快読日記

日々の読書記録

「サブカル・スーパースター鬱伝」吉田豪

2012年12月09日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《12/6読了 2012年刊 徳間書店 【サブカル インタビュー】 よしだ・ごう(1970~)》

[吉田豪が話を聞いた人:リリー・フランキー/大槻ケンヂ/川勝正幸/杉作J太郎/菊池成孔/みうらじゅん/ECD/松尾スズキ/枡野浩一/唐沢俊一/香山リカ]

サブカル男は40歳あたりで鬱になるって本当か?

どうやら答えはYESらしいです。

まずは、40くらいはそういう時期だ、という話。

「これは中年の思春期だから」(リリー・フランキー 32p)

「人生って選択肢が多い方が荒れてくるのよ」(大槻ケンヂ 51p)

「ある程度キャリアが一段落すると悩みに入る。やっぱり食うや食わずのときって悩む余裕すらないでしょ」(川勝正幸 59p)

そして、サブカルそのものの性格。

「サブカルチャーという分野自体がある程度権威との対立というか、既成の価値観への反逆という性質を含んでいる。それがある程度年齢を積むにつれて、どうしても先にいるってだけで権威になっちゃうんですよね。ふと気づくと自分が反抗される立場になってる」(唐沢俊一 196p)

さらに肉体的な問題(実はこれが大きいのかも)も重なって、なかなか手ごわい。

巻末の香山リカと吉田豪との対話では、サブカル者たちの「男であることの葛藤」や、ある種の事件(オウムや神戸の連続児童殺傷事件など)に過剰に反応してしまう傾向に言及しています。

わたしは聞き手の吉田豪と同年代なんですが、老いていくことが現実味を持ってくるお年頃ですよね。
自分よりちょっと年上の人のことが気になる、この道の先の方はどうなってんの?と聞きたくなる、そんな時期なのかも。

そういう点では、鬱をどう乗り切るかというより、いかにして老いるかを考える本、とも言える。

みんな、年のとり方が分からないんだということです。

/「サブカル・スーパースター鬱伝」吉田豪
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