快読日記

日々の読書記録

「橋本治という立ち止まり方」橋本治

2012年12月06日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《11/14読了 朝日新聞出版 2012年刊 【評論 時事 社会 エッセイ】 はしもと・おさむ(1948~)》

「一冊の本」2008年10月号から2012年4月号に連載されたエッセイを収録。

リーマンショック、政権交代、そして筆者自身の発病・闘病、さらに震災を経ての、この「立ち止まれ」というつぶやき(決してスローガンや叫びではない)。
これをいかに真面目に受け止め、じっくり噛みしめることができるかどうかが今後のわたしの人生を左右するような気がしました。
なんか大げさですかね。
でも、実感なんです。

奇しくも本書で橋本治が言うように、「本というものは『人を動かすもの』」(13p)であって、しかし、答えを明示してはくれない。(してくれる本があったら、きっとそれは詐欺ですよ)
いい本というのは、自分がものを考えるときの補助線になる。
即効性があるやつと後からじわじわくるやつとの差はあるけど、いずれにしても人を活性化し突き動かす、そういうもんですよね。
とくに橋本治の本を読むことには名ランナーに伴走してもらうような快感があるんです。
長距離走は(も)嫌いだけど、しっかりしたペースメイカーに引っ張ってもらうと嘘のように負担なく楽に走れる、そんなかんじ。
もちろん、自分が走れる人になった!みたいな錯覚ではありますが。

そういえば、年をとると読書しなくなる、という話をよく聞くけど、
それは例えば目が悪くなったとか集中力が落ちただとか、そんな理由だと思っていました。
しかし、本が人を突き動かすものである以上、読んだら動きたくなる(目に見える形かどうかは別)のは必至なわけで、
そうなると“動きたい”未来の持ち時間が自分にはない、と感じている年代の人が本を読むことは相当辛いはず。
なんだかせつないけど、ものすごく腑に落ちました。
人間、本読めるうちが花かもなあ。

ああ、いつもながら収拾のつかない感想文になってしまった。

橋本治、かなり厄介な病気になっちゃったようで心配ですが、
とにかくずっと追いかけていきたいです。

/「橋本治という立ち止まり方」橋本治
■ブログランキングに参加してます。乞う1クリック!■