快読日記

日々の読書記録

「母子変容(上・下)」有吉佐和子 講談社

2008年03月22日 | 日本の小説
《美しい娘の存在によって、
母の美貌がもう盛りを過ぎたことを思い知らされる》




山田五十鈴・嵯峨美智子親子の話にかねてから関心があって、
瀬戸内寂聴がそれを小説化しているっていうのでネットで探していたら、偶然ヒットしたのがこの本。
しかも大好きな有吉佐和子だ~。
なんで今まで気づかなかったんだろう。

そんなわけで、貪るように平らげました。

主人公親子を軸に様々な人間が絡み合い、その関係を変えていく様子がぐいぐい描かれていて本当におもしろかったです。
水面下でざわめくデリケートな感情と、
それが表面化するときの大小の波紋、
そして大きな波になる様子、
そのすべてをがしっとつかみ取れるのは読書の醍醐味のひとつですね。
有吉佐和子すごい!
つくづく自分は有吉作品のこの押しの強さと繊細さを併せ持つ感じが好きなんだなあと思います。


それから本作のモデル、嵯峨美智子の美しいこと。
「美貌の母子」ってそれだけでぞくぞくするテーマですね。
山岸凉子の作品にも名作がありました。

「若い頃の私はあなたなんかよりずっと美しかった」と母・富●純子に呪われ続けたという寺島し○ぶの話もぜひ誰かに書いてほしいです。
■3/19読了