野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

山の思い出 過去編 2010年3月22日光明山 馬頭刈山 大岳山

2012年03月01日 | 山の思い出 過去編
(916の小ピーク手前の展望の良い岩場から)

依然として山歩きに行く時間がなかなか取れないので、今回も過去編をアップしました。大岳山へは三回目の訪問で、奥多摩には苦手意識のある僕にとっては馴染みの山となっています。



3月のお彼岸、今年も本格的な山歩きの季節がやってきた。積雪の関係で1、2月と奥武蔵を歩いてきたが、ようやく域外の山を歩くことが出来る。久々のロングルートということもあり、近場の奥多摩を歩いてみたい。浅間尾根や金比羅尾根という案もあったが、涼しく日の長いときしか歩けそうに無い馬頭刈尾根から大岳山のルートを歩いてみることにした。

今日の最寄り駅は武蔵五日市駅。所沢から意外と近く1時間ちょっと。高尾と殆ど変わらない。それに比べると奥多摩は大分遠い印象だ。拝島駅で五日市線に乗り換えるのだが、拝島の駅舎からは綺麗な富士山が見える。何度か通った駅なのだが、これだけ綺麗な富士山を見たのは初めてだ。電車が動き出すと南に丘が見えてくる。滝山丘陵というらしい。丘陵の向こうに富士山が見える。あの丘陵からも富士山は見えるのだろうか。景色が秋川丘陵に移り変わると間も無く武蔵五日市駅である。拝島からは15分程度。本当に近い。駅を降りると上養沢行きのバスが停まっている。その前には長蛇の列。こんなに乗るのかとビビッていたら都民の森行きを待つ人の列であった。それでも上養沢行きのバスは結構な混み具合だ。西戸倉を過ぎた辺りから周囲が山深くなってきた。十里木の交差点で数馬方面と別れ、養沢川を遡っていく。郵便局が見えてくると今日の登山口である軍道バス停に到着。私以外にトレラン講習のグループだけが降りた。他の乗客は日の出山などに向かうのだろうか。トレラングループが準備中なので先に登ることにした。

軍道からは学校を回りこむように狭い舗装路を上がっていく。途中通行止めの看板があるが、登山者はそのまま上がっていけばよい。南向きに作られた軍道の集落は意外と大きい。民家の軒先には三椏(ミツマタ)や水仙の黄色い花が太陽の光を受けて輝いている。地形図で登山道が描かれた辺りに近づくと木製の道標が立っている。まずはここから沢沿いに道を詰めていくようだ。近くに林道が通っているせいか人の生活の匂いが感じられる道を進むと、道は沢を離れ左手に上がっていく。ここからは地形図で描かれている急登の始まりだ。登り始めると直ぐにお地蔵さんが迎えてくれる。厳しい登りだが九十九折になっているので、それほどキツさは感じない。植林の道を淡々と登っているとトレラングループが追いついてきた。先に行ってもらうとどんどん離されて姿が見えなくなった。ところがしばらくすると先ほどのグループが休憩を取っているので、再び先に行かせてもらう。段々と前方が明るくなってきた。主尾根が近づいてきたのだろう。見上げると鳥居が見える。土留めの木段を上がると高明神社と書かれている。倒木が多いがちょっとした広場なので、休憩するにはちょうど良いだろう。

(軍道の集落)


(ミツマタ)


(水仙)


(お地蔵様が出迎え)


(高明神社の鳥居)

鳥居から先は広い尾根が一直線に延びている。傾斜は緩くなったが、楽というわけでは無さそうだ。倒木の多い道を進んでいると再びトレラングループが追いついてきた。女性の多いグループなのだが、随分足が速い。先に行ってもらうとあっという間に見えなくなってしまった。まあこれでのんびり歩けるというものだ。依然として植林の続く道を進むと再び鳥居が見えてきた。今度は石段である。石段を登りきると石積みの土台の上に高明神社跡という石碑が置かれていた。ここが光明山山頂(798)なのか…?神社跡から左手に延びる道を進むと木の間越しに大岳山が見える。ここからは少し下り気味となる。人が入れそうなほど大きなウロのある檜を見送り、登りに差し掛かると落葉樹が増えてきた。北側から木段を登りきるとベンチの置かれた小ピークに着いた。トレラングループが居たが私と入れ替わりに出発していった。これ以後は姿を見なかったので、かなり早いペースで進んでいったのだろう。小ピークの周りは落葉樹に囲まれ、北側は展望がないが、南側はいくらか見晴が良い。冬枯れの時期ということもあって、枝越しに富士山が見える。やはり朝の富士は良い。ここで朝食代わりにSOYJOYを食べる。

(光明山頂)


(大きなウロのある木)


(ベンチの置かれたピーク)


(富士山)

小ピークを発つと土留めの木段が現れる。ここを上がりきると馬頭刈山(884.0)だ。疎林に囲まれた小広いピークで三角点とベンチが置かれている。男性が一人無線運用しているほかは静かな山頂だ。男性の座るベンチからは大岳山がよく見える。目の前にある木の茂る山は鶴脚山だろうか。南側は意外と展望が良くない。新緑の頃は木に邪魔されてしまうのではないだろうか。休憩は先ほど取ったので先へ進む。植林の道を少し下ると泉沢集落への分岐に出る。丁寧に泉沢方面は通行できない旨書かれているので、エスケープとして使うのは難しそうだ。鶴脚山へはまたも木段を上がらなくてはならない。馬頭刈尾根はルートを通して木段が多くて疲れる。木段を上がりきると雑木林の尾根道となる。少し進むと鶴脚山(916)と書かれたプレートが掛けられている。ピークというよりは尾根のちょっとした高まりという感じだ。展望は無いが雑木林に囲まれた明るい雰囲気が良い。少し下っていくと東京都が設置した鶴脚山の標柱が立っている。地形図を見た限りではプレートが掛けられた地点のほうが正しいような気がする。この辺りは枝越しにではあるが大岳山から日の出山までを見渡すことができる。

(馬頭刈山 左奥の山が大岳山)


(鶴脚山のプレート)

鶴脚山から先も雑木林が続く。道の両脇に岩記号があるだけあって、岩が露出してやや歩きにくい。茅倉分岐を過ぎれば植林の道となる。ここから先は高黒岩の急峻な斜面がちらちらと西側に見えるので、現在位置を確認しやすい。916のピークに差し掛かる前に本宿集落を見下ろす展望の良い岩場がある。富士山も見える岩場で、つくづくこの尾根は眺めの良い所が多いと実感する。眼下に見える大きめの建物は学校だろう。そして採掘場の手前には払沢の滝があるということか。いつか行ってみたいものだ。916のピークを南から巻くと岩場の道となる。一箇所危険に感じた所があり、尾根を西から東に跨ぐときが恐かった。危険箇所が少ない尾根ではあるが、この辺りは足の踏み場が狭いので注意したほうがよいだろう。

969のピークに近づくと人の声が聞こえてきた。見上げると枝越しにヘルメットを着けたクライマーが岩を登っているのが見える。おそらくつづら岩だろう。969のピークを巻き気味に過ぎると両側を岩に挟まれた鞍部に出た。どちらの岩でも中高年のグループが岩登りをしている。どう見ても手がかり・足がかりの無い岩を登っているのを見ると、とても真似できない。つづら岩は思ったよりも大きな岩で、岩の南側のトラバース道からも岩登りをしている人が見える。綾滝・天狗滝の分岐を見送ると道は登り坂となる。ここまで来ると流石にきつい。ちょうど岩記号のある辺りには「この先道悪し」と書かれた看板が置かれている。まずは岩を右に左に巻きつつ登っていく。次は鉄製の階段。ここを登りきると正面に大岳山がよく見える。白く点が見えるのは大岳山荘だろうか。これまでも比較的近くに見えてはいたのだが、これだけ近くに見えるのは初めてだ。土留めの木段を登ると富士見台(大怒田山1054)だ。薄の原には防火用のドラム缶が置かれている。ベンチには男性が一人いるだけでここも静かだ。東屋もあるが、富士山の見えるテーブルにザックを置いて休憩を取る。檜の木の向こうに薄っすらと富士山が浮かんでいる。お昼時となり、クリアな富士山を見るのは難しくなってきた。カロリーメイトを食べ、最後の登りに取り掛かることにする。

(つづら岩)


(鉄製の階段のある急坂)


(富士見台手前から大岳山を見る)


(富士見台)

大岳山へはややまわり道をするような形で向かっていく。軽めのアップダウンが続く道なのだが、疲れた体には一々堪える。大滝・大岳鍾乳洞分岐を過ぎると、1066のピークの手前辺りがベンチの置かれた見晴の良い展望台となっている。ちょうどエアリアで富士山の展望が良いと書かれている地点だ。確かに富士山の展望が良い。小沢集落の東にある573のピークの天辺がハゲ頭のようになっていて、どこか可笑しい。白倉分岐を過ぎると道は少しずつ登りながら大岳山へ向かう。地形図では尾根の上を歩いているように描かれているが、実際はやや西側をトラバースすることが多い。鋸山分岐に出ると大岳山へは道が尾根を更に登っていくようだ。以前の経験から鋸山側から大岳山に取り付くことにする。鋸山へは尾根から大分下った所をトラバースしていく。強風で落ちた檜の葉が細い踏み跡を覆い隠してしまって歩きにくい。谷側は落葉樹の森で御前山が枝越しに優美な姿を見せている。随分下ってきたなぁと思う頃見慣れた道標が現れる。大岳山の肩に到着だ。

(ベンチの置かれた展望台から)

大岳山は鋸山側から登ったほうが、距離はあるが傾斜は緩い。少し登ると傾斜が緩くなる。前から初老の女性が下りてきた。何処から来たのか尋ねられたので、軍道から4時間ほどで来たと答える。健脚ねぇと言われるが、実際はどのくらいで来たのかよく分かっていなかった。鎖の付いた斜面は一番の難所だが、ここを越えると傾斜は再び緩くなる。擦れ違う人も多くなってきた。人の声が聞こえてくると大岳山の山頂(1266.5)に飛び出す。20人位はいるだろうか。思ったほどは混んでいない。空は霞み、富士山は見えなくなった。カロリーメイトの残りを食べて、一息吐く。13時を回ったこともあり、下山する人が多いが登ってくる人もまだ多い。山頂に着くなり、記念写真を撮っただけで直ぐに下りていく人も多い。自分も下りるとしよう。

(大岳山頂)

大岳神社側の道はやはり急だ。疲れた体には骨が折れる。大岳神社が近づいてくると雪が残っている。北側に面しているだけのことはある。大岳神社から先は傾斜が緩くなることもあり、軽装の登山者(観光客?)に追い抜かれる。やっぱり荷物がオーバースペック気味なんだろうね。鎖のトラバースを過ぎると危険な箇所も無くなる。鍋割山分岐を過ぎると芥場峠。高岩山方面は通行注意となっている。峠からはロックガーデン方面へ下る。かなり下ってしまうので、御岳への登りを思うとブルーな気分になる。ロックガーデンへは綾広の滝に向かって沢を下るのだが、今日は上の道をそのまま進む。すると直ぐに水場に到着。水はしっかり流れている。上の道はそれほど下ることもないので、昨年よりも楽な行程だ。

(荒廃進む大岳山荘)

道が緩やかに登っていき、天狗の腰掛け杉に到着。鍋割山方面からの道に合流して、後は御岳山を残すのみ。長尾平分岐では珍しく売店が開いていたが、今日は寄らずにスルー。前回寄らなかった御岳山へは自動車用のスロープを登る。御岳神社(929)からは日の出山と青梅の町が見える。思ったよりも景色が良い。神社前の石段を下り、御岳の宿坊街を抜ける。もうケーブルカーで帰ってしまおう。乗り場へ向かうが、鳩ノ巣駅への分岐で少し迷う。なるほど鳩ノ巣へも山道を下っていけるのだな。今度下ってみよう。ビジターセンターを見送れば、見慣れたケーブルカーの御嶽山駅だ。ケーブルカーを待つ間、展望台からの景色を楽しむことにする。日の出山から三室山への尾根は分かるが、惣岳山の尾根の向こうに見えるのは青梅丘陵だろうか。そんなことをぼんやりと考えている内にケーブルカーの時間がやってきたようだ。今日は充実の一日であった。今度はもう少し御岳周辺を時間を掛けて歩いてみるのも良いかもしれない。

(御岳神社から日の出山を望む)


(御岳の宿坊街)


(屹立する奥の院)


(ケーブルカーの展望台から日の出山)


(同じく展望台から青梅の街)


標高の割りには時間の掛かるルートなので、早い時分の出発をお薦めします。
まあ大岳山の場合はどのルートを採っても時間が掛かるのは共通していますがね。
ケーブルカーの運行時間はこちら/a>(http://www.mitaketozan.co.jp/cable_car/index.html)を参照ください。
最後に残念なニュース。西武鉄道の奥多摩ハイキングフリーきっぷが3月30日をもって終了となります。
ケーブルカーの運賃も割引されて便利だったんですけれどねぇ。
今後ますます奥多摩方面へ出かける機会が少なくなるかもしれません。


DATA:
武蔵五日市駅(西東京バス21分)8:40軍道バス停~9:53光明山~10:08ベンチのあるピーク~10:18馬頭刈山~10:35鶴脚山
11:23つづら岩~11:49富士見台~12:57大岳山~13:20大岳山荘~13:44芥場峠~14:25御岳神社~14:51御嶽山駅
(ケーブルカー7分)ケーブル下駅(西東京バス10分)御岳駅

西東京バス 武蔵五日市駅~軍道 300円 ケーブル下駅~御岳駅 270円

地形図 
五日市 武蔵御岳

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