水泳肩…肩峰下インピンジメント症候群 パート2

2011年01月19日 | 治療の話
トライアスリートのAさんは、

3ヶ月ほど前から左肩の痛みのために

スイムの練習ができなくなっていました。

そのうち治るだろうとランを中心に

トレーニングされていたそうですが

なかなか回復が見られず、ご来院されました。

左の腕を外に開いてゆくと、真上まで残り20~30度のあたりで

肩の付け根に痛みが走ります。

これは「肩峰下インピンジメント症候群」の中でも

「外転型インピンジメント」といいます。

三角筋がちぢみ込んでしまうことで、

正しい肩の運動ができなくなることで起こります。


図版引用:運動機能障害症候群のマネージメント 医歯薬出版

Aが通常の運動を、Bが異常な運動を現しています。

上の図の言わんとするところはこうです。

通常の腕を外に開くようにあげる運動では

はじめに棘上筋が腕の骨を肩関節の中で

30度ほど「つるり」と転がるように動かし

次いで三角筋が働くことで横から大きく

手を挙げることができるんです。


しかし、

棘上筋が上手に働かずに、三角筋が先に働くことになると

腕の骨が肩のソケットの中で「つるり」と転がることができず

肩関節の天井(肩峰下関節)に、棘上筋を挟み込みながら衝突し

棘上筋の腱の部分をガリガリと削るように動き出してしまいます。

長く続くと棘上筋の腱が傷つき、穴があいてしまうこともあるんです。

そうなると治すにも一苦労です。

こういった状況は、肩の位置が正常より低かったりすると起こりやすいんです。

なで肩の方は要注意ですね。




話は変わりますがこの「肩峰下インピンジメント症候群」、

水泳で生じると「水泳肩」と呼ばれ、

野球で生じると「野球肩」と呼ばれるのが面白いですね。

名前は違いますが、どちらも中身は同じ障害です。




さて、話は戻ってAさんの治療。

初回は肩甲骨の位置や関節の動きを狂わせている筋肉の

柔軟性を取り戻すことからはじめました。

結果は上々。

初回の治療で若干の痛みを残しながらも

スパッ!

とあがる左腕。

治療後には、自宅でできる

肩のソケットを支えるインナーマッスルの調整法

を伝えて初回の治療は無事終了しました。


4日後、2度目の来院時には更に痛みは和らぎ、

動きも良い状態が保たれていました。

この回の治療後には肩甲骨の位置を正す調整法と、

競技復帰を早めるために

「骨盤と胸郭の連動性を高めるためのエクササイズ」

を伝えて終了しました。

また、肩の状態が良かったので、

肩の調整法を水中で水をかく運動を取り入れながら

行ってもらうことにしました。


さらに10日後、3度目の来院時には

大きく動かすと最後の最後で若干の痛みが残るものの

さらに痛みも和らいでおり、

治療後、今まで伝えた肩と体幹(胸郭・骨盤)の調整を

ウォームアップで行ってから「ゆったり泳ぐ」ことを提案しました。

上限は30分とし、

痛みや違和感が出てきたらすぐに

伝えた「調整法」を行い、

それでも痛みや違和感がぬぐえない時には

水泳の練習はそこまでとしてもらうよう

約束していただきました。

回復期のトレーニングはついつい故障前の内容を目指してしまいがちです。

しかし、これが曲者。

傷めた箇所は以前より強度も耐久性も落ちています。

一時は「故障前のメニュー」を無理にでもこなせる事もあるでしょうが、

傷めた箇所にとってはとても耐え切れる運動強度ではなくなっていることに

注意が必要です。

と、言うことで

Aさんには是非、競技復帰までお付き合いいただきたいところです。

Aさんにお伝えした「肩峰下インピンジメント症候群」のセルフエクササイズは

近いうちに動画でご紹介したいと思います。
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