富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

「朝核」は、中国語の熟語

2017年10月15日 | Weblog

「朝鮮半島の非核化」の問題につき、中国語では「朝核」という熟語が用いられている。この言葉には、朝鮮労働党による核武装を問題視する思考が隠されている。すでに、あれこれの言葉を用いて説明しないで、「朝核」という二文字で表現されている。さて、中国共産党大会にむけて中央委員会が開かれたが、実は、どの文書、報告にも、「朝核」の語は出てこない。それは、余りにも高次の外交課題であるからだ。中国の周辺国外交では、中韓日の連携が強調され、朝鮮も「朝核」の文字も出てこない。そこには、外交課題であるほかに、中国共産党にすれば、北朝鮮に対しては「周辺国家」の位置づけすら与えず、ある意味、中国共産党の内政の問題に準ずる課題でもあることをにじませている。

中国共産党大会に提出される外交活動報告では、ヨーロッパ、アメリカ、ロシア、アセアン、韓国、日本との関係調整が述べられているだけで、「朝核」の問題は出てこない。このように、中国共産党は「朝核」に低い位置づけを与えることで、相対的な「無視」が、相手に与える心理効果を狙ったものといえる。すでに、中国と北朝鮮とは、友好国、軍事同盟国という関係は解消されている。「朝」は、朝鮮半島を意味する言葉である。朝鮮半島には、朝鮮人民共和国を含むが、「韓」に対して、「朝」を独立した外交対象としての国家とは見なしてはいない。中国共産党には、中国人民解放軍の支援なくして、国家としての基礎を固めることができなかったという歴史認識に根ざした属国意識がある。「朝」を属国、衛星国にとどめる潜在意識がある。これは、朝鮮労働党には非常に重い足かせである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする