レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランドではアイスランド語を話す「原則」

2021-03-21 00:00:00 | 日記
こんにちは/こんばんは。

今、これを書いているのは、20日の土曜日の朝なのですが、昨晩から未明にかけてはいろいろあったようです。

アイスランドでは、これまでも書いてきましたように、マグマ活動が続いていましたが、昨晩の9時頃についに溶岩が地表に噴出しました。火山の噴火のような噴煙を伴うものではなく、どろどろの溶岩が溢れ出したような感じです。






噴出した溶岩 当日夜と翌朝
Myndir eru eftir Landhelgisgaeslan


ここ三日ほど、目立った地震も少なくなっていましたし、昨晩の七時のニュースでは「どうやら、今回のマグマ活動はこれで収束したようで、溶岩の噴出はないだろう」と専門家が言っていたのですが、その直後の出来事でした。

その専門家の方の名誉のために言っておきますが、その方は「とは言っても、いつマグマが噴出するかは100%予想できるものではなく、前触れなく噴出することもある」とも注釈していましたので。

当局は、この噴出が周辺の交通事情等に影響を与えることはないだろう、と伝えています。念を入れて「絶対に見に行ったりしないように」という注意も忘れていません。

(*ところが、後のニュースを見ると、この半日だけで約百人の「一般人」がすぐ近くまで来て写真やセルフィーを撮っていたとのこと。やれやれ。ちなみに、周辺には警備員もレスキュー隊もいないそうな。アイスランド的だなあ。自己責任でお願いいたします)

溶岩の量は「過去にないほどの最小規模」だそうで、この半島でのマグマ噴出は八百年ぶりだそうです。ということは、多分、私たちが日常見慣れている溶岩地帯の、あの溶岩が出てきた時以来ということでしょう。

そして、今日の朝起きてみると、東北地方でまた大きな地震があったようですね。こちらの時間では未明の3時過ぎということになりますね。

ネットで、ライブのニュースを時間遅れで見ていますが、津波の警報も出ているし、当地の方々は心配されたことでしょう。今現在は地震発生から六時間を経過していますが、もう大丈夫なのでしょうか?

これ以上、大きな地震の来ないこと、そして今回の揺れで被害がなかったことを願います。




溶岩噴出の場所はここ
Myndin er ur Visir.is/Hjalti


さて、今回はアイスランド語についての続編です。

前回は、「アイスランド語の能力」を盾にして、外国人の住民が仕事を得られない事態が起きている。その事態に対抗して、移民女性たちが就職活動を助ける会社を立ち上げ、そのことがニュースで紹介された際に、英国籍女性が「英語で」インタビューに応じていた、というようなことを紹介しました。

このニュースから二日ほど経って、ネット・メディアのVisir.isにオピニオン投稿がありました。

書いたのはアイスランド人女性のマルタさんという方で、アイスランド語の教師をされているそうです。オピニオンのタイトルは「私はデンマークではデンマーク語を話す」

読む前から内容が想像できたのですが、案の定でした。「私はかつてデンマークに住んでいましたが、当然デンマーク語で生活していました。その後、ノルウェーに移りましたが、そこでもノルウェー語を話しました。

そこでは、私は『客人』であり、私に英語で接することはノルウェー人の務めではなかったと思います」

まあ、大体そんなような内容のことを陳述し、それから:

「私たちはアイスランドに住んでいるのであり、ここではアイスランド語が国民の言語。国民の言語の習得は、あなたが住んでいる社会へのより良い適応のための鍵です。

あなたが、もし(アイスランド人の)もの考え方とか何かを変えたいのなら、あなた自身をアイスランド社会に適応させることが第一であって、ここの社会を自分に適応させようとすることではないでしょう。誰でもまずもって自分自身を証明する必要があります」

明らかに、マルタさんは前回のニュースを見て刺激され、このオピニオンを投稿したようです。




Visirへのマルタさんのオピニオン投稿
Myndin er ur Visir.is


この投稿は、かなり注目を集め、二千くらいの「いいね」を集めました。まあ、そのうちどれほどが「賛成」の意味で「いいね」を押したのかはわかりません。「議論の価値がある」という向きもあったことでしょう。

Visir.isには、個々のオピニオンに対してのコメントを残す欄もあります。

ちなみに、私はこのシステムにはチョー反対の人です。こんなシステム、ない方がいい。意見があるなら、人の意見にしったかぶった評価をするのではなく、自分で意見を投稿すべきです。

という私の個人的な嗜好にもかかわらず、このマルタさんのオピニオンに関しては、むしろコメント欄の議論の方が面白いくらいでした。三十くらいのメインのコメントが寄せられましたが、それがまた応答するコメントを呼んだりして、かなりのスレッドが出来上がっていました。

全部を読んだわけではないのですが、当然のことながら、マルタさんに賛成する人と、反対する人がいます。

賛成する側には、特にマルタさんが言っていること以上のものはなかったように見受けられました。目についたのは「そうだ、そうだ。私もスペインに住んでいた時はスペイン語を話した」とか「イタリアではイタリア語を話した」という「実体験型」の陳述。

ワタシも言われたなあ、二十七年くらい前に: 「アイスランドではアイスランド語を話すんです。あなたも話しなさい」移ってきて、まだ二年だったんだけど。

反対する側で、まず目についたのは「言語ファシスト!」みたいなレッテル貼り。それから「デンマーク語を話したとか、ノルウェー語を話したとか自慢してるけど、あなたの年齢だったらデンマーク語は義務教育だったろ?

デンマーク語も、ノルウェー語もアイスランド語の兄弟言語であり、それを世界各地から来ている移民がアイスランド語を学ぶことと同等と思っているなら、とんでみない勘違いだ」

このコメントにもかなりの「いいね」が付けられました。




活発な議論の場となったコメント欄
Myndir er ur Visir.is


私自身がどう思うかはさておいて、前回のブログで「アイスランド人はアイスランド語について話すのが好きだ」と書きましたのは、このようなことなのです。アイスランド語についてのオピニオンは、かなりの高い確率で注目を集めます。

皆さんの中で「アイスランド人の注目を集めてみたい」という方がありましたら、ぜひアイスランド語について書いて、投稿してみてください。

あるいは、日本でアイスランド語でのYoutube動画を作ったりしたら、きっとここではウケると思いますよ。

今回の、マルタさんのオピニオン。ワタシ的には「原則はそうだろうし、その部分は賛成するけど、どれだけ移民の切実な現実、現状をわかってモノを言っているのかなあ?」と思いました。

全般的に見て、この人のものの言い方は上から目線の典型であって、気に入らないのですが、一番気に入らない点は、ニュースに登場した英国人女性を取り上げて、あたかも「移民全体」をこの女性にシンボライズしているかのように見える点です。

別にあの女性は一個人以上のなにものでもないのだよ。私も、あのインタビューを見て引っかかったクチです。でも、その人のことは、個人的にも知らないし、他のインタビューを見たわけでもないので、それ以上の事は何も言えません。

その反面で、私は多くの移民の人たちが、アイスランド語を学ぶ機会がなかったり、学んでも十分な結果を見るまでには至っていない現実の中にいることを知っています。

そして、それらの人々すべてに今日の生活という、「実際の必要」があるのです。

原理原則だけを振り回すことは、ものごとを良い方向に変えられないばかりではなく、逆により悪い方向へ押しやることさえあるでしょう。トランプの「America First」なんていうのは、そのことのでっかい証明であると思います。

え〜と、ちょっとまだ言い足りないことがありますので、この議論はまだ続けたいと思います。今回の議論の内容そのものは、古典的というか、二十年前の議論からさして変わっていません。

もう少し、周辺社会の変化というものも、議論に加わってこないといけないと考えているのですが、それはまた次の機会に。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
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