12月2日に中央高速道路の笹子トンネル天井が崩壊し多くの犠牲者が出たニュースは衝撃的でした。私もこのトンネルは何度も利用していましたので、とても他人事とは思えません。「長いトンネルだなあ」とは感じても、「もし途中で地震でも起きたらどうなるんだろう」とふと思っても、当たり前のようにトンネルを通過していました。
さて、この事故の原因や再発防止は道路会社や学者達に任せるとしても、報道番組を見ていて彼らの感性に疑問が生じました。私は土木技術者ではありませんが、長く機械設計を経験した立場から見ると、このトンネルの構造からして、不可思議な点があります。
構造上、左右対になっているコンクリート板を中央の吊り棒で支えています。吊り金具の強度は十分過ぎるほどあるはずです。でもそれを固定しているアンカボルト部が抜けたか、天井のコンクリート塊ごと崩れ落ちたかが主因の様だとのことです。また、走行方向に並べた板は、隙間が出来ないようにオーバーラップさせていたとのことです。これにより、130mに渡り連鎖反応の如く計330枚もの板が崩落しました。安全点検も板面からトンネル最上部までの高さが5mもあって目視検査しか出来なかったとの事です。
疑問は次の4点です。
①吊り具を固定しているアンカボルト部分の経時劣化が言われますが、設計時この吊り金具が外れる事を想定した設計をしなかったかと言うことです。強度的に十分と言っても、普通の設計者は、これが外れた場合も想定し、補助的な吊り具なり他の方法でも板が崩落しえない様な構造に設計するのが基本です。2重3重の安全対策を何故しなかったのか?が問題です。多分費用面からの制約が大きかったのでしょうが、設計者としてはそれを言い訳にしては絶対にいけません。
また、恵那山トンネルの様に、板が左右の対ではなく、一枚板なら(吊り具が外れても)簡単に崩落することも無かったかもしれません。吊り棒が全壊しても、対の板がお互い踏ん張って、(多少落ちこんでも)崩落できない形状にすべきだったでしょう。
②130mに渡り連鎖的に崩落しましたが、これも設計上考え方がおかしいと思います。
仮に1箇所の吊り具が外れて崩壊現象が発生したとしても、その衝撃力が隣の板に数倍かかったとしても、それに耐えうる安全率を設定しておくことが必要です。安全率が10なのか20なのかは分かりませんが、少なくとも2~3では無いはずです。安全率を無視した設計だったと言わざるをえません。
③天井の高さが高すぎて、直接の打音点検が出来なかったとの事ですが、そもそも点検も出来ないような構造にしておくこと自体が設計者の怠慢です。点検が出来る様に屋根裏部屋を2階構造にするなり、専用の動く踏み台を準備するなり、高くても確実に点検できるシステムを準備するなりの設計が必須なはずです。高すぎて点検できなかったというのは詭弁以外の何者でもありません。
④大地震が起きたとき、耐えられますか?
今回以上のトンネル内惨劇が考えられます。当然ながらトンネルは山の多い地域に作られます。地震による山崩れなども想定され、トンネル内はその非難場所としてシェルターの役割も有用であり、絶対安全な場所であって欲しいものです。
以上私の考えですが、トンネル設計者も設計時は同じ様に万一の事態を想定していたと思います。(想定していなかったら、その方は設計の初心者です!)でも、予算が限られたりしていて、経営側からの圧力などなどで、心ならずも今の構造にせざるを得なかったのだと信じたい。でもそれは設計者の恥です。頑としてでも安全を優先できなかった設計者の怠慢です![設計ミス]とまでは言いませんが、私は少なくとも「設計不備」だったと思います。報道番組に出てくる学者達は設計本質について全く突っ込みをしていません。あたかもNEXCOに遠慮している様にさえ見えます。
皆さんは、このトンネル構造についてどうお考えでしょうか?
さて、この事故の原因や再発防止は道路会社や学者達に任せるとしても、報道番組を見ていて彼らの感性に疑問が生じました。私は土木技術者ではありませんが、長く機械設計を経験した立場から見ると、このトンネルの構造からして、不可思議な点があります。
構造上、左右対になっているコンクリート板を中央の吊り棒で支えています。吊り金具の強度は十分過ぎるほどあるはずです。でもそれを固定しているアンカボルト部が抜けたか、天井のコンクリート塊ごと崩れ落ちたかが主因の様だとのことです。また、走行方向に並べた板は、隙間が出来ないようにオーバーラップさせていたとのことです。これにより、130mに渡り連鎖反応の如く計330枚もの板が崩落しました。安全点検も板面からトンネル最上部までの高さが5mもあって目視検査しか出来なかったとの事です。
疑問は次の4点です。
①吊り具を固定しているアンカボルト部分の経時劣化が言われますが、設計時この吊り金具が外れる事を想定した設計をしなかったかと言うことです。強度的に十分と言っても、普通の設計者は、これが外れた場合も想定し、補助的な吊り具なり他の方法でも板が崩落しえない様な構造に設計するのが基本です。2重3重の安全対策を何故しなかったのか?が問題です。多分費用面からの制約が大きかったのでしょうが、設計者としてはそれを言い訳にしては絶対にいけません。
また、恵那山トンネルの様に、板が左右の対ではなく、一枚板なら(吊り具が外れても)簡単に崩落することも無かったかもしれません。吊り棒が全壊しても、対の板がお互い踏ん張って、(多少落ちこんでも)崩落できない形状にすべきだったでしょう。
②130mに渡り連鎖的に崩落しましたが、これも設計上考え方がおかしいと思います。
仮に1箇所の吊り具が外れて崩壊現象が発生したとしても、その衝撃力が隣の板に数倍かかったとしても、それに耐えうる安全率を設定しておくことが必要です。安全率が10なのか20なのかは分かりませんが、少なくとも2~3では無いはずです。安全率を無視した設計だったと言わざるをえません。
③天井の高さが高すぎて、直接の打音点検が出来なかったとの事ですが、そもそも点検も出来ないような構造にしておくこと自体が設計者の怠慢です。点検が出来る様に屋根裏部屋を2階構造にするなり、専用の動く踏み台を準備するなり、高くても確実に点検できるシステムを準備するなりの設計が必須なはずです。高すぎて点検できなかったというのは詭弁以外の何者でもありません。
④大地震が起きたとき、耐えられますか?
今回以上のトンネル内惨劇が考えられます。当然ながらトンネルは山の多い地域に作られます。地震による山崩れなども想定され、トンネル内はその非難場所としてシェルターの役割も有用であり、絶対安全な場所であって欲しいものです。
以上私の考えですが、トンネル設計者も設計時は同じ様に万一の事態を想定していたと思います。(想定していなかったら、その方は設計の初心者です!)でも、予算が限られたりしていて、経営側からの圧力などなどで、心ならずも今の構造にせざるを得なかったのだと信じたい。でもそれは設計者の恥です。頑としてでも安全を優先できなかった設計者の怠慢です![設計ミス]とまでは言いませんが、私は少なくとも「設計不備」だったと思います。報道番組に出てくる学者達は設計本質について全く突っ込みをしていません。あたかもNEXCOに遠慮している様にさえ見えます。
皆さんは、このトンネル構造についてどうお考えでしょうか?
さらにこのような重量材料を支持するのに側壁での支持と中央の1点のみで吊り支持と言うのはあまりにもお粗末である。建築であればこのようなコンクリート板を支持する場合は両側の側壁から梁を渡すのが常識であり、さらに梁を途中で吊り支持するにあたっては中央1か所ではなく2~3か所吊りとするはずです。
さらにこの重要な吊り支持材を固定しているアンカーが固定箇所あたりたった2本しかないようであり、1か所が腐食などで無力になるとこの釣り鋼材は偏芯状態での1点支持になってしまいます。
今回の事故ではコンクリート板が100m以上にわたって落下したと言うことですので、中央部長手方向の隔壁を吊り支持しているアンカー部分の安全率が非常に少なかったことが想定されます。アンカーの本数や安全率が高ければどこかのアンカーボルトの腐食などによりコンクリート板が落下したとしても数mの局所的な落下で済んだはずです。
繰り返しますが、この事故は単なるメンテナンス不良だけではなく設計上の問題も含んだ複合要因により発生したと考えるべきでしょう。
事故調査委員会が発足したとのことですが、土木系の中心の学者や技術者で構成されたこの委員会でこのような基本的な設計思想そのものの観点から判断がなされる事が期待できるでしょうか?