レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

サッポロ北街ひとり日誌(6)- 新婚さんいらっしゃい

2012-09-12 05:00:00 | 日記
もう少しブライダル事情について。

年に平均すると、毎年大体一、二回は邦人の方の結婚式をアイスランドで担当します。アイスランド在住の日本人ではなく、日本からわざわざそのためにいらっしゃる方々の式です。

アイスランドでは結婚は日本のようないわゆる「届け出方式」(婚姻届けを提出することによって婚姻が成立)ではなく、「宣約方式」(式を司る牧師や法務官と証人の前で宣約を交わすことにより成立)です。「宣約方式」の場合、本人たちが届け出を怠ったとしても法的に婚姻は有効の状態にあります。

日本からアイスランドまで来られるカップルの方々の場合は、日本で入籍をし、式だけをアイスランドで挙げることが多いのですが(この場合は式のことを祝福式と呼ぶのが通例です)、中には法的な手続きを含む結婚式を希望される方もあります。この場合には「A氏とB氏とはアイスランド共和国の法にのっとり婚姻をした」という証明書を日本へ持ち帰って届け出することになります。

日本のカップルの方々からよくある質問の一番は「クリスチャンでなくても式を挙げてもらえるのか?」というものです。私自身驚いたのですが、一般にヨーロッパの教会は厳しく「ダメ」としているようです。これは純粋に宗教的な問題と、加えて結婚をヨーロッパ入国のための道具のように考えてしまうヨーロッパ圏外の一部の人々の存在に拠るものと考えられます。

アイスランドではこの点についてはそれほど積極的な議論はありません。「当事者のどちらかのひとりが教会員であること」という一応の教会内規はありますが、実際には担当する牧師の判断で式は行われますし、それに対してのクレームがつくということはないようです。もともと教会の内規は、国民の8割以上が教会に属するというこの国の現状の中で考えられていますし、日本からわざわざ式のために訪れる、というようなことは想定外のことなのでしょう。

日本の国内の教会でも同じような状況(教会員でない人の式を受けるか否か)はあると思いますし、考え方もいろいろとあると理解しています。
私自身は原則として全て受け入れることにしています。もちろん条件はあります。当事者のお二人が教会での式を望んでいるということです。

なぜ原則OKかというと、根本的に神の祝福は一牧師が「お前にはいいが、あんたにはダメ」と出し惜しみをできる性質ものではないと思うからです。

さらに言うと、断ってしまえばそれでおしまい。そのカップルと教会の出会いもありません。しかし誠意を持って式をお世話できれば、それがきっかけでそのカップルにとっての教会への敷居は低くなることでしょう。

私はこれでもか、これでもかと相手を責め立てるような布教は快く思いませんが(相手に対しての尊敬がありません)、当事者の意思を尊重した上で心のこもった奉仕を提供すること、それにより教会への道をつけるという意味での布教は必要なことだと思います。相手のためだけではなく、そのように「関わる熱意」なくしては教会自身が教会でなくなってしまうと思うからです。



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