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札幌、人気は全国1位もデータは291位 ~移住促進阻む、道の「住みにくさ」

2006年10月02日 | Weblog
◇イメージと実態かい離

雄大な大自然を売り物に北海道の各自治体は団塊世代の移住促進に躍起だ。各種調査でも道内都市は人気が高い。しかし、快適な住環境の指標となるさまざまなデータを本州の自治体と比較すると、意外にも北海道の「住みにくさ」が浮かび上がってくる。夕張市の財政破たんに象徴される都市基盤の弱さなど、不安材料はいっぱい。データはイメージと実像のかい離を冷徹に物語る。

◇持ち家比率低く、公共サービス弱体

「のどかな田園風景でスローライフを」「広大で豊かな大地が果てしなく広がっています」。道内自治体のホームページの移住情報サイトにはこんな言葉が躍る。人口減への危機感から、大量退職する団塊世代の移住を促進しようと、各自治体は積極的に我がまちをPRしている。

コンサルティング会社「ブランド総合研究所」(東京)は8月、インターネットを通じて全国779都市を対象に「魅力的な市」をアンケート調査した。約2万5000人が回答。20位以内に道内から札幌市(1位)▽函館市(3位)▽富良野市(6位)▽小樽市(7位)▽旭川市(18位)▽登別市(20位)の6市が入った。

だが、北海道はイメージ通りの土地なのか。東洋経済新報社(東京)が93年から年1回発行する雑誌「都市データパック」によると、必ずしもそうではない。

出生数や通勤時間、1人当たりの都市公園面積、持ち家比率など16の指標で全国780都市を順位付けすると、総合100位以内に入った道内の都市は千歳市(87位)だけ。「魅力的な市」で上位の札幌市は291位▽函館市541位▽富良野市335位▽小樽市610位▽旭川市335位▽登別市618位といずれも芳しくない。

◆住居水準充実度

要因の一つに住居水準充実度の低さがある。住居水準充実度は住宅延べ床面積(世帯当たり)、持ち家世帯比率、住宅地平均地価を基に算出。札幌市768位▽函館市750位▽旭川市739位▽夕張市779位▽歌志内市780位など道内全35市のうち25市が700位以下だった。

札幌市の調査会社「住宅流通研究所」の入谷省悟所長は「旧産炭地など道内の地方都市に公営住宅が多いため」と話す。道内14市で持ち家世帯比率は60%を下回り、旧産炭地の歌志内市は40・6%で772位。夕張市は35・9%と全国最下位。

戸建て住宅を容易に建てられそうなイメージも北海道にはあるが、1世帯当たりの住宅延べ床面積は意外に狭い。住みやすさの総合順位で全国上位を占める北陸地方の都市(富山県南砺市、194平方メートル)の約半分、首都圏並みの都市もある。

テレビドラマ「北の国から」で雄大なイメージが定着した富良野市は90・6平方メートルで588位。「北海道の湘南」と称され、人気の伊達市は94・7平方メートルで541位。札幌市にいたっては76・4平方メートルで707位。同市は持ち家世帯比率も48・2%、741位と低い。入谷所長は「札幌市内の住宅は間取りが狭く、賃貸物件が多い。(住居水準充実度が低い)首都圏と同じような傾向がある」とみる。

◆自治体の富裕度

住みにくさにつながるもう一つの要因が自治体財政のぜい弱さだ。富裕度は財政力指数(税収見込みを必要経費で割った数値)、地方税収入額(人口1人当たり)、課税対象所得(納税義務者1人当たり)を基に算出した数値で、行政サービスの手厚さや暮らしやすさに直結する。

全国的には、大企業が工場を構える愛知県豊田市や同県刈谷市、高級住宅地のある千葉県浦安市、東京都武蔵野市、神奈川県鎌倉市が高く、住みやすさの総合順位でも高位につける。道内では夕張市の763位▽美唄市の722位▽歌志内市の780位など7市が700位以下で、24市が500位以下だった。

財政再建団体移行を決めた夕張市では各種使用料・手数料の引き上げなど公共サービスの水準低下が懸念されている。

◇公園整備で千歳市

「都市データパック」の「住みやすさランキング」で道内で唯一100位以内の87位に入った千歳市。新千歳空港に近い立地条件から大規模工場や事業所が多く、富裕度は札幌市(281位)をしのぐ272位。道内では、同じく工場が多い苫小牧市(262位)に次ぐ。自衛隊施設に固定資産税が課税されない代わりに国が支払う基地交付金も財政を下支えする。

小売業年間販売額(人口1人当たり)、大型小売店店舗面積(同)、金融機関数(同)から算出する利便度は114位。人口1人当たりの病床数、65歳以上人口1人当たりの介護施設定員数、出生数から算出する安心度は273位。

住居水準充実度は全国最低水準の761位だが、公共下水道普及率、都市公園面積(人口1人当たり)、転入・転出人口比率、新設住宅着工戸数から算出する快適度は16位と目を引く。

同市が今年6月に発表した「緑の基本計画」によると、同市内の都市公園は約200ヘクタール。人口が約9万2000人のため、1人当たりの都市公園面積は44・8平方メートルと全国14位の広さ。全国平均の8・7平方メートル、道内平均の22・6平方メートルを大きく上回る。

同市都市整備課の品田雅俊係長は「公園整備は住みやすさに直結する。市民アンケートでも、公園の整備は高い評価を得ている」と胸を張る。同市内には大小計187の都市公園がある。平日は保育園や幼稚園児の散歩コース、休日は家族の憩いの場になっている。品田係長は「公園整備が進むことで市民の緑化活動も進み、より住みやすいまちになる」と相乗効果を強調する。2025年までにさらに25ヘクタールの都市公園を整備する予定だ。山口幸太郎市長は「都心の緑は市民共通の大切な財産になる」と話す。

◇「住みにくさ」楽観--道移住促進担当

団塊世代の移住促進を掲げる道は、移住希望者のイメージと実際の生活の差を埋めるため、移住体験ツアーやショートステイに取り組んでいる。

昨年、試験的に行われた1カ月の道内体験移住には全国から30組の団塊世代家族が参加。今年は昨年を上回るペースの参加者があり、徐々に実績を積み上げている。

移住相談会などを通して多くの移住希望者と接してきた道知事政策部の大山慎介主幹は「住みにくさ」の各種データについて、「移住希望者は住みやすい、住みにくいではなく、何がしたいかで移住地を決めるもの」と意に介してはいない。

生活面ではマイナスイメージになる雪について「ある人にとってはネガティブでも、スキーがしたい人には全く苦にならない」と一例を挙げた。「何が良くて、何が悪いかは個人の考え方によって変わる。北海道には移住者の多様な思いに応えられるだけの選択肢がある」と自信を示す。

◇住みやすさランキング全国上位20市

(1)福井(福井)  (2)栗東(滋賀)  (3)成田(千葉)  (4)立川(東京)  (5)砺波(富山)
(6)刈谷(愛知)  (7)鳥栖(佐賀)  (8)真岡(栃木)  (9)富山(富山)  (10)金沢(石川)
(11)守谷(茨城)  (12)敦賀(福井)  (13)長浜(滋賀)  (14)美濃加茂(岐阜)  (15)戸田(埼玉)
(16)碧南(愛知)  (17)日進(愛知)  (18)鯖江(福井)  (19)宇都宮(栃木)  (20)浦安(千葉)


■ 片や人気アンケート。片や16項目の指標を元にしたデータ。いろいろなとらえ方があると思いますが、私はとりあえずイメージがいいうちにとにかく住む人をかき集めるべきだと思います。

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