テニス肘(上腕骨外側上顆炎)について

2014年04月09日 | 治療の話

このところまたテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の相談が増えてます。

この故障は、

手首を反らせて腕を外に回し(前腕の回外)ながら肘を伸ばす

そんな動作の繰り返しや、

そうした動作に抵抗がかかるシチュエーションが続くと起ると考えています。

それってどんな動き?って、疑問の声が聞こえてきそうですね(^_^;)

テニスだったらバックハンド、他にはドライバーでのねじ締めとか、そんな動きが積み重なって起きると考えて下さい。

フライパンつかった炒め物なんかもドンピシャです。

 

多くのケースでは、中指の延長線上、手の甲にある第3中手骨の根本にくっついている「短橈側手根伸筋」という筋肉と

上腕三頭筋の外側頭が一緒に故障していることが多く、これらの治療で痛みが落ち着くケースが多く診られます。

患部の状態が慢性期(はれの落ち着いた頃)であれば、のただしつきですが、

治療のはじめには、痛みの出所となっている筋肉の手入れの仕方(特殊なマッサージやテニスボールマッサージ)を伝えて、痛みのコントロールを覚えてもらいます。

でも、それだけでは「治った」とは言えません。

痛みは治まっても故障した後の筋肉は萎えて弱くなっていますので、

元の動作をするとすぐに過労に陥ってしまいます。

そのまま追いつめれば元の木阿弥。

直ぐに再発の憂き目にあってしまいます。

 

痛みのために出来なかった動作ができるようになるまでには、

傷付き萎えてしまった患部に元の強さを取りもどしてあげる必要があるんです。

なので、私は痛みが落ち着いたところで、トレーニングの指導を行います。

その際の手順は、

1、肘の痛みのチェック法と肘関節のズレを修正するエクササイズ(肘関節複合体の運動併用モビリゼーション)を伝えます。

2、チェック時に痛みがあったとしても修正法で痛みが消えたなら、トレーニング種目の選択に掛ります。

※逆に、チェックで痛まなくても肘関節の筋肉による保護をしっかりと効かせるために修正エクササイズを実施します。どっちにしろ修正エクササイズはセットでやることになります。

多くはアームカールや壁を使った腕立て伏せといった簡単な筋力トレーニングを試験的に実施して

再度、痛みのチェックをし、痛みが再発しない運動を選びます。

3、自宅での実施の手順を伝えます。

 

3、についてもう少し詳しく書くとこんな感じです。

1、痛みのチェック

2、肘のズレの修正

3、エクササイズ実施

 ※この時、回数やおもりの大きさ(負荷の強度)は違和感なく出来る数や重さとします。

  件の痛みが出るまで追い込まないことが重要です。 

  通常のトレーニングによる疲労感が感じられたら1セット終了です。

  また、患部に疲労や違和感が感じられても1セット終了です。

  1セットが終わったら、4、以降へとコマを進めます。

4、痛みのチェックをします。

  この時の肘のリアクションから以下を判断します。

a,痛みのない場合→2セット目を実施しします。

b,痛みがある場合→修正法を試し痛みが消えたら2セット目にトライです。

            →痛みが消えないならトレーニングはそこまで。

5、修正法を実施して終了。

 

こうして徐々に出来なくなった動作が再びできるまで患部を鍛えて行くわけです。

場合によっては、フォームの修正までを手掛けることもあります。

 

先日ブログを見てご来院されたという患者さん曰く

その昔、テニス肘は簡単に治るよ~♪と、ブログに書いていたようです。

当時は「痛みが治まれば合格」と考えていたようです。

 

若かったな…

 

本来的な治療のゴールは競技や仕事、日常への復帰ですので、

それらは決してリハビリ抜きに出来るものではありません。

どの故障でも、壊れるまでには、気付かないまでもそれ相応の積み重ねがあったはず。

治す時にはしっかりと手順を踏んで、表面的な鎮痛ではなく、

競技や日常への復帰まで、腰を据えて治療に参加していただく必要が

大なり小なりあるものなのです。

 

と、気前のいい話はしませんでしたが、

肘の痛みでお困りの際にはお気軽にご相談下さい。

 


最新の画像もっと見る