野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

今日の一曲 Survival by Yes

2012年01月11日 | 今日の一曲

http://www.youtube.com/watch?v=9Qk6gHVRzTE

昨年話題となった由紀さおりさんのアルバム"1969"、皆さんお聞きになりましたでしょうか。
ピンク・マルティーニのアレンジが気に食わない云々と言われることもありますが、とても良いアルバムでした。
良いアルバムなのですが、日本のマスコミの取り上げ方がちょっと気になるんですよね。
由紀さおりさんといえば、近年は実姉の安田祥子との童謡デュオとしての姿がよく知られています。
そのためかどうも「古きよき日本」が評価されたという捉えられ方をされているような気がします。

でも僕はどちらかというと1969年当時の歌謡曲に対する再評価がなされたと考えています。
"1969"にはいしだあゆみさんの「ブルーライト・ヨコハマ」をはじめ、佐良直美さんの「いいじゃないの幸せならば」や
黛ジュンさんの「夕月」など1969年当時のヒット曲のカヴァーが収録されています。
またピンク・マルティーニとの共演のきっかけとなったのはアルバム「夜明けのスキャット」(1969)であり、
「夜明けのスキャット」という曲自体も当時の大ヒット曲であったことは周知の事実。
40年以上の前の曲がクラシック扱いされるのは致し方ないにせよ、単純に「古きよき日本」などと言ってしまってよいものなのか。
僕は1969年のヒット曲には今の日本でも十分通用するであろう独特の良さがあるし、
また今のアーティストには真似の出来ない空気を持っていると感じます。

そう感じるだけに安田姉妹としての側面や由紀さおりさん個人のパーソナリティばかり強調するマスコミには歯痒さも感じます。
ここでもう少し上手く若者に1969年頃の歌謡曲の良さを伝えられたらと思うのですが、
マスコミの目は当時の若者、つまり現在の50~60代にばかり注がれているのではないかと思うと残念でありません。
若者はAKBかエグザイルかジャニタレを聞いてろというのもそろそろ終わりにしたらどうでしょうか?
だってそうでしょう。洋楽であれば1969年頃の曲が若者に新鮮なものとして評価され続けているのですから。


さて前フリが長くなりましたが、
「今日の一曲」新春第一弾はその1969年に発表されたYesのファーストアルバム"Yes"から"Survival"を取り上げてみました。
1969年というとキング・クリムゾンの「宮殿」が発表された年。その年に同じくしてイエスもデビュー盤を発表しました。
ただキング・クリムゾンのほうは大きな評価を受ける一方、イエスのデビュー盤はあまり良い評価を受けていないように思います。
イエスの場合、どうしても後のイエスのサウンドを形作ることとなるSteve Howe加入後のアルバム"The Yes Album"辺りからの
アルバムが高評価を受けているようです。

でもね、デビュー作と二作目"Time And A Word"(1970)は後のイエスにはない良さがあるのですよ。
それはジャズっぽい雰囲気。例えばデビュー作に収められた"I See You"や次作に入った"Everydays"などで顕著に見られます。
当時のラインナップはJon Anderson(Vo)、Chris Squire(B)、Peter Banks(G)、Tony Kaye(Key)、Bill Bruford(Drs)で、
アレンジ面でジャズっぽい影響を及ぼしていたのはトニー・ケイのハモンドオルガンとビル・ブルフォードのドラムだったのではないでしょうか。
またピーター・バンクスのギターはテクニカルながら強い個性が感じられなかった。
そのためカントリーやスパニッシュギターなど要素をごちゃまぜにしたようなスティーヴ・ハウが加入すると
ジャズっぽさは大きく後退していきました。
ピーター・バンクスとトニー・ケイの脱退はともかくビル・ブルフォードの脱退は残念との意見は多いようですが、
ジャズドラマーを目指していたといわれているビルにとっては残っていても肩身は狭かったのではないでしょうか。
スティーヴ・ハウとリック・ウェイクマンの加入によってスケールの大きなサウンドを指向したイエスには
ビルの気忙しげなドラムは似合わないと感じるのは僕だけでしょうか。

実は今日取り上げた曲はアルバム中では後のイエスのサウンドに最も近いのではないかと思います。
まあ"Roundabout"辺りと比べるとかなりテクニックの差を感じるところはあるのですが、
やはり一番の違いは「勢い」でしょう。
「こわれもの」や「危機」の頃が別に勢いが無いというわけではなく、
ただ「危機」のように膨大な時間を掛けて曲作りをすることで不自然な曲展開になったのは否めないような気がします。
プログレファンでこのアルバムを持っていないという人はこれを機に聞いてみていただけたら幸いです。



そういえばトラックバックをいただきまして、ありがとうございます。
本当に場末も場末のブログなので少々驚き。見ている人がいると思うとあまり迂闊なことは書けませんね。

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