
何せ復刻不可能と思われる貸本時代の作品などが膨大にあるのです。私が
所有しているのは、筑摩書房から出ている「つげ義春全集」です。「全集」と
言いつつ、全作品が入ってないのは不思議ですが(笑)、まあ初期の貸本時代
の作品なども、ある程度は網羅していますし、小学館から出ている選集や、
新潮社から出ている文庫本などでフォローしておけば、まあ、貸本時代を
除けば、ある程度の作品はカバーできると思います。とりあえず、現時点で
入手可能なものを「ほぼ全作品」所有しているということです(^^);
もちろん手塚全集だって、その400巻で全てではありません。生涯描いた原稿は
15万枚とか言われていますが、そのうちの 約8万枚しか収録されていないのです。
全作品を収集するというのは、じつに奥の深い作業です・・・
だから「ほぼ全作品」って書いたんですけどね(^^);
※つげ義春先生のご著作の一部です。ご興味をお持ち頂いた方はアマゾンでどうぞ(^^)
(おわり)
※続けるつもりだったんですが、こういう分類で「連載」の形で書くには、ちょっと
無理が出てきたので、やめました(^^); 今後は、好きな漫画作品、漫画家などを、
ざっくばらんに取り上げていきたいと思います。
2006.08.18 人知れず追記(笑)
前回、こういう区分けで予告しちゃったんですが、よく考えてみると・・・
「ほぼ全作品を持っている漫画家さん」というのは、藤子先生を除くと、
極端に少ないことに、今さら気が付きました(^^);
というよりも、作品数がそこまで多くなくて、ほぼ全作品を持っている
漫画家さんは、前回で紹介しちゃってるんです。となると「作品数が
多い」かつ「ほぼ全作品を持っている」漫画家さんになってしまうのです
が・・・これが考えてみたら2人しか当てはまる人がいませんでした。
(2) ほぼ全作品を持っている漫画家さん
手塚治虫先生 (公式サイト)
もう、言わずとしれた漫画界の神様、重鎮、帝王ですね(^^);
「手塚治虫漫画全集」全400巻+別巻を全て所有しています。
でも、実は「本」の形式のものではありません・・・
所有しているのは「手塚治虫漫画大全集DVD-ROM」なのでした。
いやぁ、これを買うと決めたときは大冒険でした(笑)
本を全巻買うよりは安いし、場所も取らないんですが・・・なにせ12万円。
しかも本の方の手塚全集も、50冊程度は既に所有していたんですよね。
全集と全集以外を含めるなら、都合150冊程度はあったと思います。
さんざん悩んだ挙げ句、受付終了間近に購入を決意したのでした(^^);
しかしこれ、当然PCの画面上で読むことになるわけですが、これが結構
大変でした。本と違って、目がものすごく疲れるんですよ(^^);
寝転がって読むにも、当時 iBookとかを使って試みましたが、どうしても
うまくいかず、ついには身体がだるくなって、やっぱり駄目でした。
プリントも可能なので400冊すべて印刷して読もうとか、あまりに本末転倒
なことまで考えましたが(笑)、80000枚以上も印刷する度胸もなく頓挫(^^);
結局のところ、中期~後期のめぼしい代表作は一通り読みましたが、初期
作品やあまり知られていない作品等は、未だに読まずに DVD-ROM内に
眠ったままになっています。「鉄腕アトム」すら、まだ全巻は読んでいません。
なんとも実にもったいない(^^);;
さて、ようやく手塚作品自体について触れますが、私の初めての手塚漫画
体験は、先生が亡くなった後のことでした。古本屋で買った「マンガ少年」
という雑誌に載っていた「火の鳥」乱世編だったと思います。
当時は中学生のクセに、コロコロの愛読者だったので(^^);
それはもちろん藤子ファンなんだから、致し方のないことですけどね。
手塚漫画がリアルタイムで掲載されている雑誌を読んだことがなかったため、
手塚治虫といえば「まんが道」に出てくる、藤子先生にとっての神様なんだ、
という程度の認識で、作品そのものは、アニメの「鉄腕アトム(リメイク版)」
を観ていた記憶がかすかにあるくらいで、漫画は全く読んでいませんでした。
もちろんこれは、連載途中のものをたまたま目にしただけなので、「ふーん、
これが手塚漫画か」くらいの感想しかなかったのですが、中2のとき「ブッダ」
を読み始めて、これに完全にハマりました。いやもう、当時は敬虔な仏教徒
を目指そうかと思ったほどに(笑)。
その後「ルードウィヒ・B」や「ネオ・ファウスト」などの絶筆作品を一通り読み、
これらの作品が未完となってしまったことを嘆きました。
そして「火の鳥」ですね・・・当時の私は、この作品で哲学していました(笑)。
この作品の壮大な世界観には、ものすごく感銘を受けたのを覚えています。
気の遠くなるような未来を描いた「未来編」って、中学の頃に読んでいて
なんだかものすごい畏怖を覚えた記憶があります。
ただ、手塚先生はものすごく膨大な作品を発表しておられますので、
「ブラック・ジャック」「どろろ」「きりひと讃歌」「陽だまりの樹」など、大変
好きな作品が多い一方で、「あれれ?」と言いたくなるような展開に終わって
しまう、ちょっとした「失敗作」に思えるものも結構あるんです(^^);
そうした作品について、全集のあとがき等で先生は、色々と言い訳されて
いるのですが、このあたりが人間くさくて、また結構好きだったりします(笑)
ずっと天才と呼ばれ、第一線で活躍されて来た手塚先生ならではの悩み、
新人に対してまで持つライバル心、強烈な嫉妬心、石ノ森先生の「ジュン」
に関しての確執などを知ると、神様とまで言われた手塚先生も、やっぱり
人間だったんだなぁと、なんだか妙な感心をしてしまいます。
全てが全て傑作揃いだった訳ではないところに、かえって魅力があります。
マスコミは神聖化しすぎてしまうきらいがありますけどね・・・
宮崎駿さんは痛烈に批判したことがあるそうですが、手塚先生の死生観と
いうか、死に行く者への視線というか、そういうものは、やはり身近で戦争を
体験したからこそなんだろうなと思います。確かに「そこで殺さなくても」と
言いたくなるような演出も多いことは否めませんが(笑)、それまで「死ぬ」
なんてことを考えもしなかった人間や動物が、無惨にも殺されていくという
のは、まさしく戦争の愚かさそのものへの痛烈な批判であり、手塚漫画の
独特な読後感に繋がるものなんだろうなと思います。
(ちなみに私は宮崎監督の作品にも好きなものが多いです)
※手塚治虫先生のご著作の一部です。ご興味をお持ち頂いた方はアマゾンでどうぞ(^^)
手塚治虫 著 Black Jack (1) 秋田書店 詳細 |
手塚治虫 著 火の鳥 (1) 角川書店 詳細 |
手塚治虫 著 きりひと讃歌 (1) 小学館 詳細 |
手塚治虫 著 ブッダ (1) (画像は5巻のもの) 潮出版社 詳細 |
つげ義春先生
ここでいきなり、つげ義春先生の登場です(笑)
ずっとこのブログで「藤子ファン」だと言い続けてきましたので、さぞかし
子どもの心を持った人間なんだろうなぁと思われた方が、いるかいないか
わかりませんが(笑)、まさしく「夢もチボーもない」世界が多数登場する
つげ義春先生の作品も好きだったりするのです。
といっても、基本的に好きな作品は「ガロ」の頃のものが多いんですけどね。
「古本と少女」「紅い花」「チーコ」「李さん一家」「ほんやら洞のべんさん」
「長八の宿」「海辺の叙景」「峠の犬」など、この時期、つまり昭和41~43年
頃の作品が特に好みです。青春のほろ苦さ、ユーモアとペーソスに溢れて
いて、私としては、つげ作品ではこの時期のものがベストだと思っています。
そして後期の「無能の人」「別離」など、どうしようもない作品群(笑)
この「どうしようもない」は、作品のレベルのことを言ってるのでは決してなく、
主人公やその境遇、舞台などの要素が「どうしようもない」んです(^^);
読むと間違いなく憂鬱になるんですが、その憂鬱さがたまらないんです。
「近所の景色」「散歩の日々」「ある無名作家」「池袋百点会」あたりの
作品も結構好きですね。
実は、シュールさやエロさが前面に出ている「ねじ式」「ゲンセンカン主人」や、
一連の夢シリーズ等、つげ作品が語られる上で代表作のように思われている
作品は、そこまで好きなわけではありません。といって、嫌いな訳でもありません
が、私が個人的に好きな作品は、上に挙げたようなものなんです。
つげ作品には、全編を通して「生きることの苦しさ、つらさ、やるせなさ」が
にじみ出ています。そして必ずと言って良いほど、救いはありません(^^);
元妻には「○ちゃん(あだ名)が、つげ作品を読み始めると、怖いからやめて」
とまで言われていました(笑)。自分が「苦しい、つらい、やるせない」思いに
なればなるほど、つげ作品を読みたくなるから不思議です。
つげ作品は「ほぼ全作品」を持っているというと語弊があるかもしれません。
何せ復刻不可能と思われる貸本時代の作品などが膨大にあるのです。私が
所有しているのは、筑摩書房から出ている「つげ義春全集」です。「全集」と
言いつつ、全作品が入ってないのは不思議ですが(笑)、まあ初期の貸本時代
の作品なども、ある程度は網羅していますし、小学館から出ている選集や、
新潮社から出ている文庫本などでフォローしておけば、まあ、貸本時代を
除けば、ある程度の作品はカバーできると思います。とりあえず、現時点で
入手可能なものを「ほぼ全作品」所有しているということです(^^);
もちろん手塚全集だって、その400巻で全てではありません。生涯描いた原稿は
15万枚とか言われていますが、そのうちの 約8万枚しか収録されていないのです。
全作品を収集するというのは、じつに奥の深い作業です・・・
だから「ほぼ全作品」って書いたんですけどね(^^);
※つげ義春先生のご著作の一部です。ご興味をお持ち頂いた方はアマゾンでどうぞ(^^)
つげ義春 著 つげ義春全集 (4) 李さん一家 海辺の叙景 筑摩書房 詳細 |
つげ義春 著 つげ義春全集 (5) 紅い花 やなぎ家主人 筑摩書房 詳細 |
つげ義春 著 無能の人・日の戯れ 新潮社 詳細 |
(おわり)
※続けるつもりだったんですが、こういう分類で「連載」の形で書くには、ちょっと
無理が出てきたので、やめました(^^); 今後は、好きな漫画作品、漫画家などを、
ざっくばらんに取り上げていきたいと思います。
2006.08.18 人知れず追記(笑)