街角の要所や、公衆浴場、観光地には、必ず自動販売機をみかける。これは、24時間いつでも販売機会を逃さない。その意味では、最適の販売手段である。現金を先に収納するので、債権回収、売掛金は、機械の内部では生じない。販売の人件費もカットできる。しかし、ゴールドラットのスループットの概念からみると、自動販売機は、飲料の製造メーカーにとり全体最適を保障するものではない。あくまでも、販売用の製品在庫の貯蔵庫である。売れ残りの在庫品は、別途の市場で原価に近い価格で最終処分される。100円均一のショップで、訳け有りのスチール缶やアルミ缶の飲料が販売されているが、それらは最終処分品である。飲料の製造メーカーが自動販売機の設置の営業展開力が最大化すると、自販機の設置密度も高まり販売機会も最大になるが、同時に製品在庫を極大に拡げ、売れ残り在庫を収容する「極小の倉庫」を立地限界まで拡張することになる。その場合、飲料販売権の地域フランチャイズがある場合、自販機の設置場所の販売効率を無視してでも、自販機の設置場所を極大まで拡げると、飲料製造メーカーは在庫回転率の低いショップをさらに多く抱えることになるから、平均の収益率は確実に低下する。ところが、自販機を製造する機械メーカーにすれば、飲料メーカーという顧客企業のスループットを無視して、自社のスループットを最大化するためには、1日に1個も売れない自販機でも、設置されたら機械販売の台数としてカウントできる。
それ以上に、自販機そのものには販売地域フランチャイズがないので、中古の自販機をリサイクルで買い取り、改造して、タイ、インドネシア、ベトナムへ輸出できる。清涼飲料水は、GDPの成長率からみて、東南アジアは無限に近い市場条件を雍している。さらに、面白いことに、清涼飲料水の製造メーカーは、メーカーとしてはボトリングと内容物の製造をするだけなので、アルミ缶、スチール缶、ペットボトルの製品か、半製品を容器として外部企業から購入しなければならない。だから、飲料製造メーカーが、飲料販売会社に製品を渡した段階で、売上として会計されるので、販売会社からのオーダーに従い「トヨタ式」の生産ラインで無駄なく生産すればよいという部分最適に陥る。そうすると、飲料メーカーが製造と販売とが別会社で区切られていても、自動車メーカーのようにブランドとしての統合マネジメントの司令塔が重要な意味を占める。しかし、自販機メーカーからみれば、朝日飲料であれ、キリンであれ、コカコーラであれ、自販機そのものが売れたらよいので、在庫回転率の低い立地にも販売を続ける。しかも、そのような自販機は、風雪にさらされ、廃棄され、リサイクル市場に回ってくると、リニューアルして東南アジアへ輸出されることになる。
ボトリング部門は、狭い地域内の販売圏の制約がないから、最低の輸送費で全国、世界へ配送できる鉄道貨物、船舶輸送に依存する。消費者は、自分のノドと飲み物の消費しか考えない。清涼飲料水は、さまざまな原料や、在庫販売機械、リサイクルなどの産業関連を持ちながら、最終の消費者市場の消費予測に合わせ製造するが、最終消費者に製品が販売された時点で売り上げとして会計計算するゴールドラットのスループットの概念が導入され、統括市場本部と生産指令とが緊密でないと、外部メーカーである自販機の機械メーカーのスループット計算により市場行動が上位となる。
こうして、北陸CCボトリングは、飲料水メーカーとしては地域フランチャイズの市場限界のなかで、販売限界があり、自販機の再生機械メーカーとして東南アジア市場を獲得することで、将来性が大きく確保された。グローバル化することで、飲料の中身を売るビジネスよりは、飲料容器や、ボトリング、そして自販機の機械メーカーが優位な位置にたつことになる。