パパと娘の携帯サイト

娘：あのさー、なんであたしのケータイって見たいサイトに全然つながらないわけ？

パパ：それはおまえが有害サイトにアクセスしないようにするためだよ。

娘：有害サイトなんか見るわけないじゃないの。バッカみたい。「魔法のiらんど」っていう小説のサイトよ。「恋空」ってすごい人気の小説とかが載ったところよ。

パパ：そりゃあれだ、えっちな小説じゃないのか？

娘：違うわよ。掲示板とかにエンコー誘うような書き込みがあるから一律に規制しようとしてるのよ。でも、それってサイト業者がちゃんとパトロールして問題のあるカキコを削除したりしてる努力を無視してるわ。

パパ：あれ？なんだよく知ってるんじゃないか。なんで訊くんだ？

娘：そりゃ、これを書いてる人が下手くそだからよ。あたしが突然なんでもよく知ってるようになったり、おバカな女子高生に戻ったり無茶苦茶なのよ。

パパ：そうか、そう言われてみたらパパも急に携帯サイトのことをよく知ってるような気がしてきたぞ。……内閣府が１月26日に公表した「インターネット上の安全確保に関する世論調査」によると18歳未満の未成年者がインターネットを利用する場合に、出会い系サイトや有害なアダルトサイトへの接続を制限する「フィルタリング」が「必要」、「どちらかといえば必要」と答えた人が合計76.3％に上ったというじゃないか。あー息が切れた。

娘：誰もフィルタリングが要らないなんて言ってないわ。実際、女の子の方から出会い系サイトに書き込んだりすることも多いからね。フィルタリングが十把一からげにアクセスしないようにしちゃうから問題なのよ。

パパ：健全か健全じゃないか誰かちゃんとしたところが選別するようにすればいいのかな。

娘：そうよ。実際、コンテンツ事業者の業界団体「モバイル・コンテンツ・フォーラム」では健全なサイトを認定する第三者機関を設ける準備を始めていたのよ。だのに総務省が去年の12月に急に18歳未満の加入者には一律フィルタリングを掛けると言い出したのよ。それまでの話し合いを無視して強引なやり方よ。

パパ：むむ。……しかし、同じく内閣府が去年の７月に公表した「第5回情報化社会と青少年に関する意識調査」によるとフィルタリングサービスの認知度は、小学生3.5％、中学生7.1％、高校生13.8％、父親32.3％、母親16.5％といずれも低く、その機能を使用している割合は、小学生1.2％、中学生0.8％、高校生1.1％と極めて低い。つまり子どもに携帯を買うときにフィルタリング機能を掛けない親が多いんだ。だから、デフォルトの設定にすべきなんだ。

娘：総務省の言い分はそうみたいね。でも、それは携帯コンテンツ向けの広告市場を死滅させかねないわ。携帯の広告市場は年間五百数十億円で、これから大きく成長すると見られている市場なのよ。これは経済政策としても拙劣と言わざるをえないわ。参考資料はこちらよ。



パパ：おまえ、今どきＯＬでも「～わ」なんて語尾は使わないぞ。……それにビジネス・チャンスがあるから有害サイト規制がゆるくていいことにはならんだろ。だいたいなんだ？このグラフを見ると有害とかなんとか言う前に子どもは携帯サイトを使いすぎてるんじゃないか。コンテンツ事業者は子どもで稼げなくなるから反対してるんじゃないのか？そのカネは親が負担してるんだぞ。



娘：うっ、それは。……10代を始めとした若い子が支えてるマーケットは他にもあるじゃない。コンビニとかネットミュージックとか。携帯サイトだけ目の敵にするのはおかしいわ。親が子どもときちんと話し合えばいいだけのことよ。

パパ：親子できちんと話し合うなんて絵空事だ。おまえたちはすぐに「オトナにはわかんない」って言うじゃないか。だいたいなんだあんな稚拙な小説のどこが「携帯文化」なんだ？

娘：ん？読んだことあるの？

パパ：うっ、まあちょっと参考にね。

娘：パパも下手な小説書いてるものねｗ。でも、あれじゃあダメよ。若い子は読まないわよ。もっと読みやすくて、話のテンポがよくないと。だから更新も全然してないんだろうけど。

パパ：ううっ。あれもフィルタリングしておいてくれればよかったのに。……

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