月あかりの予感

藤子不二雄、ミュージカル、平原綾香・・・好きなこと、好きなものを気の向くままに綴ります

少女コゼット 第1話感想

2007年01月08日 00時23分06秒 | 世界名作劇場(名劇)
世界名作劇場第24作として「レ・ミゼラブル 少女コゼット」の放送がBSフジにて始まりました。BSが視聴できない方は、1/8の10:00からBIGLOBEストリームで観られるらしいので、こちらからどうぞ。(Windows XP/2000 で IE6.0~が必須だそうです)

ということで、第1話を観た時点での感想というか覚え書きを簡単に……。

原作

原作はヴィクトル・ユーゴーの有名すぎる作品。日本では「ああ無情」のタイトルで知られ、東宝がミュージカルを上演しています。この舞台は私も1度だけ観ました。劇団四季を退団したばかりの山口祐一郎さんがジャン・ヴァルジャンを演じ始めた頃の公演です。もう10年にもなりますね…。エポニーヌは、かつて本田美奈子.さんの「ミス・サイゴン」キム役と並ぶ当たり役でもありました。

なんというか…少し陰鬱な雰囲気が漂っている大人向けの作品なんですが、このアニメでは登場人物の一人であるコゼットを主人公に据えて、子ども向けのアレンジが施されているものと思われます(ファンティーヌが「売春婦になる」なんて設定は、とても使えませんからね)。

余談ですが、自民党が刺客を送るとか言ってた頃、亀井静香さんが「そんなミゼラブルなことを…」とか言って自民党を批判していて、思わず笑ってしまいました。欧米か!と(^^);

アニメ版のストーリー

物語は、コゼットの母親であるファンティーヌが、職探しのためにコゼットを連れてモンフェルメイユ村へやって来たところから始まります。しかし、なかなか子連れでは職にありつけません。そんな中、宿屋のテナルディエ夫妻見事に騙されて、幼いコゼットを夫妻に預けることに……。

大方の想像通り、もちろんコゼットは宿屋でこき使われることになります。コゼットは設定上、3歳ということになってますが……どう考えてもあり得ません(笑)。せいぜい5~6歳と考えた方がしっくりと来る気がします。まぁ、要するに年端もいかない少女が、見るからに怪しげな夫婦が経営する宿屋で、朝から晩まで働かされるのです。

ハイ、「おしん小公女セーラ」パターンですね(^^);
この系統の作品って、あんまり好きじゃないんですよね~…。実は「セーラ」だって、それほど好きな作品ではありません。まぁ、あれはあれで面白かったんですけど…アンがアン候補をいじめてるとか、大統領夫人とか、隣の困ったちゃんとか…そういう色々な面で(笑)。

……同じような系統でも、ドラマ「あかんたれ」は大好きなんですけど(^-^); あれはエポニーヌにあたる存在がアホすぎるという点が面白いのかな(笑)。

宿屋にはエポニーヌアゼルマという2人の少女がいますが、第1話で出会った時点では、2人とコゼットは仲良くしています。もちろん、これから豹変していくでしょうけど。

本来の主人公であるジャン・ヴァルジャンは「マドレーヌ市長」(なんだかおいしそうな名前)として、第1回の後半に少し登場しています。

ちょっとネタバレになりますが、コゼットは長年苦しい目に遭うものの、ジャン・ヴァルジャンとの出会いを通じて最後は幸せになれるのに対して、幸せに育っていたはずのエポニーヌに悲劇が降りかかるのです。アニメでどの辺りまで描かれるのかは分かりませんが。

作画

原画スタッフに、昨年11月に亡くなったOH!プロダクション(オープロ)の村田耕一さんが参加しているのを発見。「ペリーヌ物語」「ふしぎな島のフローネ」などで作画監督を務め、「赤毛のアン」ほか数多くの名劇や「アルプスの少女ハイジ」などでも原画を手がけておられた名アニメーターです。もしかすると亡くなる直前まで、この作品の原画を描かれていたのかもしれません。改めてご冥福をお祈りします。

さて、既に数多くのファンを持つ名劇を再スタートさせるにあたって、制作者側が取るべきアプローチは2つあります。過去の作品の雰囲気を踏襲するか、しないかです。「少女コゼット」に関しては後者を選択したものと思われます。前者であれば、たとえば佐藤好春さんや、オープロが参加しているなら、前述の村田さんや才田俊次さん(「小公女セーラ」キャラデザなどを担当)が手がけても良いはずですが、今回は渡辺はじめさん吉松孝博さんという、これまで名劇に関わったことのないお二人が手がけました。渡辺さんは「キテレツ大百科」の総作画監督も担当していましたが、どちらかというと「姫ちゃんのリボン」「赤ずきんチャチャ」「こどものおもちゃ」といった少女漫画原作のアニメや、「おじゃる丸」などのイメージが強いです。大地丙太郎さんと組むことが多い印象もあります。吉松さんの方は、彼の参加作品を観たことがないのでわかりません。

その試みが成功しているかどうか…第1回を観ただけの段階では何とも言えませんが、主人公コゼット、エポニーヌ、アゼルマといったメインとなる子どものキャラクターは、「名劇」として観た場合、非常に違和感のある顔立ちをしています。少女漫画みたい…というより、これが名劇だと言われなければ、とても名劇に思えないデザインです。今の子どもの好みなどに合わせて、あえて変えたといわれればそれまでなんですが…。特にエポニーヌの目の端がとんがってしまってるのは、私にとっては致命的でした(^^); まぁ、好き嫌いの問題なのでしょうが……

ただ動きを含めた作画という意味では、非常に丁寧な作りがされていると思います。そのあたりは名劇ならではの「こだわり」なのかもしれません。また背景美術も大変美しく描かれています。美術設定はかつて名劇にも携わった伊藤主計さんが担当され、美術監督は大ベテランの中村光毅さん(「風の谷のナウシカ」美術監督)が担当しています。

声優

今回は名劇にしては珍しく(※)、幼少時代のコゼット、エポニーヌ、アゼルマを子役が担当しています。

(※) 全く初めてというわけではなく、たとえば「あらいぐまラスカル」には、なんと11歳の頃の冨永み~なさんなど、子役が数名声優として出演していたという前例はあります。

私はアニメにおける子どもの声というのは、基本的に大人の声優さんが担当すべきだと思っています。「リアルな子どもの声」と「子どもっぽく聞こえる声」は全く別のものだからです。子どもを主人公に据えた作品では、当たり前のことですが主役としての演技力が要求されます。実写や舞台においては、目に見える存在として子どもを演じなければなりませんから、実在の子役の起用は仕方のないことですが、舞台でも映画でもドラマでも、学芸会レベル棒読み演技を見せられて困ったことが多いのです。もちろん「この子は上手い!」と心から思った子役だって何人かいますが、テレビでいわゆる「天才子役」と呼ばれてる子どもの芝居を見て、その通り「天才」だと思ったことは一度もありません(^^); アメリカなど海外の映画の子役には、まさに舌を巻くほど天才的な芝居をする子も多いんですけどね。

アニメ作品に子役を起用する風潮というのは、スタジオジブリが映画「おもひでぽろぽろ」で、大量の子役を起用するようになったことが、一つのキッカケだったのではないかと思っています。それ以降のジブリ作品は、子どもを大人が演じないのが当たり前のようになってしまいましたが、私にとっては残念なことでした。

いや、そりゃ子どもが演じる声だって可愛らしいんですよ。でも単に「可愛い」と感情で流されてしまえば良いのかもしれませんが、私はどうしてもシビアな見方をしてしまうので、棒読みだったり、「一生懸命セリフを覚えました!」みたいな気持ちが見え隠れすると、すぐに冷めてしまうのです。キャラクターへの入り込みが出来てないといいますか…。

たとえば名劇でいえば、松島みのりさんの演じるルーシーなどは本当に可愛らしいです。しかし可愛らしいだけではなく、子ども特有のいたずらっぽさとか、子どもとしての怒りや悲しみなど、自在に表現しているのは、やっぱり大人のプロとしての仕事であるが故だと思うのです。なんというか、子どもよりも子どもらしい声とでも言えば良いのでしょうか。

今回のアニメでは幼少時代のみ子役だということですが、やっぱり幼少時代も成長してからも、同じ声優さんが演じた方が良いように思います。それだけ演じ分けられる声優さんが少ないということでしょうか…。「赤毛のアン」でアン、「わたしのアンネット」でルシエン、「愛の若草物語」でジョオ、「ナンとジョー先生」でジョーと、年齢も性別も全く異なるキャラクターを自在に演じ分けた山田栄子さんのような声優さんは、今はいないのかもしれませんね。

それぞれの演技の印象としては、コゼット役の松元環季さんは、それほど悪くはありませんでしたが、エポニーヌとアゼルマに関しては、正直「うーん……」という感じを受けました。これからコゼットをいじめ倒すという役割があるだけに、どのくらいの時期まで子役が演じるのかわかりませんが、もう少し頑張って欲しいなと思います。

あ……大人のキャラクターの声に関しては、特に可もなく不可もなく、といったところでした。(それだけかいっ

次回予告

書き忘れてたんで追記です。
次回予告が、まるで掛け合い漫才みたいになっていて、これは名劇の性質を考えると非常によろしくないです。こういう手法を使っていると、悪い意味でのただのアニメになってしまう気がします。キャラデザなどを含めて、時代に迎合することと、昔ながらのスタイルを貫くのと、判断の難しいところだとは思いますが……。


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6 コメント

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コゼットが3才に見えない (あるさん)
2007-01-08 10:09:29
キャラクターデザインは、実際に見た“母と子”の感想を聞いてみたいところです。エポニーヌの眼はファンタジーアニメ臭いですね(^-^; 個性的でわかりやすいっちゃわかりやすいですが。

#隠れ家から家のサイトへリンクしてもらってありがとうございます。
“分度器頭”というネーミングが良い意味でツボにはまってしまって頭から離れません。ご町内ギャグマンガの脇キャラに出てきそうな子どものあだ名の名前のようで・・・ああっ失礼しました(^_^;
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ご町内ギャグですか(笑) ()
2007-01-09 01:38:29
なんか、分度器頭をよほど気に入っていただけたようで(^^);;
ネーミングとかより、出来上がったキャラの頭を見て思わず「……分度器?」と呟いてしまっただけなんですけどね(笑)。まぁ、あの…可愛がって頂ければ幸いです

「コゼット」は、さっき再度見ましたが……やっぱり絶対3歳児ではないですね(笑)。結構これから辛い日々が長く続く展開になると思うんですが、子どもたちにとっての印象はどうなんでしょう…。それ以前にBSフジって、一体どの程度の世帯が観てるものですかね(^^);
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怪しいテナルディエ (ある名作ファン)
2007-01-18 00:02:36
もっと最悪なものを想像していたので、想像以上でした。(笑)(イラストを載せておきました)
OPもコゼットばかりと思いきや、「銀の蜀台」や、事故を起こした馬車をバルジャンが持ち上げるシーンが盛り込んであって、ジャン・バルジャンにも焦点を当てていたのが良かったです。

キャラクターに関して言えば・・・・
やっぱり佐藤好春さん系のキャラクターのほうが個人的には良かったです。
ジブリの人気やCMで引っ張りだこなことを考えると、佐藤さん系のシンプルなキャラクターでも今の子供に受け入れられると思うんですが・・・。(今でも過去の名作作品やジブリ作品は小さな子にも人気があるのに)
>エポニーヌの目の端
あれは確かに名作ファンとしては抵抗がありますね・・・。
あとテナルディエは悪役でも、もっと切れのあるキャラクターを想像していたので、第1話でピエロっぽい輩が出てきた時は・・・。でした。(笑)
(名作に出てくる悪役は、それなりに締まった顔をしていましたよね。(ルイニとか))
一方バルジャンだけなぜか名作顔で、かえって浮いてしまっています。(笑)

来年、「エミリー」が成功して、日本アニメーションも「以前のような作風でも人気は確保できる」として来年から作風を元に戻す、という流れになれば最高なのですが・・・。

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ピエロキャラ ()
2007-01-19 11:18:05
ある名作ファンさん、コメントありがとうございます。イラスト拝見しましたが、やっぱり素敵なイラストですね~(^^) とても癒されます♪

キャラ設定については、何か大人の事情があったのか、あえて思い切った変更をやってみたのか、わかりませんけど、やっぱり名劇といえば、高畑&宮崎路線+もりやすじさんが原点なわけで、せっかくの新作が作られるなら、その流れを受け継いだ方に担当して欲しかった気がします。ひとまず「エミリー」がどうなっていくのかに注目ですね。

テナルディエは、いかにも小悪党っぽいキャラだったのには私も笑いました(^^); その妻のイメージともども、ミュージカル版の雰囲気を引きずってるようにも思います。もっと思い切って「ドス黒い」キャラにしても良かったのに(笑)。

やっぱり真の「悪役」の位置づけとしては、ジャヴェールの方になるんでしょうかね。彼は警部なのに悪役っていうのも何だか変な感じですが(^^);

ルイニといえば、「あっ、死神がおぼれてる!」みたいなロミオの予告での台詞に、大受けした記憶があります(^^); ルイニって、なんかすごく渋く決めてるのに……それなのに泳げないんかいっ!と(笑)
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死神がおぼれてる! (ある名作ファン)
2007-01-21 21:53:34
確かに死神、渋く決めてるのに泳げないんですよね。(笑)
ジャヴェールも自身の不幸な境遇から悪を憎み、厳格な警察官になった人物なので、「悪役」でもないんですよね。
誰かひとりを悪役、と決め付けないのが奥が深いところです。

(PS:お時間があれば、第2話、第3話のコメントも読ませていただきたいです。)
(PS:BIGLOBEの配信ですが、2週間は無料で、そのあとは有料になるそうです。ずっと無料だと思い込んでいました・・・。)
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正義漢ジャヴェール ()
2007-01-22 05:53:36
悪を憎むのはわかるんですが、今の感覚で考えると、ちょっとしつこすぎる感じがあるんですよね(笑)。ジャン・ヴァルジャンの「罪」の重さと、その後の善行を比較すると、遙かに善行の方が多いような……。もしジャヴェールがいたら、そのまんま東さんなんて知事になれないような(笑)。

もっとも、それは現代のツッコミ的な感覚で見た場合であって……というより、考えたら私も細かいストーリーは忘れてしまっておりますので(笑)、これから「少女コゼット」を観てお勉強します(^^);

感想等は書きたいんですが、ここ数日色々とやらなければならないことが多くて、ブログの記事も少し適当な内容が続いてしまっております(^^); 「コゼット」も2話以降、ほとんど「音を聴いてるだけ」に近い見方しか出来ておりませんので(涙)、何か書くとしたら、しっかり見直してからにしたいと思っています。

それにしてもBIGLOBE……セコいですねぇ(@@)
私も無料とばかり思いこんでました。CMを流して無料配信すれば良いのに……
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