快読日記

日々の読書記録

「殺人鬼フジコの衝動」真梨幸子

2011年10月13日 | 日本の小説
《10/11読了 徳間文庫 2011年刊(徳間書店より2008年に刊行された単行本を文庫化) 【日本の小説】 まり・ゆきこ(1964~)》

「更年期少女」の真梨幸子、わたしにとっては2冊め。

この「下流」の描き方の絶妙さとスピード感は、絶頂期の戸梶圭太みたいです。
でも、激安人間を突き放して笑いのめすような戸梶作品と違うのは、
そんなバカでみじめな人間に“半分”だけ肩を貸しているところ。
転落する人間を描くにも凄みがある桐野夏生は“怖い”けど、真梨幸子の殺人鬼はどこかリアルに滑稽で、悲しくて寂しい。

あと、小学生女子の世界を書くのがうますぎです。
フジコの子供時代の話は、読んでて息苦しくなるほどでした。

ところで、この作品にはある仕掛けがしてあって、
だからそれを堪能してね、と言いたい気持ちはよくわかるけど、
帯で最後まで読めとしつこく念を押してるのはどうかと思います。
おいしい料理の傍らで「これこれこうして食え」と指示されてるみたいで、ちょっと嫌でした。
たしかにプッシュしたい気持ちはわかるんだけど。

/「殺人鬼フジコの衝動」真梨幸子
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