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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

原子力規制委員会へのパブリックコメント

2013年03月09日 | どうなる福島原発

先に(1/3)(2/3)(3/3)として書いたものは8000文字以上のため文字数超過で応募できなかった。2000文字にも縮めることができなかった。窮余の策として、2回に分けて応募した。

☆(1)


「新安全基準(地震・津波)骨子案」全般に対して

(要約)

津波の破壊力は高さではなく物理的「運動の力」にある。津波の「運動の力」を早急に標準化すべきである。

(本文)

1、津波には「骨子案」より先きに、前提的に二面の基準がある。

 津波の波高・溯上高と津波の物理的「運動の力」がその二面性である。「新安全基準(地震・津波)骨子案」では津波対策が津波の波高・溯上高対策に偏重しており、原発ごとに防潮堤(ぼうちょうてい)の高さに収束するであろうという閉塞感・危機感が私にはある。そうではなく規制委員会には津波の破壊力のコア「運動の力」に関する確とした新しい基準を提案したい、ということである。

 2、高さしか念頭にない骨子案

 津波の破壊力の一面にすぎない高さへの偏重は、津波の高さに見合った防潮堤を築けば津波の襲撃は防げるという誤った現象論、そして津波で死ぬという事は高波にのまれて溺れて死ぬことだという市井の感情論に依拠しただけの誤ったポピュリズムである。

 事業者の中で専ら防潮堤の高さを進めている中部電力の浜岡原発の場合はこうである。

 防潮堤18メートル高は「福島原発の波高15メートルから余裕を見て一歩踏み込んだ数字になった」(浜岡原子力総合事務所所長)というものであったが、直近では22メートル高の公開模擬実験を行い更に4mのかさ上げを表明している。どの高さも、見る通り、聞く通りのことで、安全基準に理論的に科学的に確たる根拠があるわけではない。要人の見学、記者団発表に怠がない。あたかも問答無用の示威活動や政治的対処で難局を乗り切るかまえのように見える。

 3、津波の本質的な破壊力は「運動の力」である

 今次大津波で国民的コンセンサスになっているものは大波や大潮と違って津波の絶大な破壊力であった。福島第一原発においては破壊はより本質的であった。原発建て屋にかぎらずあらゆる人工物、パイプや保安機器、補助電源や冷却装置、破壊は炉心を脅かし、また破壊し、その連鎖反応は周辺住民の民生問題まで、今なお際限なく連鎖反応はつづいている。津波のこの本質的な破壊力は高さによるものではない。越流や浸水の問題であれば如何なる原子力発電所もあのような惨事にはいたらなかった。今次津波の破壊力は別の力、別の破壊のエネルギーであって、ここでは、津波の「運動の力」と一般的に定義して述べておきたい。

 津波の「運動の力」とは? 「高さ」に還元は出来ない

 一般に「運動の力」とは物質の質量とスピード(の2乗)に比例する。計算はともかく、例えば、このたびロシアのウラル地方に落下した隕石の破壊力や衝撃力には世界中が驚かされた。また、わが国では、昨年のつくば市を通過した竜巻の被害状況はまだ記憶に新しい。いずれもスピードの2乗の計算がある程度成り立ち、破壊力の概念もそこそこ理解されている。東日本大震災の津波の「運動の力」はどうであったろうか? 隕石の衝撃波にせよ、つくば市の竜巻にせよ、機能し、作用する物質はたかだか「空気」である。津波は質量が空気の1000倍の「水」である。その沿岸を撃つスピードは? その破壊力は? (私は寡聞にして今次津波のそのような情報を知らない。わずかに宮古市の川代地区で115km/h、同田老地区摂待で30km/hの新聞記事に接した程度である) 隕石にせよ竜巻にせよ、瞬間的であり局地的であるが、津波は、繰り返し襲い、範囲も比較にならない。しかし、沿岸(原発)を撃つスピードすら分かっていない。公表もされない。報道もされない。分からないという理由だけで学者も政府も原子力規制委員会も国民に訴える事をやめている。電気事業者も対策PRにはつとめているが立地を襲う津波の強さには口をぬぐっている。高さ還元主義と言える。今次津波でも、来るべき南海トラフ地震津波でも、高さに対する危機感は強いが根幹である力に対する意識は希薄である。一般の津波防災や避難にも当然資するであろう原子力発電をターゲットにした破壊のエネルギー/津波の「運動の力」の解明や標準化はどこまで出来ているのだろうか?

 知恵の糾合で津波の「運動の力」を標準化。そして新「津波科学」を

 ありきたりに力の原理論は存在しているが、しからば、個別地域の津波のスピード、震源地海洋から沿岸へ、沿岸から陸上への力の集中と分散、陸上での波と力の動き。また津波の「運動の力」の標準化、「運動の力」の単位、「運動の力」の計量、等はどうであろうか? 津波科学ないし津波防災学などオーソライズされた津波の学問分野はいまだにどこにもない。地震学会や地質学会などが代行しているがすでに限界が露呈されている。原子力規制委員会が率先して津波学を牽引してもらいたい。

以上




☆ ☆(2)

 

「新安全基準(地震・津波)骨子案」パブリックコメント=全般

 (要約)

津波対策パブリックコメントは世論と噛み合う議論を前提にするべきだ。

(本文)

「パブリックコメント」の募集といいながら、骨子案の叙述に見る通り、言葉・コンテンツがあまりにも専門的にすぎ総花的にすぎ、とてもパブリックレベルでの噛み合う議論が出来るとは思えない。規制委員会はここでも依然として自ら業界の側に取りこまれたままで、中立的な世論形成、国民に対する争点の提供を怠っている。
「新安全基準(地震・津波)骨子案」全編を通じて、12~13万年前以降、40万年前以降の断層問題から始まって、波源モデル、残余のリスクなどの基本概念から、施設設備の浸水防止機能に至る、骨子案の叙述は、とりとめのない遠大な総花的の問題提起になっている。

 1、噛み合う議論が可能か? 「仕組みづくり」が遅れている

 地震、地層など他の分野では、地震域や活断層やプレートの解明は進んで、学会や委員会の調査結果等には科学者、専門家だけでなく、科学ジャーナルズムだけでなく、一般マスコミ、おそらくは学生や一般市民も理解の触覚をのばしている。少なくとも各層、各分野が複雑に混ざりあっても、なんとか、調査活動や調査データと議論が噛み合っている。どんな結論より、このように噛み合う議論、噛み合う認識というものが大切なことなのである.
津波に関する大切は、津波の力については波高、溯上高以外に、そのような噛み合う議論がなく、従って諸規制も無手勝流を貫くしかないというのが実態である。破壊力の物理的運動の問題意識、解明、そしてその安全基準とは、まず、それを市井と学者と委員会と事業者の「噛み合う」議論のレベルにまで高める(低める)ことでなければならない。世論に訴え、堂々と国民的議論になるように、地震学者はもちろん、地質学、物理学、土木建築学、海洋学、気象学、等の学際を越えて、また政界、財界、官界、業界などの分野を超えて、なおかつ、地域住民の経験、見聞を尊重し、沿岸の漁業者や港湾従事者など職業人も生かすような仕組みづくりを合わせて構築しなければならない。
いまは、そのようなコンセンサスのない規制委員会は、このままでは糸の切れた凧である。各分野、各層に協力を頼んで、強く世界一の安全基準を目指すべきである。そのためには一層汗を流して大枠の基準の基準づくり(=仕組みづくり)を進めるべきである。規制委員会の新安全骨子案は素人目には致命的に不十分なものである。今年(2013)7月までに新安全基準が出来るとは思えない。

 2、規制委員会はパブリックコメントになにを求めているのか?

 ●「骨子案」を一応読んでみたが、パブリックコメントになにを求めているのかはなはだ疑問に思った。第一、パブリックコメントを「誰に」求めているのか? 専門家を対象にしているのか? 電気事業者か? パブリックといいながら、少なくとも一般人を対象にしていないナと思った。関連資料の膨大な議事録なども読まされて、時間的にも、内容的にも一般人には難しすぎる。
●パブリックコメントに何を求めているのか? 整理も議論もしないで、フェイズ、次元の異なるものをそのまま、投げ出すようにしてパブリックコメントを求めている。委員会内部の素案、例えれば「内規」を外に出してパブリックコメントを求めているようなものだ。「難しすぎる」というよりもこれは「失礼」であると思った。原発事業者には丁度よく分かりやすく書かれていて、ここに規制委員会の本当の性格が現れていると言える。
●このパブリックコメントがどのように扱われるのか? 政府の、地方自治体のパブリックコメントと同じ感触だ。書式、文字数、扱いの不明さ、軽さなどを含めて、同じ官僚主義で扱うのだろう。がっかりである。今後のために敢えて言っておきたいが、一般人の私(パブリック)が指摘する骨子案の「分かりにくさ」は、それはパブリックコメントにとどまらず、規制委員会の欠陥だという事を厳に自覚してほしい。
●規制委員会は世論を味方に付けたいのかどうか疑問に思い不安になってきている。規制委員会はそこのところはまず最初に大きく決断しておくべきであったろう。はっきり言って顔は政府と原子力発電事業者だけを向いている。これからパブリックコメントをする人は自分の見解をサブメディアにオープンにしておく必要がある。ブログなどのネットにのせることがふさわしいと思う。

以上

 

 

 

 





 

 

 

 


 


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