とんもの日記

いつか どこかの 本当のはなし

氷の滑り台とシャスールソース

2012-02-21 14:04:53 | 日々のこと
沼の近くにある小さなホテルへ
小さな人と母親と泊りにゆく。

前々より一度泊ってみたいと
思っていたところ。

山と沼が美しいこの場所は、
春も夏も秋もそれぞれに生える
植物が違って、景色も色を変える。
でも冬は他の季節ほど、その良さを
味わえていないのではないだろうか。
ここでの冬の楽しい想い出。

子供の頃、この辺りで行われる
小さな氷の祭典に登場した、氷の滑り台
で滑って楽しかった記憶がひとつ。

凍った湖面に穴を開け、とてつもなく
寒い中、ワカサギ釣りをした記憶が
ひとつ。

この頃はいつも雪景色を車の中から
眺めていただけ。


なんとなく、ぼんやりとした予定のまま
ホテルのそばまでゆくと、近くの公園では
氷の祭典の跡が残されていた。
氷の滑り台もあちこちに。
一番大きいものは50メートルほど。
しかも5本も並んでいる。

そこに居るのは私達だけ。またもや貸切だ。
おぉ、なんということ。

早速滑って見る事に。
ひゅんひゅんひゅんと耳の傍を風が横切る。
ものすごく速い。
よほどスピードが出るのか、終点は雪で出来た
登り坂になっている。
おぉ。なんとまぁ怖いこと。
なんとまぁやみつきになること。

怖い気持ちはどんどん萎み、楽しさが
膨らんでゆく。

それから、小さな人をソリに乗せ、湖畔を
ゆっくり散策した。
きゅぅきゅぅと雪が鳴り、小さな人の
乗ったソリは右に左に傾く。
小さな人は、身を固くしながらぎゅっと
ソリにつかまっていて、人形の様だった。

湖面は固く凍りついていて、
地面と同じように雪が降り積もり、
どこまでも続く雪原のようになっている。

私はぎゅぅと胸が苦しくなる。
今目の前の景色をこの目を通して誰かの目に
送れたらいいのに。
そんな事、出来るはずもなく。いたたまれなさ
でいっぱい。
目をもぎ取って、エイとどこかへ放り投げたい
気持ちだった。


ホテルは温かく夕食までの時間、ベッドに
寝そべると、くつくつと眠気がやってくる。

夕食はどれも素晴らしく、メインディっシュ
の豚肉のお料理がいっとう良かった。
豚肉のソテー。ソースは繊細に刻まれた
キノコが入った果物と野菜ベースの甘めのもの。
上にオニオンフライが乗っている。

小さな人もオシャレをして、精一杯おすまし
して食事をしていた。


小さな人が眠った後、母親と話し込む。
久しぶりに会う母親、話しても話しても
どこからか話が湧いてくる。
いつまでもいつまでも湧いてくる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 125人乗りのロープウェイは | トップ | 氷上島めぐりはベンチに座って »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日々のこと」カテゴリの最新記事