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東京流行通訊

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

幕を下ろす・・・

2007-01-25 21:46:40 | 東京写真日記
 今週、最も悲しい思いにさせられたのは、テレビ番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」の突然の放送打ち切りだった。「健康、レジャー、心身、美容、グルメ」をテーマとしたこの人気番組は、1996年の放送開始以来一貫して高視聴率を保ち、日本の家庭の主婦たちは日曜の夜に楽しく視聴し、翌週からの生活の参考にしてきた。

 彼らは納豆のダイエット効果を伝えたとき、虚偽の実験データを使い、さらにアメリカの教授のコメントをすりかえて報道してしまった。この「納豆ダイエットスキャンダル」と呼ばれるでっちあげ事件が暴露されてから、ダイエット報道の後に販売額が激増し、欠品にまでなった販売店で、突然買う人がいなくなって廃棄処分せざるを得なくなったという。番組の広告主の花王も撤退を宣言し、超人気番組はその幕を下ろすことになった。

 「あるある大事典」の内容が、一部のメディアが批判するような「にせ科学」であるかどうかはさておき、冷静に考えてみても、この番組は非常によく考えて作られたものだった。日常生活についてたくさんの精密な分析や実験を行い、なじみやすい建設的な意見を出しており、間違いが起こるのを防ぐために制作人員を9つのグループに分けて、3ヶ月の自己反復検証を行ってから放送していた。

 番組の制作局長は「アメリカでの取材が難航し、テレビ局側に追い詰められ、しかたなく……」とため息をついた。メルマガの編集者として、その苦しさには理解できるところもある。毎週たくさんの煩雑な仕事をかかえ、高品質の作品を一心不乱に作り続ける。その苦労のたいへんさは編集者の私には良く分かる。だが、人気番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」の没落によって、我々も深く考えさせられた。

 いつでもどこでも、自分の行なう仕事を真摯に愛さなければならない。深く愛していれば、物事をいい加減に済ませることもなくなる。仕事がただの生活の手段になった時、あるいはやらざるを得ない任務になった時、「にせもの」や「嘘」がはびこる温床が生まれる。

 いつでもどこでも、視聴者や読者を愛さなければならない。深く愛していれば、彼らの品位や眼力をみくびることもなくなる。情報化が進む現代社会で他人の目をごまかそうとしたり騙そうとしたりしたならば、最後に被害を蒙るのは他人ではなく、自分自身なのである。


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