歯科医療機器

歯科用医療機器データベース

予防指向の歯科医療

2014-12-12 15:24:50 | 日記

多くの国で年々医療費が増加し、その対策に頭を痛めているが、それに一石を投ずるような"歯科における予防的ケアに向けた患者の階層化"なる論文がJ Dent Res 8月号に掲載されている。医療費のかなりの部分が不必要なサービスや慢性疾患を予防する機会を逸したことによる可能性があるという指摘がされているという。この指摘に関連しての研究が本論文である。大人の歯の喪失原因はおもに歯周病とう蝕であるが、それらに対する歯科での大人の予防的健診として年2回が勧められているが、その妥当性はほとんど検証されていない。

そこで本論文では、歯周病と診断されたことがなく定期的健診を受けていた34~55歳の5,117名につき、歯周病に関して患者を高リスク患者と低リスク患者に分け、年1回と2回の予防的通院が歯の喪失(抜歯)とどのように関係しているかを16年間の保険請求(米国保険会社)から調べた。低リスク患者は喫煙歴なしあるいは10年間喫煙せず、糖尿病歴なし、インターロイキン-1 (IL-1) 遺伝子型陰性(試料は患者自身が綿棒で歯垢を採取し、大学に送付して遺伝子型判定)とし、喫煙、糖尿病、IL-1遺伝子型陽性の一つでも該当する場合を歯周病の高リスク患者とした(なお、これら3指標はいずれもこれまでに歯周病との関連性が強く示唆されているものである)。『アルコールカット綿』2回通院あるいは1回通院での抜歯割合は、表のとおりである。リスク因子ゼロあるいは1の患者では通院2回で有意に抜歯が減少したが、リスク因子が2あるいは3の患者で有意差はなかった。リスク因子ゼロとリスク因子1の患者で同じ通院回数で比較すると有意差はなかった。リスク因子が1~3での抜歯割合はおよそ17、24、39%となり、リスク因子が増えると抜歯は有意に増加した。

予防指向の歯科医療

ケアの費用に関しては、本論文の付録として別に記されている。患者5,117名の16年間のケアの総費用は4,008万ドルと計算された。患者一人当たりの16年間の累積平均費用は、リスク因子数と通院回数により7.1~9
.1千ドルの範囲にあった(表)。なお、遺伝子型分析費用は150ドルとしている。ケア費用はリスク因子1以下では同じであったが、リスク因子が複数あるとそれらにくらべ有意に増加した。

2回通院は、高リスク患者では明確に利益があるのにくらべ、低リスク患者でははっきりとはしなかった。リスク因子2~3で1回通院の患者の抜歯割合は低リスク患者のほぼ2倍であった。複数のリスク因子のある2回通院の患者の抜歯割合はリスク因子1以下の患者の50%以上高いことを考慮すると、リスク因子が1以上の患者では年2回通院では不十分であり、さらに多い回数の通院が必要かもしれないと考察している。なお、1以上のリスク因子のある患者534名のうち68%はIL-1遺伝子型陽性の喫煙者であった。結論的には、遺伝子バイオマーカーと通常のリスク因子を組み合わせて患者を階層化(区分化)するオーダーメイドの取り組みは、予防歯科での医療費配分に役立つであろうと述べている。


コメントを投稿