肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『裸足の1500マイル』、観ました。

2005-09-29 00:09:37 | 映画(は行)
裸足の1500マイル

ハピネット・ピクチャーズ

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 『裸足の1500マイル』、観ました。
オーストラリアの先住民を隔離しようとする政策に従い、少女3人が家族から
引き離され、白人としての教育を受けることに。しかし、家族に会いたい
彼女たちは施設を抜け出し、長い道をひたすら歩き続ける‥‥。
 怒涛の如く押し寄せる“感動のロードムービー”かと思って観たら、意外や
意外に泣ける映画ではありません。用意周到、ぬかりなく涙のハンカチ持参も
使わず終い。ただし、泣ける映画が全て優れているとは限らないしね。
むしろ、ここでは感動を抑制した演出の中に“実話のリアリズム”を見出そうと
する狙いがあったのかもしれません。
 映画は、オーストラリア先住民と白人男性との“混血”として生まれた為に
隔離される“少女たちの悲運”、更にはその後に訪れる長く険しい旅の彼方に
“傲慢な白人社会”を描いてみせる。世の中には良かれと思ってやったことでも、
時として相手にとってみれば、ひどく迷惑だったりすることがある。ここでの
大義名分は《彼らの為》、、、しかし、そこにある「善意」は白人だけの
思い込みであって、先住民たちにとってみれば、ただの“白人文化の押し付け”
でしかないんだよ。互いが互いを知らぬまま、尊敬なしに相手の文化に
介入すれば、何処かで歪みが生まれてくる。皮肉にもボクはここに描かれる
過去の出来事が、現在進行形で現実のアメリカとイラクの関係に見えてしまった。
歴史は繰り返す、、、“人の愚かさ”なんて今も昔も変わらない(涙)。



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