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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

知事宛、宮古市区画整理案意見書追加

2013年05月23日 | どうなる鍬ヶ崎

鍬ヶ崎・光岸地地区土地区画整理事業の意見書の審議を行う岩手県庁での「岩手県都市計画審議会」開催がこの5月24日だと知らされたので意見追加を行った。意見書自体の締め切りは4月2日でそちらの方は大丈夫なのだが「追加」書が審議に供されるかどうかは不明である。ていねいに頼んでおいた。裁判などふつうはこのような追加意見は有効であるはずだが…


 

達増 拓也 岩手県知事 御中

 宮古市「鍬ヶ崎・光岸地地区土地区画整理事業」に関する意見書(追加)

 

先に提出した私の意見書(2013.3.21)に「追加」をしたいと思います。よろしくお取り扱いください。

先の意見書で私は、当該土地区画整理事業が、全体的に、また部分々々の事案について何ら当該地区住民との合意がなされていない事。また、広く宮古市民一般との合意形成がなされておらず、宮古市議会においても公聴会を含めて充分な審議がなされなかった事を主な趣旨として述べました。合意形成は手続き問題としてだけではなく、被災地市民の意思の結晶として、未曾有の災害からの復興そのものの意味でもあるからでした。当整理事業の差し戻しをお願いした次第でした。

 

<追加意見書>

 

今回は、鍬ヶ崎地区の防潮堤に係る事案についてより具体的に述べたいと思います。下図に示した箇所の事ですがここは鍬ヶ崎地区の津波防災にとっての鬼門というべき場所柄であって、計画上まさしく地区住民との合意形成は避けては通れないところであります。

 

(1)袋状のくぼみ  吹き出し箇所の防潮堤の大きなくぼみは津波をここに呼び込むことになります。津波の力がここに集中する事になります。防潮堤の線型は当初は緩やかなカーブで東に向かうデザインであったのが突然このように変更されました。くぼみの下辺に小さな突起で表現されている清水川の河口の隙間の存在と一緒に防潮堤崩壊の引き金になる危険性があります。

 

 (2)津波の通り道  鍬ヶ崎地区のこの周辺一帯はまた明治、昭和の三陸大津波で一番大きな被害がでたところでありました。今次津波においても同様であります。小さい川ですが清水川のこの河口から北西に、鍬ヶ崎小学校、さらにその奥に向かう太古からの谷地流域が津波の通り道になっているからだと思われます。ここが鍬ヶ崎一帯の津波被害の突破口となってきたといえます。そのような場所柄に、さらに津波を呼び込むような防潮堤のデザイン変更は許される事ではありません。

 

(3)ケーソンの流出  この箇所の海側は国土交通省が所管するケーソン製造ヤードになっています。ケーソンは今次津波の際は台座に乗ったまま流出せずその場で崩壊しましたが製造途上の完成または完成直前の巨大なケーソンが津波に直撃された場合、後方に流出して防潮堤を破壊する事は必至であります。どんな形であれ防潮堤が破壊されればその箇所からの連鎖的な破壊は進む事になります。河口等排水溝の隙間、陸閘開閉、コンクリートのあらゆるつなぎ目、工法の瑕疵などに加えてケーソン流出の危険性があります。その対策はあるのでしょうか?

 

(4)私企業の優先  この袋状のくぼみは海ではなくケーソンヤードといわれるケーソンの製造工場敷地と造船所の工場敷地になっております。いずれの企業も鉄路で前者はケーソンを、後者は漁船等を海面におろす、あるいは海面から陸揚げする行程をもちます。だから企業が優先されました。反対に防潮堤建設の大義は崩れたといえます=公益性の消滅。地域を津波から守るための防潮堤デザインが私企業などのためこのように簡単に設計変更されていいのかどうか? どんなレベルであれ、これについては地域住民との可否議論は必要なはずです。地域との合意形成を回避するために(?!)、宮古市は、この敷地を独断で「土地区画整理事業の施行区域の変更」という行政の小手先で施行区域から除外しました。宮古市民は合意形成どころか問題の所在すら知らされていない状態です。

 

   ──この事案の例は特別ではないように思います。すべてにわたった区画整理事業は地区住民との合意形成がなく宮古市の独善による事業計画というべきものになっています。被災者がついていっていない状態なのです。                

以上

2013.5.21

当該地区地権者




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