宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

陳情書【はじめに】現状【1】ソフト面

2015年09月13日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会

宮古市議会に「岩手県(および宮古市)に対し鍬ヶ崎防潮堤について工事中断、変更、工事再開の現時点で地区住民に十分な再説明を行う事の要請」を陳情

「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」



 

(理由)



 はじめに。不可解な現状

 

鍬ヶ崎防潮堤については2回目の安全祈願祭も行われたが工事に進展は見られず、単なるごたごたとは言い切れず事態は最初の振り出しに戻っていると言える。この陳情書はその現状を述べると同時に、通して、一つ一つ岩手県に対する質問項目となっている事を付言しておきます。

 

(1)鍬ヶ崎「その1工区」は距離も短く(120m/1600m)、一番おだやかな支持地盤地層の工区であるのに拘らず4月から工事は中断していた。8ヶ月もの工期の大幅延長を決め、予算3割増額、中断・再開理由の説明もないまま計画は振り出しに戻った状態である。鍬ヶ崎地区にちらしを配っただけで、なんらの説明がない事が問題だといいたい。7月工事再開後も再三工事が頓挫している。支持地盤再調査、鋼管杭の打ち直し、工事の慢性的遅れが続いている。

 

(2)「その1工区」では想定外の支持地盤の深さで急きょ5カ所のチェック(追加)ボーリングを行ったが、チェックボーリング調査は全工区に及んでいる。分かった分だけでも鍬ヶ崎「その1工区」既存調査2カ所に対して5カ所の追加。全工区では従来15カ所で足りるとしていたもの(2014.11.4説明会)に30カ所以上追加している。行き当たりばったりで完全なやり直し状態であるがその説明がない。

 

(3)ほんの3~4ヶ月の中断期間で打設済みの鋼管杭に大きな塩水腐蝕が見られた。いったん打設した「その1工区」の54本(予定80本)の鋼管杭のうち50本は支持地盤に到達していなかったので工事再開時、既設鋼管杭を引き抜いて溶接、鋼管の長さを足して再埋設した。一本一本クレーンで引き抜いた鋼管杭はボーリング調査、長さの欠陥だけでなく、すでに塩害で表面が剥離・腐蝕した欠陥工事であったのである。(添付カラー写真参照)。説明がない。鋼管の腐蝕試験も行っていない。


 

 (目撃者談)↑ 拡大
錆というより剥がれているように見えました。たった4ヶ月地中に埋められていたもののようです。長さを追加するためにクレーンで抜いたものです。1年もすれば穴があきそうな勢いですね。どんな鋼材なのでしょうか?そもそもこれが防潮堤基礎たり得るものなのでしょうか?偶然の1本であっても鍬ヶ崎の防潮堤はここから崩壊します。鋼管の粗製濫造が始まっていると思います。先きの震災の検証が行われておらず形だけ替えて同じ欠陥防潮堤が作られていると思います。

 

  (4)7月28日、県・土木センターは日立浜地区の船揚げ場工事および防潮堤について地区の漁業者だけを集めてこっそり説明会を開催している。市民へのお知らせもない姑息な説明会は宮古市民への背任であり、計画説明の不自然さが丸見えである。いまだに「ケーソンヤードの操業撤退」や「陸閘のデザイン、設計。開閉操作」の提示もなかった。これでは漁業者は困惑するだけだ。防潮堤に関連して日立浜の船揚場工事はどうなっているのか説明を求めたい。

 

──このような状態で、昨年11月4日の市民説明会以来、ここにきて上記諸問題(1)~(4)と下記 1~4 の諸問題に対する不安感、不信感が市民の中に強く再認識され、防潮堤の否認的気運がますます広がってきた。(将来を向いて、宮古市民には世紀・ミレニアムを見通す津波災害の大検証を進める義務と責任がある)。市民の「鍬ヶ崎にこのような防潮堤はいらない」という気運をもはや止める事が出来ない。繰り返すが、上記、下記の諸問題に対する岩手県の責任ある正しい説明機会を求めるものである。


 

1、ソフト面の見解を問う

 

 驚くべき事に県からも市からも防潮堤の存在意義についての説明が地元宮古市民になされていない。これらソフト面の県庁からの見識はなに一つも示されていない。生活や就業の事を忘れ、工事や建設というハードだけの巨大防潮堤は無意味さを印象づけている。心の復興や、産業の未来というソフト面の復興こそ被災市民が100%求めているものである。

 

(1)宮古市・鍬ヶ崎の景観が悪くなる 宮古港を中心にした景観の喪失は海が見えなくなるというだけではなく、市民・住民の心象も変える。防潮堤建設は住民の地元退出の大きな理由になっている。地元帰還希望者のこころの変節も見逃せない。また、鍬ヶ崎に建つ災害公営住宅の立地の無神経さの原因にもなっている。

 

 (2)生業(なりわい)としての漁業が縮小する 沿岸磯漁業だけでなく近海、遠洋漁業従事者が多い鍬ヶ崎は伝統的な漁業のまちである。そもそも地元漁民はその家族とも防潮堤で津波を防げると考えていない、防潮堤が命を守るとも考えない。防潮堤は生業としての漁業を圧迫するだけだ。

 

 (3)鍬ヶ崎地区を中核とする港湾都市宮古市の地場産業が縮小する 水揚げ漁港の土地柄として内外漁船の購買・販売事業は宮古市の伝統的な地場産業と言い得る。水揚げ、加工業、船員休息、娯楽、荷役、運搬、消費等、港町のにぎわい、港湾都市の漁業関連産業はコンクリートの巨大防潮堤出現で一気に衰退する。また一般船舶荷役、観光都市の観光業にも同様であることをよくよく考えてほしい。

 

 (4)その他 若者の就業意欲、住宅建設意欲など地元鍬ヶ崎の復興意欲に防潮堤は暗い影を投げかけている。

 

 (5)巨大防潮堤より避難道を! 防潮堤問題は東北沿岸で中止、縮小、代替など多様化している事は分かると思う。鍬ヶ崎の場合はまさに「巨大防潮堤より避難道」ではないかと思っている。避難、避難道については鍬ヶ崎角力浜町内会の取り組みが先行例として有名であるが、鍬ヶ崎と地形の似た気仙沼などの漁家婦人部などが国会陳情を行い全国的に呼びかけているスローガンでもある。


【2】につづく

(毎日新聞)に戻る

 

 


 

はじめに。不可解な現状

1、ソフト面の見解を問う

2、不透明な工事

3、大きな環境整備は?

4、市民合意のない防潮堤建設




 



 
 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 陳情書を提出「工事は当初計... | トップ | 陳情書【2】不透明な工事 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿