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一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『バージニア・ウルフなんかこわくない』、観ました。

2005-09-29 00:19:50 | 映画(は行)
バージニア・ウルフなんかこわくない

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 『バージニア・ウルフなんかこわくない』、観ました。
大学構内の住宅で暮らす結婚23年目の大学教授ジョージと妻マーサ。
ある夜、二人の元へ生物学教師ニックとその妻ハニーがやって来る。
若くてハンサムなニックに興味を持ったマーサは彼をベッドに誘うが‥‥。 
 長らく観たかったクラシックな愛憎劇、、新作を10本見逃しても、
やはりこれは観るべき価値ある作品だった。そのほとんどが室内撮影、
そのほとんどが僅か4人の会話で構成された舞台劇でありながら、
全編に憎しみの炎が充満し、今にも爆発しそうな圧迫感に窒息しそう。
剥き出しの人間心理を抉(えぐ)り出し、恥部の全てを曝け出す脚本と、
マイク・ニコルズの圧倒的な演出力は、ディープな映画評論家さえ
唸らせるには充分。しかも、これが若きニコルズのデビュー作だったとは、
今思っても信じられない。もし、この白黒映画が今の世に劇場公開
されたとしても一大センセーショナルを巻き起こすやもしれぬ、
そんな力を秘めた作品だと思う。
 さて物語は、主人公夫妻に“隠された息子の存在”が浮かび上がり、
結局その真相はボクの“想定内(?)”で収まるとこに収まるんだけど、
とにかくそこに辿り着くまでの経過が凄い、凄いのだ。火花バチバチ、
二組夫婦は憎しみ合い、罵り合い、いがみ合う。そして勿論、この凄まじい
愛憎劇の核を担うのは、リズことエリザベス・テイラーにおいて他ならない。
絶望の現実から逃避するあまり、狂気の世界へ逃げ込んだ憐れな女、、、
懸命に正気を装う姿も痛々しく、次々に暴かれる“狂女”としての本性。
その常軌を逸する一歩手前の激情を赤裸々に、そして形振(なにふ)り
構わず演じきるリズの迫力に圧倒され、観ているボクは驚きの言葉さえ
出ない‥‥。今でこそ、マイケル・ジャクソンがスキャンダルを起こすたび、
僅かに短いコメントを求められるだけのデブのオバサンだが(笑)、
かつては如何に“偉大な大女優”であったか、今ボクはこの映画を観て
初めて知った。是非とも、今の若者たちにも体感して欲しい一本だ。



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