快読日記

日々の読書記録

「怖い絵 3」中野京子

2009年11月14日 | アート・映画など
《 11/11読了 朝日出版社 2009年刊 【美術 西洋史】 なかの・きょうこ 》

どんなに興奮する本でも普通、パート2で失速し、パート3なんか出ちゃった日には「…出涸し?」みたいになるのに、
この「怖い絵 3」のおもしろさって、一体どういうこと?
しかも話のそこここに前2作( 「怖い絵」 「怖い絵2」 )でとりあげられた絵の話題が出るので、
そこでまた記憶がぶわぁっと甦り身の毛がよだつ、というおまけつきです。
パッと見ですでに怖い絵(例えば『メドゥーサ』)も、一見完璧に穏やかでさわやかな絵(例えば『ヴィーナスの誕生』)も、この解説にかかるととたんにベールを脱ぎ、秘められた素顔を見せてくれます。
それはおぞましい歴史やあまりにも悲しい現実だったりするのですが、
語り口の説得力と迫力にグイグイ引っ張られてしまう、魔性の本でした。

おかげでなんだか絵(写真や映像も)の見方が変わりました。
今まで見えなかった・見てなかったものが少しずつですが見えて来たような。
これは、ドン小西の本( 「部長! ワイシャツからランニングがすけてます」 )を読んだときと同じ効果だ、と言ったら怒られるでしょうか。誰にだ。