東京在宅サービスblog

保険が使える訪問マッサージの東京在宅サービスのblogです。勉強会や訪問マッサージのことなど、随時更新しています。

温罨法とトランスファー ~杉並介護センター~

2010年08月26日 | 1.研修会活動

杉並介護センター主催にて、
プロケアムウケア宮前けい介護サービス日本リック
のご協力にて、『ヘルパー研修会』を行いました。

詳細は↓

◆日時 : 平成22年8月26日(木) 18:30~20:00

◆場所 : 日本リックケアステーション杉並事業所

◆対象 : 杉並区・中野区のヘルパーステーションに所属する
        ヘルパーの皆様

◆参加人数 :23人

◆内容: ①温罨法の効果

       ②カンタン! トランスファー

介護職であるヘルパーの皆様は、現場で様々な困難を乗り越えて、毎日毎日ご利用者の、あるいはご家族の為にケアに従事されています。
もちろん、日々の中で疑問点や不安な点もたくさん出てきます。
それを少しでも解消し、毎日の介護活動をよりよく行えるために、様々な場所でヘルパー向けの研修会が実施されています。


今回、弊社が講師をつとめさせて頂いたのも、その一つです。

残念ながら、当日写真を撮ることが出来なかったのですが、仕事で疲れた身体に鞭打って、ご利用者の為に、勉強熱心な23名の方が集まって下さいました。



依頼当初の研修テーマは、

『在宅で実際に行われている訪問マッサージ』


弊社のマッサージ師が、そのお宅に出入りしているヘルパーさんと出会ったりすれ違ったりすることもしばしばあります。
ヘルパーさんも、「ああ、この方にはマッサージの人が来ているのよね」という認識は持っていただいています。

しかしながら、実際、在宅でのマッサージとは、一体どんなことをしているのか?

具体的にはご存知ない方も多いのです。

そういう事で実際の状況を知りたい、とのご要望でした。

ただ、折角仕事疲れの中お集まりいただくのですから、少しでも現場でのお役に立てるよう、トランスファー(移乗)のポイントなども付け加えることにして、当日を迎えました。





まずは、特に弊社が実際の現場で使っている施術法の一つである
①温罨法の効果
をお伝えしました。


温罨法・・・身体を温めることで、血行を促進し、痛みや浮腫みの改善、筋肉の緊張緩和を図る方法です。

「この暑い中、温めるの?」

という思いをもたれる方も多かったようですが、実際は、どうなのか?
そして、どういう効果があり、どのように感じ、あるいはどんな症状の方にはどの部分を温めればよいのか?

実際に、ホットタオルをお体に当てて、実体験して頂きながら、その効果の理論を学んで頂きました。

お配りした資料の一部はコチラ
       ▼▼▼
「onanpou.pdf」をダウンロード

こちらもご参照下さい。
   ▼▼▼
温罨法について

次に、
②カンタン! トランスファー

介護の現場で実際に最も必要とされ、且つ負担が大きく、更にリスクも高いものの一つがトランスファー(移乗)です。

例え、仰臥位(ぎょうがい:あおむけに寝ている姿勢)から、端座位(たんざい:ベッドの端に足を下ろして腰かけた状態)に移るだけだとしても、負担は大きく、リスクは高いものです。
ベッドから車椅子への移乗となると、大変な労力が必要だと思われがちです。


どうすれば力をなるべく使わずに済むか?
何に注意すればよいのか?
負担とリスクを減らしには?

そういったことを、実際に体験していきながら、お伝えしていきました。


簡単にまとめると・・・

①今からの動きを伝える
②設置面を少なくする
③使える筋肉は使ってもらう
④振り子の原理を利用する
⑤身体の傾き、手の位置、足の位置を工夫して簡単に重心を移動させる
⑥順番に一つずつ動かしていく
  ・・・などなど

そういったことで、負担とリスクを減らす方法を学んで頂きました。

参加された方には非常に喜んで頂くことが出来ました。

このように、東京在宅サービスでは、
介護に携わる方々が、負担なく、
あるいは、楽に介護できる様、ボランティアにて様々な場所で研修会を行っております。





ご要望の際は、お気軽にお電話下さい。  

→ 0120-137-034


痛くないです

2010年08月15日 | 2.つれづれなるまま

こんにちは。

訪問リハビリマッサージ
東京在宅サービスみなとです。

私は痛いのは嫌いです。

今日のテーマは

         『痛くないです


今回登場する担当マッサージ師は、
大人しいドカベン






『なりたさん』







『なりたさん』は、【とってもいい人】です。

「朴訥と真面目と優しさ」が服着て歩けば、『なりたさん』になります。
この人と会って5秒で、「この人、絶対いい人だぁ」と皆が思ってしまう、そんな人です。

え?冒頭の「ドカベン」は何かって?

「ドカベン」・・・知りません?
知らない?! あの名作野球漫画を?!
(柔道漫画でもある)←これも知っている人はかなりマニアです

↓↓これです↓↓


この主人公に「なりたさん」は似てます。(漫画の方がいい男ですが(笑))




さて、

『なりたさん』とお試しマッサージに行った時の事。

ご利用者様は、K地区にお住まいの女性Fさん。
6月に脳梗塞で倒れて左半身が麻痺に。
昔の圧迫骨折も影響してか、腰痛がひどく、
また麻痺部をかばって、頸・肩・背・腕に負担と筋緊張。
さらにあまり動かない為、下肢筋力は大幅減。
両下肢の浮腫みもひどい感じです。

何より、
お気持ちが非常に低下しておられました。

キーパーソンである美人の娘様も、それをとても心配しており、
何とか、意欲向上をして元気になってほしいと願っておられました。


さて、みなとがお身体の状態を問診した後、
《お試しマッサージ》

温罨法の準備もします。



そこで、『なりたさん』が最初に一言・・・




「痛いことしませんからねー」


そうです。
脳梗塞で倒れて入院、半身麻痺。

その後に待っているのは、
辛いリハビリ


そもそもリハビリは、必要 且つ 辛いもの

誰だって、やらなきゃいけないことはわかってるけど、
できれば避けて通りたい。

そして避けられない。


「誰かが自分の体を良くするために何かする」
イコール
「痛いリハビリテーション」


というのが、どうやら刷り込まれているようでした。

最初にお体に触れる直前から、
誰が見ても
体が硬直している。



硬直、というのではありませんね。


無意識に“拒否”している。

リハビリを否定しているのではありません。
むしろ大事だとも思っている。
必要とも思っている。

ただ、
そこはやはり、人間です。

「痛いことに対しては無意識に自己防衛本能が働きます」

このFさんも、無意識に防衛したのです。


そうなっていては、うちのマッサージ技術が発揮できません。

筋肉や関節がどうこうの前に、


リラックスしてもらうこと


が非常に大切になってくるのです。



無意識に自己防衛しているFさんを見て、
『なりたさん』がかけた一言

「痛いことしませんからねー」

の効果絶大。

それから、自然にマッサージを受け入れ、
それから約2ヶ月ほど経った今では、
彼は絶大な信頼を得ています。



リハビリも大事です。
そのリハビリで疲れた筋肉や関節をケアし、
更に、ご利用者様が動きやすくする。
もって、ご利用者さまのトータルなケアを通じて
ご利用者様のQOL向上、意欲向上を目指し、
更に、介護されるご家族の負担を低減させる



これが我々の使命だと思っているみなとです。

毎日、ヤリガイを感じる日々です。
























…なぁんて、カッコいいこと言ってますが、
あの美人の娘様にまたお会いできないかなぁ、
などと考えてもいたりします。(笑)

ま。会えないんですが。
(マッサージ師は毎週会うようですがね)

なんせ、みなとがご利用者様とお会いするのは、
最初に1、2回。

ちと、寂しい気もします・・・。


では、また次回!

あなたに笑顔と悦びを!
みなとでした!


暑い夏の日

2010年08月11日 | 2.つれづれなるまま

こんにちは。

訪問リハビリマッサージ
東京在宅サービスみなとです。

夏はいいですね。

なにしろ女性の服の面積が……あ、いやいや、はっは
そんな事は考えてませんよ。はっはっは。本当です。(汗)
そもそも、南国九州生まれのみなとは、
寒い冬よりも暑い夏がイイ。

ただ、時々
ふと、えも言われぬ不安感が、忍び寄ります。
そして、こう思うのです。

……あの日も、こんな風に暑かったのだろうか?

今日のテーマは

         『暑い夏の日



今回登場する担当マッサージ師は、
ケアカンファレンス その2に登場した・・・






『『はっさん』』


ある暑い夏の日、S区にお住まいの女性Yさんのお宅へお試しマッサージに訪問しました。

マッサージの前に、軽く面談します。

み「今、一番お辛いところはどこですか?痛いとか、重いとか、痺れるとか…」

Y「全身痛いのよ…」

首が痛い、肩が痛い、足が痛い、腰も痛い、手に力が入らない、交通事故で頚椎捻挫してる、椎間板ヘルニアがある、座骨神経痛もある・・・

もう大変です。。。

状況を確認し、結構早めにお試しマッサージに入りました。

Y「わたくしはね、戦時中は満州におりましたのよ」

Yさんは昔語りを始めました。

Y「6月まではそこにおりましてね、それで、実家に帰って務めるよう指令が出たんですね」

み「ご実家はどちらなんですか?」

Y「広島ですのよ」

み「!!!じゃあ…」

Y「そこで被爆しましてねぇ…」

み「僕、長崎出身なんです」

Y「あら、そうなの?」

ちょっと親近感のようなものが湧きます。

Y「それからなんですよ、
身体中アチラコチラが痛くなったのは。
その当時、お医者様はね、脚気だろうって…全くいい加減なものですね。でも、まさか、爆弾のせいでこうなるなんて誰も思わないですものねぇ」


み「そうですよねぇ」

Y「その時、わたくしは高台にある女学校の中におりましてね。それで空襲警報が鳴って、“全員外へ出ろー!中にいると危ないぞー!”って。外に出ましたら、それはもうすごい光と音と熱とで…。
それからね、本当に、
本当に黒い、雨が降ってきたんですよ。
しばらくして、下の方を見ますとね、遠くの方で声がするんですよ
、“助けてくれ~”って。その方たちをよぉく見てますとね、腕の下に何かぶら下がっているんですよ。皮膚がめくれて垂れ下がっているなんてね、想像もできませんでしょ」

できます。想像でしかありませんが、みなとはできます。

みなとが小学中学生の頃、夏休みの登校日は、8/9でした。(今でもそうなのかな?)
全校生徒が集まって、講堂で黙とうを捧げるわけです。
そして、その日、というか夏の間、校内の廊下は、

原爆写真展

になるのです。

もう、これでもか、と言わんばかりに、目も覆いたくなる写真がズラリ。
毎年毎年、もういいから!わかりましたから!と叫びたくなる程、目に焼き付けられます。
だから、想像に難くありません。

だから、みなとは今、
絶対に、絶対に、絶対に、
核兵器だけは使ってはならない!

と、刷り込まれています。

Y「広島は川が多いんですよ。ご存知?」

み「はい。しばらく住んだこともありますから」

Y「あらそうなの。その時にねぇ、川に、たっくさんの白っぽいものが浮いていたんですよ。・・・全部、死体だったんですね。水を求めて飛び込んだ人たちの死体がところ狭しと・・・」

み「・・・」

Y「そんな中でもね、家に帰らないといけませんしね、なんとか帰ったものですよ。でもねぇ、街中が、臭かったんですよ。もう耐えられないくらい。しかも、何があるかわかりませんでしょ。何か物音がするたびに近くの物陰に隠れたんですね。
でも
隠れるたびに、そこに必ず死体があるんですよ。
すごい状況でしたねぇ。
本当、被爆する為に広島帰ったようなものでねぇ・・・


ただね、わたくし、運が良かったのかもしれないって思うんですよ」


み「え?」

Y「わたくし、満州におりましたでしょ。でも終戦前に帰国して、被爆したんですけど、戦後に引き上げてきた方も沢山おられましてね。わたくしの知り合いにもいるんですけどね」

み「はい…」

Y「わたくしは、結婚もしましたし、子どももできまして、70まで働けてましたし、身体中が痛いのを除けば、普通に平凡に人生が送れたんですよ。
でも、
満州から引き上げてきた方は、本当に、辛い目に遭われた方ばっかりなんですよ。口では言えないような辛い目に。特に女性はね…


どちらがいいか、という比較論ではないと思うんです。
でも、比較して少しでも自分はマシとでも思わなくては生きていけない、
多かれ少なかれ、私たちのご利用者はそのような経験がある方が多いのです。
私たちにできるのは、

マッサージを通じて、少しでも心地よい時間を過ごしてもらうこと

そして、

記憶を風化させないこと

だけだと思います。


・・・さて、お試しマッサージが終了し、手続きの話へ。

保険証を確認し、

そして、《被爆者手帳》も確認します。

実は、


被爆者手帳をお持ちの方は、


無料で


医療マッサージを


受けることが


できます。


Yさんもそうなんです。
全身が痛いYさん。
少しでもその痛みが和らげられるといいな、と思います。

それで、
少しでも
無理かもしれないけど、でも
少しでも、
“あの日”の辛い記憶を忘れる時間が持てたら、
と思うのです。






夏はいいですね。



ただ、時々
ふと、えも言われぬ不安感が、忍び寄ります。
そして、こう思うのです。

……あの日も、こんな風に暑かったのだろうか?







では、また次回!

あなたに笑顔と悦びを!
みなとでした!