寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

兵役を拒否した日本人~灯台社の戦時下抵抗/岩波新書828を読む

2009年11月05日 07時56分09秒 | 15年戦争
兵役を逃れようと徴兵検査で醤油を飲んで身体を壊す者は居ても、軍隊という特殊な集団生活の場において、銃を返上してまで兵役を拒否する者は居ない。しかし15年戦争の最中、三人の兵士がほぼ時を同じくして上官に対し兵役拒否を申し出ている。即ち、明石真人と村本一生は、東京青山にある第一師団の軍法会議にかけられ、其々三年と二年の懲役刑を言い渡され、即日陸軍刑務所の独房へ入った。もう一人、三浦忠治は香川県善通寺の第11師団にあって懲役二年の刑に処せられている。彼らはともにキリスト教(タッチタワー:米国無教会キリスト者集団)灯台社の社員(信者)であった。以後、灯台社は過酷な弾圧に遭い、主幹明石順三は治安維持法違反の罪で懲役十年、妻の静栄も三年六ヶ月の二審結審を受ける。戦時下に非戦の抵抗を貫き投獄された明石と村本の師弟は戦後、出獄し再会を果たす。二人は手を取り合い、明石が「おもしろかったね」と言うと村本は「そうでしたね」とにっこり返した。やがて灯台社はアメリカのタッチタワー総本部と袂を分かち伝道の実践活動から離れていく。


◎兵役を拒否した日本人~灯台社の戦時下抵抗/稲垣真実著/岩波新書1972年


兵役を拒否した日本人―灯台社の戦時下抵抗 (1972年) (岩波新書)
稲垣 真美
岩波書店

このアイテムの詳細を見る

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。