チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

『新約聖書解釈の手引き』刊行されました

2016年02月29日 15時46分37秒 | Weblog
『新約聖書解釈の手引き』
(浅野淳博ほか7名、日本キリスト教団出版局、2016年2月刊、3200円+税)

 すみません、今回は「自著」(共著ですが)宣伝です。

 日本キリスト教団出版局から2017年刊行開始予定の注解叢書「NTJ 新約聖書注解」の監修者6名が、新約聖書を読んで解釈するための方法について3年にわたる共同研究を行い、そのまとめとして(さらに2名の協力も得て)この本を書き上げました。新約聖書の解釈はどのようにしてなされるのかを本書では広く紹介しており、本文研究(写本の比較によって元来の本文を推測する研究)や伝統的な「歴史的・批判的研究」(資料問題、様式史、編集史)から始まって、本文の置かれた「コンテクスト」をより広い視野で問う方法(社会史的研究および社会科学批評)、さらに、修辞学批評や物語批評、また(ちょっと聞き慣れないかもしれませんが)スピーチアクト分析といった、本文をコミュニケーションという枠で理解しようとする方法、そしてフェミニスト批評やポストコロニアル批評、そして正典批評という、聖書解釈をする者自身を問い直す方法に至るまで、紙幅の許す限りていねいに、かつ専門家でない読者にもわかりやすく(と心がけて)説明しています。

 この本は、たとえて言うなら、「新約聖書」という大きな魚を(魚はキリスト教の象徴ですが)味わいつくすために、どのような調理法があるのかを紹介する「レシピ本」のようなものかもしれません。新約聖書の「美味しさ」を堪能することができるよう、ぜひ本書の中から自分にあった調理法と味わい方を見つけてほしいと思います。神学校で学んだ聖書学を「バージョンアップ」して説教や聖書研究に活かしたい専門家にも、また新約聖書についてより良く知り、理解を深めたいと考えておられる方々にもきっと役立つことと思います。教団出版局が頑張って、ハードカバーで340頁におよぶこの本を定価3200円に抑えてくれました。長く使える1冊なので、決して高くはないと思います。

日本キリスト教団出版局ウェブサイトの本書紹介ページはこちらです。

(広島聖文舎が毎月発行している「広島聖文舎便り」2016年3月号掲載の拙文です。今回は自著宣伝ということで、こちらにも転載しました。)

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