articulate

2007年02月25日 | 人類学(言語学)
言語学のクラスでよく耳にした英単語、Articulate(Articulated, Articulation, Articulator)は言語学を習って初めて知った言葉たちです。意味はさすが言語学にかかわるもの、「発音」に関連するものが主でありまして、日常使おうと思えばいくらでも使用可能な気がします。

さてかなり前、この言葉が世論として問題になっている新聞記事を読み、この英単語の別の意味合いを知りました。

多くの方は既にご存知だと思いますが、2008年度の大統領選挙に、黒人の血を引く「バラック・オバマ」が出馬します。彼がまず黒人である(または完全白人ではない)というだけで、アメリカ中かなり注目しているわけですが、同時に彼はかなり好印象が持たれているようです。(多分)がしかし、その褒め方はかなり問題アリなんだそうで・・・。

▼Barack Obamaはこの人
http://en.wikipedia.org/wiki/Barack_Obama
Undergraduateではポリサイ、国際関係を学んだそう。私と同じだ~♪(だから何?)

彼の内面の部分はここでは置いておいて(よく知らんし)、ルックスなど表面的な部分から褒め言葉を並べた場合、黒人側からするとそれらはか~なり失礼なんだそうで、どれだけ褒めようが、どれもが「黒人なのに黒人らしくない」という意味につながり、つまり「黒人らしい=劣る」「白人らしい=優れる」という意味合いに取れるらしいです。

その失礼と思われる褒め言葉の一つに、本日の単語Articulatedというのがありまして、日本語で言えば、「発音がはっきりしている、切れ味のよい口調」、そして「意見をはっきり言える」となるようなんですが・・・・その言葉の受け止め方によっては「黒人らしくない英語の発音、口調ができる人」という意味になり、黒人側からすれば、「そんな黒人をバカにした褒め言葉なんてあるかーーーーー!!!!」らしいです。英語が外国語であり、黒人英語に聞きなれていない私からすると、黒人訛り英語は標準英語とされるそれと比べると本当に聞き辛いです、言葉の節がわかりずらいです。でもたとえ訛りがあっても英語は英語。訛りのない英語を話すことで「まともな英語が話せる」と示唆するような言葉は言語道断なんだそうです。この記事のライターによると、これまで白人候補者に対しては褒め言葉としてArticulatedとは一度も使われていないのに、黒人の血をひくオバマにはなぜそんな言葉が使われるのか?これは黒人を見下している証拠だ。となるんですって。(人を褒めるのも大変だ)

というわけで、たとえ「意見をはっきり言える」という意味合いで使った場合でも、黒人相手となるとヒンシュクを買う恐れがありますので、皆様気をつけましょうね。ついでに、「清潔感がある。」という褒め言葉も失礼にあたり、「本来黒人は不潔なんかい!」だそうです。(人を褒めるのも大変だ)


魅惑の人類学

2006年12月28日 | 人類学(言語学)
↑あまり意味ないタイトルです。念の為

私が生まれて初めて「人類学」を知ったのは、いつものごとく、アメリカ留学がきっかけでした。まずコミカレでその分野の存在を最初に知ったときは、人類学自体に特に興味も湧かなかったし、一体なんの勉強なの?しょーもな。なんて、今思えばかなり失礼でアホな見方をしておりましたが、コミカレ留学のみの予定を急遽大学進学に変更したとき、それまでは不要であった数々の「一般教養」を一気に履修しなければならなくなり、その一般教養課程選択肢の一つでもあり、スケジュールに組み込むことが可能であった、「形質人類学」を思いがけず履修することになりました。

人類学には大雑把に4つほどのサブ分野がありまして、そのうちの一つが「形質人類学」なんですが、これは生物学的に人類を分析・理解する分野であります。形質人類学を履修した学期の前、サマーコースで生物学を履修し、これまた生まれて初めて生物学の興味深さを知り、それまで自分に欠けていた一般教養を養う必要性を心底感じ、実は進学するきっかけの一つでもあったクラスなのですが、その生物学のクラス同様、形質人類学も学びの感動を与えてくれたクラスでありました。(無知な人間はちょっとしたことにも感動しやすいのかも・・・)

そしてその次学期には、一般教養課程として、そして進学先での専攻予定だった国際関係学の必須科目であった、「文化人類学」を履修したんですけども、このクラスはまぁ、こんなもんかな?程度のクラスでありました。(簡単すぎてたいくつだった)

さてそのコミカレ時代、バイトを通じて仲良くなったSちゃんと、顔を合わせれば話をする程度の知り合い数名は、偶然にも皆人類学専攻だったんです。これは本当に単なる偶然かもしれませんが、人類学に興味を持つ人は、わけのわからん日本人留学生に多少なりとも興味を持ち、この私と仲良くしてくれたのかな?なんて今となっては思います。(留学生が数名しかいないコミカレだったので留学生としての珍しさが高かったせいかも)

進学してからも友だちのSちゃんは人類学の中の考古学を専攻していて、現在は大学院で引き続きその分野を学んでます。形質人類学のクラスでよく話をした男の子(当時27歳)は、コミカレを卒業後テキサス州の大学に進学し考古学をやっているはずで、その後どういった道に進んだのかはわかりませんが、人類学で食べていくと張り切っていました。あともうひとり、ENGのクラスで知り合った男の子も当時26歳くらいの出戻り学生だったんですが、私と同じようにコミカレで初めて真面目に勉強し、人生を考え直し、これから新たに頑張ってみよう!といった気持ちが湧き出ている子でありました。この彼は長年バンドをやっていたようなんですが、その才能を使って人類学のクラスで自作の歌を披露したらしく、その歌詞の内容は、将来は人類学者になりたい。というものだったそう。

この3人を見てきて思ったのが、「人生そういう選択肢もあるんだな。」ということなんですけども、もちろん彼らはまだその道の仕事を確立させていないだろうし、実際その道で食べて行けるのかどうかもわかりませんが、留学前の私は学問としての人類学の存在はもちろん、仕事として何やらあるんだということも、まーったく知らなかったんですよ。でも、大学教育の中でこういったことの存在を生まれて初めて知り、その道に進もうとしている人たちを目にし、30過ぎの私はとても切ない気持ちになりました。(何)

というのも、自分がもし彼らほど若く、きっかけやタイミング一つの違いで、私も人類学を人生の選択肢の一つとして考えたかも?!と思ったから・・・。現在の自分は人類学で生きたいと思うほど人類学に希望や夢を馳せてはおりませんが、人類学は確かに興味深い分野でありますし(文化人類学はあんま好きじゃないけど)、Sちゃんのやっている考古学はとても面白そうだし、細かい手作業がこれでも好きな私には、意外と向いてるかも~?なんて思うんですよね。たまたま考古学は履修することがなかったので、果たしてどこまで夢中になれるか全く想像外でありますけども、歴史が大好きな私なだけに、昔のことを探り当てる作業はやはり興味深い!そして世の中にはその道に進むための教育があり、仕事だって存在する。(←どんなだかわからんが)ほんとこの世には自分が気が付かない様々な物事があるんですよね。そして自分がそれらの存在を知らないだけで、自分にとってどれほどすばらしいものになるかもわからないわけで、だからこそ若いうちから視野や知識と経験を広げ、その中から満足の行く道に進みたいもの。じゃなきゃ人生もったいない!(この記事は実は昨日の記事の続きみたいなもの)

そういう点、無知で視野が狭かった自分の若い頃は、少しばかり時間を無駄にしてきた気がするんですが、とりあえずこの歳になってからでも、これこそ私の進むべき道と思える(大雑把な)世界が見つかったわけで、現在の虚しい仕事にもめげず、今後なんとか頑張りたいと思います。自分が健康体であることと、好きなように生きられる自由な身であることを利用して、こりゃ~やるだけやらなきゃね。(と、自分を慰める)




ファイナル結果(4)

2006年06月03日 | 人類学(言語学)
卒業後の私は一体何をしているか?
しっかり求職やってますよ~。(つまりまだ仕事がない)実はこの話題は早く記事にしたいのですが、が、が、
とりあえずファイナルとNYCについての記事を済ませてから卒業後の様子をぼちぼち記事にしていく予定です。
もしも興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞ気長にお待ちくださいマセ。



さてそれでは4つ目のファイナル報告!



言語学:Linguistic StructureはAマイナスでした~
予想通りで笑えました~


このクラスはプレゼン中心のクラスで、言語調査に関する4つのプレゼンと
ファイナル・ペーパー(13P)で成績が付けられました。
1つ目のプレゼン評価はAをもらいましたが、その後の評価は一切知らされることなく(なぜ?!)、
ファイナルが50%を占めるクラスでもあったので、成績の予想が付けづらい部分はあったものの、
なんとなく、な~んとなく、Aマイナスじゃないかな?と思っていたところ、
実際のファイナル・グレートはAマイナスで予想大的中~☆

私はアメリカ人に勝るようなすばらしいプレゼンをしてきたわけでもないし(特にスピーチの面で)、
ファイナル・ペーパーも常識で考えたらさすがにAに値するものとは思えなかったので、
まさかAはありえないと思っていましたが、少ない生徒数の中、このクラスを適当にやっていた生徒が何人かいたおかげで、
質はともかく私のプレゼン資料は頑張って作ったように見えた結果、Aマイナスが付けられたと思います。
(だって、ほんと時間かかりましたもん。↑)

ちなみにこのクラスはちょっと特殊で楽しい経験ができました。
あまり詳しいお話はできませんでしたが、言語学のアカデミックな世界を体験でき、色々な面で興味深かったです。
なんちゅーか、今後恐らく二度と触れることのない世界を味わった気分です。大学よ、ありがとう~。(何)
この経験がいつか何かに役立つかしらん?

それに絶対に履修しなければならなかった「Oral Discourse」でもあったこの言語学、
プレゼンのクラスでもはるかに気楽にできたと思いますし、
もし言語学でなく、ほかの正真正銘スピーチのクラスだったらAマイナスはありえなかったはずです。
しかしおかげさまでこの言語学のクラスでGPAが多少救われました!(はー、情けない)



この教授のクラスでは成績がよかったので(前セメはA取った)、
いつかRecommendation Letterが必要なときは頼んじゃおうかな~と思ってます。
たとえば院へのApplyは3通のRecommendation Letterが必要なので、
実は私の場合この教授を含めないわけにはいかないのです。キッパリ
この話題についてはまたいずれ・・・

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文法を身につける

2006年05月02日 | 人類学(言語学)
現在言語学:Linguistic Structureのファイナルペーパーに取り組んでいます。

何度も書いてきたとおり、このクラスはGE(一般教養)Oral Discourseのために、
GEのためだけに!履修しているクラスでありますが(副専攻単位でもある)
これでも400レベルのクラスだし、内容は当然アカデミックなもので、
特に教授のレクチャーは一般社会ではまず触れることのないオタクな世界なだけに(おい)
大学に通ったからこそ得られた教養ってことで、個人的にそこそこ満足しております。
(ちなみに私の専攻政治学なんてのは、普段の生活に密着しているものなんすよね)
私は言語学で食べて行くつもりはないので、
こういうクラスは尚更生きていく糧には全くならんものですが、
今回オタクhigher educationに触れる贅沢を経験できて結構よかったと思っているわけです。
(いい年こいてそんな余裕一体どこから・・・)

なんて言いながらも、このカリキュラムは生徒各自の調査&発表のみで成り立っているクラスで、
何かを教わっているという感覚は実はほとんどありません。
これまた以前もお話したとおり、とりあえず教授の講義はありますが、
講義の内容はマヤ言語の「ひとつ」であり、
たとえば極端に言うと自分はIndo-European言語のひとつ、
フランス語担当だとしたら教授のレクチャーはスペイン語について、
てな感じで、こういうこともありExamが一切ないので、
無意識のうちに私の体から「クラスでの学び体制」が少しばかり消え去っているのです。お~い

しかし、調査と発表は自力でやらなければならない分、
それなりにこのクラスを通して学んでいることはありまして、結果、
自分の担当マヤ言語:トホラバル語の仕組みに詳しくなりました。わーい(何)

同じ外国語を学ぶにしても、外国語のクラスでやることと言語学としてやることとは
多少の違いがあるはずですが、
両方経験してみて思ったのが、言語学アプローチで外国語を習得することは充分可能だということ。
というか、言語学方面から取り掛かるほうが意外と習得早いんじゃないかしら?

たとえばトホラバル語を(自力で)学ぶのに使った時間、たったの1学期と比べると、
中高で英語にかけた時間は相当なもので、たかがアレだけのことを学ぶのに、
あまりにも時間かけ過ぎじゃーん!と今となっては思うのです。
(言語学に限らずアメリカで外国語のクラスを履修した人はみんなそう思っているかな)

もちろん中高と大学では学びのペースに差があって当然でしょうが、
日本では一体どうやったらそんなのんびりした英語カリキュラムが出来上がるの?!
なんて思ってしまうんですよねぇ。
(当時そののんびりカリキュラムにもついていけなかった私ですが)←だって興味なかったんだもーん

言語学のクラスでは「外国語を使う」ことは課題ではないためスピーキングやリスニングはなく、
よって私はトホラバル語を「言葉」としては一切使えません。
(Graduate Levelともなれば、専門的になる分、話せたり聞けたり出来なきゃダメかもですけど)
が、日本の英語教育も文法を学ぶことが一番で、
実際言葉として使うことは横に置かれているわけなので(今は違う?)
文法や仕組みを身につけることが目的だとしたら言語学風に学ぶのもいいんじゃないかと。
言語学Ph.Dの卒業論文さえあれば、か~なり一気に文法学べそうっすよ。(←強引です)



********************************



せっかくなので私の担当言語:トホラバル語の姿を軽くご紹介。

トホラバル語  wa-s-h-mak’-a(w)-O
英訳     “I am hitting him.”

アルファベットの間にあるハイフン(-)は単語の区切りを示すものだけで、
実際の文はたとえば日本語のようにびっちり繋がっていいます。(←こんな感じね)
日本語は漢字と平仮名を混ぜて使うので単語の区切りは明らかですが、
トホラバル語はアルファベットのみを使うのでハイフンなしでは読めません!(私は)
そしてヨーロピアン言語と比べると、マヤ言語の文法はびっくりものであります。
そのびっくり文法についての解説は今回省かせていただきますが、
例文にある単語たちの意味はコチラ↓

wa    現在進行形マーカー Present progressive marker
-s     未完了マーカー Incompletive marker 
-h    主語代名詞:一人称単数 
-mak’   他動詞 Transitive verb “to hit”
-a(w)   他動詞マーカー Transitive verb marker
-O     目的語代名詞:3人称単数 (←これは発音しません)



ちなみにTransitive verbが日本語で他動詞と呼ぶことを、言語学を履修して初めて知りました。ドッカーン
他動詞という言葉、確かに日本で見たり聞いたりしたことはありますが、
当時その意味は一切把握できていなかった模様・・・(気にしたことがなかったとも言う)


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言語学とサイエンス

2006年04月27日 | 人類学(言語学)
本日の言語学の授業は生徒のプレゼン日でした。
(というかほとんど毎回生徒のプレゼン)

で、いつもぺらぺらぺらぺらぺらと言語学得意よん♪
てなプレゼンをする男の子のプレゼンがあったのですが、
実はこの彼、言語学専攻ではなく数学専攻らしいんですわ。
(私以外に言語学以外の生徒がいたとは・・・)
でもさすが数学専攻な彼だけあり、今回のプレゼンはやたら科学的発表で、
プレゼンを聞いててもさっぱり全然頭に入りませんでした。キッパリ

ま、生徒一人一人担当言語が違うので、
自分の言語以外の説明をされてもあまり興味が湧かないし(お~い)、
知ろうという気にもほとんどならないんですが(お~い)
この彼のプレゼンはまさにサイエンスで、
すっかりあっちの世界~~

前セメ履修した言語学のクラスにChemistry Ph.Dを持つ生徒がおりましたが、
その彼が言うには、言語学はもろサイエンスなんだと。
なのでChemistryが得意な彼にとって言語学はアプローチしやすいんだと。

これまで私がやってきた言語学はさほど難しいサイエンスではありませんでしたけど、
(というか、メチャ簡単)
言語学はいざ奥深く追求してみると数学や化学などのように
ややこし~い物になりうると思います。
(実際数学専攻の彼が難しくしちゃってるし)
言語学でも進む道によるとは思いますが、
問題を解くのが好きな人には言語学向いてるかもですね。

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